軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

2-1【OSO屋台祭り~食い倒れの大食い大会~】

その日は、OSOの中でも一時不遇とされつつも運営のアップデートでその不遇を脱した【料理】センスを取得したプレイヤーが中心となって立ち上げた料理系ギルドがある広告を発布した。

「えっと……『第一回OSO屋台祭り』かぁ」

マギさんたちの【生産ギルド】ほど大規模な組織ではないが、複数の料理ギルドが同盟を組んでいるギルドが主体のイベントとして、『屋台祭り』なるものを企画しているようだ。

各、OSOの料理人プレイヤーたちが、自慢の新作や屋台を一斉に集めるプレイヤーの主体イベントの他にも、料理に関係したステージイベントがあるらしい。

イベントの部門は、色んな種類があり――オーソドックスに大食い、早食い、その両方を合わせたものや、大食い参加者と料理人が対決する料理ファイトなどというショーステージも用意されているらしい。

ステージイベントで出される料理は、メガ盛りサイズが中心だが、観戦者も実際に味を楽しめるように屋台には、通常サイズやハーフサイズのものを売り出すらしい。

「へぇ、面白そうだなぁ。リゥイとザクロは、行ってみるか?」

俺がパートナーのリゥイとザクロに尋ねるとどちらも興味津々な様子だ。

今から美味しい屋台料理を考えて、涎を飲み込み、尻尾を振っている。

「それじゃあ、知り合いに声を掛けて行ってみようか」

そうして、俺は『屋台祭り』を見に行くことにした。

ただ、ふとした瞬間に、大食いとしてあるプレイヤーが脳裏を過ぎる。

「レティーア、荒らし回らないよな?」

少しだけ心配になりつつも、まぁ自分が気にすべきことではないか、と思い知り合いと連絡を取り合う。

そして取れたのが――

「エミリさん。今度、OSOで『屋台祭り』があるみたいなんですけど、行かない?」

『ユンくん。ちょうど、私の方も声を掛けようと思っていたところよ。私もライナとアルと一緒に巡ろう計画していたところだけど、一緒で良いかしら』

素材屋のエミリさんにフレンド通信で連絡を取ると、既にレティーアのギルドメンバーのライナとアルと一緒に回るようだ。

「大丈夫だよ、と言うか、殆ど知り合いとの予定が合わなくて」

フレンド通信越しで俺は、微苦笑を浮かべて理由を説明する。

ミュウやタクのような戦闘系プレイヤーたちにも『屋台祭り』の情報が入っているが、みんなが注目するのは、ステータス上昇効果のある新作料理屋台であるらしい。

なので、その場で買い溜めして早速、フィールドやダンジョンに行き、各自が新作料理アイテムの効果を確かめるらしい。

『みんな、忙しないわね』

「だよねぇ。もっとゆっくりすれば良いのに」

『それじゃあ、マギさんやセイさんたちはどうなの?』

「マギさんたちは、【生産ギルド】として食材アイテムの斡旋や調整をしているらしい。セイ姉ぇは、【ヤオヨロズ】の料理プレイヤーたちの出店のバックアップで奔走しているし、ギルドで作ったお酒の試飲屋台も企画しているらしいよ」

特にミカヅチは、小さい一口程度のお酒の試飲屋台を作り、同好の成人プレイヤーを増やす予定があるようだ。

また、マギさんたち【生産ギルド】とは別でクロード個人が【コムネスティー喫茶洋服店】として、フィオルさんの新作お菓子の販売に向けて準備中らしい。

『へぇ、意外と身近な人たちも加わっているのね』

「基本、こういうのはノリがいい人たちがやるからね」

『じゃあ、ユンくんはどうなの? お誘いはなかったの?』

マギさんの疑問に苦笑を浮かべながら、あったことを伝える。

「一応、【料理】センス持ちだから、イベント企画の料理ギルドの人に屋台や料理の手伝いをやってみないか? って誘われたけど、断った」

『あら、そうなの?』

「うん。その時は、まだ『屋台祭り』って名前も決まってなかったし、何より俺の作る料理は、家庭料理だから、屋台としては何を作ればいいか分からなかったんだよ」

例えば、料理については、凝ったような料理というよりは、ほっとする家庭料理。お菓子に関しても、パティシエのフィオルさんが作るのには及ばない自宅でできるお手軽レシピだ。

なら、他に定番の屋台料理でもと考えたが、それだと普通過ぎて誰がやっても同じであるために、俺がやる必要がないのだ。

『なるほど。確かにそうね』

「でしょ? だから、今回は見る側に回ろうと思うんだ」

『そう、そういうことなら理解したわ。私は、レティーアが屋台祭りのメインステージに立つからそれを見に行くつもりよ。それと、今からその『屋台祭り』の金策でライナとアルたちとパーティーを組むことになっているのよ』

ライナとアル。それにベルがギルマスを務めるギルド【ケモモフ同好会】の初心者――いや、駆け出しプレイヤーのフランとユカリ。

俺とエミリさんを入れて6人パーティーを組もうという話になり、俺は頷く。

そして、しばらくして【アトリエール】にやってくるエミリさんと共にパーティーを組み、冒険に出かける。

その時にライナとアルたちの成長っぷりを見れば、初心者、駆け出しを超えてもう中級者と呼ばれるくらいにはなっているのではないかと思う。

「ライナとアルは成長したよなぁ」

「そうね。私たちも負けていられないわね」

俺やエミリさんは、先にOSOを始めた分レベルが高く、ステータスは上であるが、それでも生産職である。

何時かは、追い抜かれるんだろうな、と漠然とした思いを抱きながら、その日を一日でも延ばすために、できることは少しずつやろうと思う。

そして、全員が向かった先は、高い崖を登った洞窟の先にある高原エリアだ。

エミリさんの飛行能力を有する合成MOBに乗って崖を登り、高原エリアの敵MOBからドロップする食材アイテムを集める。

食材アイテムの買い取り価格が少し上がっているのは、きっと【屋台祭り】の影響なのだろうな、と思いながら、MOB狩りのサポートに回るのだった。

その際、あまり下調べなしに高原エリアに来て狩りをしている途中、高原エリアに存在する超弩級MOBのグランド・ロックが咆哮を上げる。

「いやぁ~、これ忘れてた」

「そうね。久しぶりかしら」

俺とエミリさんは、のんびりしながら懐かしいなぁ、程度のことを思う一方、ライナとアルたちが辺りを見回し、身構える。

「ちょっと、何々!? なにが起こっているのよぉ!」

「ライちゃん! 落ち着いて!」

グランド・ロックの咆哮に触発され、高原エリアのMOBが怒り状態になり、アクティブなって積極的にプレイヤーに襲いかかる時間がやってきた。

また、その時間だけしか発生しないボスMOBも存在するので、俺とエミリさんは、ライナとアルたちに振り返る。

「どうしよう。結構、高原の奥地まで入り込んだけど……」

「そうね。外周まで逃げるよりは、グランド・ロックの背に逃げ込んだ方が早いんじゃないかしら」

俺とエミリさんの言葉に、ライナとアルの表情が引き攣る。

ライナとアルの視線の向こうには巨大な岩山を思わせる超弩級MOBのグランド・ロックが足音を鳴らして動き始めているのだ。

その圧倒的な姿に尻込みしているライナとアルたちだが、俺が【高原エリア】に来た当時よりもセンスのレベルやステータス面では充実している大丈夫だろう。

「数が多いわね。活路を切り開きなさい、ゴーレム軍団――《召喚》!」

「そして、そのゴーレム軍団を支援する! 《空間付加》――アタック、ディフェンス、スピード!」

エミリさんが錬金MOBのゴーレム軍団を召喚し、俺が視認する範囲の錬金MOBたちに三重エンチャントを施す。

「それじゃあ、あのグランド・ロックの背まで行くぞ!」

「ついでに、頂上まで登ってポータルも開通させましょうか!」

「あっ、ちょっと!」

俺とエミリさんは、それだけ言い残し、高原エリアのMOBの暴走の中を突っ込んでいく。

その際、ライナたちは、必死に俺たちに付いてきて、グランド・ロックの背に飛び乗ることができた。

その後は、狭い足場での戦い方などを教えながら、襲ってくるコカトリスたちを倒しながら、頂上を目指す。