軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

なんかスライムが沈んでいるんですけど

闇に飲まれるように。徐々に冷えていく、穴の奥へ奥へと進んでいく。高橋と山田の追跡は一旦置いておいて、今度は、退路の確保のために逃げたスライムを追っていく。少しずつ少しずつ冷えていくにもかかわらず、足元はずっと泥々と不快な感触を伝えてくる。分かれ道から数分。暗いはずの洞窟の奥に明かりが見え始める。地下に潜っているはずなのに。

「明かりですね。」

「気をつけろ。未確認の知性型モンスターかもしれん。」

「んー、それにしては光源が一定ー。それにその場合、低層のレアモンスターが多すぎるー。せいぜい3階層程度ならー、多くて3種程ー。」

「アシッド、マッド、キラー・ビー、クイーン・ビーで4種…。これ以上モンスターが出るなら、FPの1・2階層との落差がありすぎます。新種が増えるとは考えづらいです。それに、この先にいるのはスライムのハズです。」

やがて、私達は光が漏れ出してきている場所が、部屋の入口であることに気がつく。要するにこの先に開けた空間があって、そこには明かりがあるということだ。それなりに広い空間のように見えるが、どうだろうか。…やがて、入口にたどり着いた。

「思ったより広そうだな。」

「明かりは…これは苔類か?ん?苔類?水分があるのか?」

「んー、よく見られるタイプのヒカリゴケとはちょっと違うかもー?」

「FP独自の新種かもしれません。」

想定通り中は開けた空間になっていた。だが、想定と違うのは、かなり広大な空間であることと、大きな地下湖が存在していることだった。その湖の周りには、大量の苔が生えていて、それが光を放っている。一方で湖の方はというと、どこまでも透明で透き通っている。

「綺麗だな。ちょうどいい、少し汲んでみるか?」

「バカですか金田ー?死にますよー?」

「は?バカとはなんだバカとは!」

「いや、霧島の言うとおりだ。バカだろ。」

「佐藤さんまで!?」

いや、バカだと思う。だってこれ。

「独特の刺激臭ー。高い透明度ー。これ全部危険物第6類ー。硝酸ー。」

「げぇ!?」

「幸い濃度が低いからー、この辺なら大丈夫ー。…これ以上近づいたら、耐性スキルがないと死ぬよ?」

「ははは、これ全部硝酸か。たぶん底の方はもっと濃度高いだろ。」

「そうだねー、あれ見てー、上から水が流れてて、湖に注ぎこまれてるー。あれで希釈されてるねー。で、硝酸はおそらく、なぜか底の方から湧き出てるー。ダンジョンの不思議ー。」

「これってもしかしなくても、資源の大発見では?」

「そうだねー、専用設備を持ち込めば汲み放題ー。ただし、スライムの妨害付きー。」

「…そうだった。」

「よく見てみてー、あの湖の中ー。両方、透明度が高いから見づらいけどー、スライムー。」

「逃げたアシッドスライムか?…あー!?あいつら硝酸含んでんのか!?」

「スライムジェルによって揮発しないから、誰も分からなかったのか…。」

遠目から見た湖には、よく見ると大量のスライムが沈んでいた。おそらく、ここから湧いてきて、そして私を見て逃げたスライムたちが、湖の中に逃げ込んだものだろう。そんな湖を呆然と見ていると、上から流れる水に混じってスライムが流れてきた。

「あ、スライムが流れてきて…湖に落ちた!?」

その光景を見て、加藤さんがある仮説を立てる。

「これは仮説ですが、これ上の階層から流れてきてませんか?そして流れてきた普通のスライムが、硝酸湖に落ちてアシッドスライムになっているのかもしれません。そして、そのアシッドスライムが這いずり回るうちに、マッドスライムに変化してる説ありません?」

「…あるな。」「ありえるかもー。」

佐藤さんと霧島さんもその説に同意する。

「ただー、たぶん前者だけでー、後者のマッドスライムの方は違いそうかもー。」

「あぁ、それなら、マッドとアシッドの混成なのも説明がつくな。」

「おそらくー、本来出現するのはアシッドじゃなくてー、1・2階層と同じスライムでー、フィールド湧きタイプじゃなくてー、特定階層のネスト湧きのタイプなんだろうなー。」

「上層でネスト湧きしたスライムは、水流を通して、ダンジョン全体に出現するはずだった。が、3・4階層スライムが流れる先が、たまたまこの硝酸湖だったと。」

ん?と言うことは、つまり?

「と言うことは、この硝酸湖の管理さえできれば、3階層でアシッドスライムに悩まされることはなくなる?」

「そうかもー。あくまで仮説だから要検証ー。」

ダンジョンは不思議だ。