軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

なんかずっとぬめぬめぬるぬるなんですけど

巣穴は決して一本道というわけではないが、私達はずっと高橋と山田の足跡を追いかけて進んでいるので、今のところ迷ってはいない。だが、この足跡にも同様のことが言える。まったく迷っていないのだ。ぬかるんで泥々の地面に、これみよがしにくっきりと残る二人組の足跡を追いかけて、どこまでも闇へと潜っていく。

「大分進んだが、おかしい。もう数百メートルは進んでいるはずだろ…。」

「あー、気づいてないー?本気ー?」

「えぇ、わずかだけど角度ついてます。もう大分地下に潜ったはずです。」

「加藤ー。そのとーりー。金田ー。だからDランクー。もっと精進ー。」

「…なにも言い返せねぇ。」

「その証拠に、少しずつ気温が下がってる。地下に潜ることで冷えてるんだ。」

「そう言われれば、確かにジャングルより過ごしやすい。」

あぁ、やっぱり、地下に潜っていたんだ。ずーっと、感じていた気味の悪さはそのためかな?でもそれにしては、やっぱりなんか変だな?

「でもさぁ、佐藤さん。クイーン・ビーって地下に巣なんて作りましたっけ?」

「作ることは作る。が、確かにここまで広大なのは前例がないな。」

「あー、たぶん逆ー。かなー。」

「どういうことだ霧島。」

「たぶん洞窟が先ー。見てー、この地面ー。ずっとぬかるんでるー。ここまでアシッドスライムが出入りしてる証拠ー。というかー、たぶん奥からアシッドが湧いてるー。アシッドが溶かした洞窟をー。巣として利用してるー。」

「そういうことか!先に洞窟があって、そこに棲み着いたんですね!確かに、クイーン・ビーは、自分で穴をなかなか掘らないけど、既にある穴に巣を作る事はままある!」

「加藤ー。その通りー。」

あー、なるほど、そういえば、ずっと床がどろどろしている。そのお陰で、二人組の足跡がくっきり残っているんだけれども。そういえば、出会ったスライム、皆奥に奥に逃げて行ったな。あれは奥から来てたってことなのか。つまり、この先に大量のスライムが溜まってるかもしれない…?

「でー、その巣が出来たあとでー、クイーン・ビーが生んだ、キラー・ビーが洞窟を拡張ー。通気の穴やらー、追加の部屋やらー作ってー、穴だらけー。」

「そしてー、このくっきりの足跡から判断するにー。この先にー、アシッドの湧きポイントがあるー。問題はー、なんでそのポイントに真っ直ぐ足跡が向かってるかって事ー。」

「どう考えても、場所を知ってるからの足跡だな。」

「そうー。ずーっと誰かに案内されてるねー。…あれ?」

あ、足跡が消えてる。いや、これは消えているというよりも。

「分かれ道か。やつら別の道に入ったな。」

「真っ直ぐ進むと、おそらく想定アシッドの湧きポイントで…あー、進んだと思われる方向からは、羽音がするな。」

「たぶんー、湧きポイントとー、クイーン・ビーの住処が別ー。」

「であれば、羽音の方だな。」

「アシッドの方もちょっと気になるけどー。仕事優先ー。」

「そうですね。3階層の情報は持ち帰りたいところですが、今は二人組を追いましょう。」

そう、私達はあの二人組を追いかけてきた。だが、本当にそれでいいのか?私の直感が、アシッドの方に行った方がいいと言っている。だが、私なんかが、現役探索者の判断に異議を唱えていいのか?だが、どうしても、ぬかるみの方に進むべきだと、第六感が警鐘を鳴らす。

「あっ、あの、ちょっと待ってください。」

気がつくと、声をあげていた。

「んー?どうしたのー黒川さんー。」

「一度、アシッドの方に行った方がいいと思うんです。」

「…ん?でも二人組を追いかける方が優先でしょー?」

「分かりません、でも行った方がいいと思うんです。」

加藤さんと金田さんも反対する。

「黒川さん。分かりませんでは、どうしようもないですよ。」

「そうだぞ。何かあるのか?今はどう考えてもそっちは後回しだ。」

「いや、私は賛成だ。理由もある。」

「えっ佐藤さん?なんでですか?」

意外にも佐藤さんが賛成してくれた。

「まぁ主な理由としては、退路の確保だな。道中、遭遇したスライムを覚えているか?」

「えぇ、何体も遭遇しましたが、黒川さんを見て逃げ出しましたので、特に問題はなかったですよね?」

「あぁ、そうだ、黒川さんを見て即逃げ出したな。ありえない速度で。」

「では、そのスライムが逃げた方向は?」

「洞窟の奥…あっ!?」

「そうだ、我々は入口から奥へと向かって進んできた。このぬかるみの先には、さぞかし大量のスライムが逃げ込んでいることだろうな。」

「あー、そのスライムがー、一斉にー、入口を目指し始めたらー、退路がなくなるー。」

「そういうことだ。万が一、敗走することになれば、逃げ道はこの通路ということになる。そして、そこに大量のスライムがいたとしたら?どうやって逃げる?」

「魔法で蹴散らして倒せばよくねぇか?」

「で、倒したスライムの残骸が床を埋めつくす訳だが?」

「…うへぇ。」

酸性のスライムの粘液とジェルが、洞窟の床に散らばって、その上を逃げなければならない。下手をすれば、飛び散った酸で焼かれるし、揮発した酸は呼吸器を焼く。

「つまり、スライムに圧倒的優位を取れる今のうちに、奥の方を確認する必要があると思うが。」

「理解しました。となれば、時間をロスしてでもアシッドの対処を優先すべきですね。」

「あと付け加えるならば、黒川さんの直感は意外とバカにならない。たぶんスキルか称号かの何からしらの効果だ。未来予測と言ってもいいかもしれない。その辺りも当てにして同行してもらっている。」

「…自分でもそれ知らなかったんですけど。」

「推測の域を出ないからな、言ってなかった。」

いや、それでも教えてほしいかなー?佐藤さーん?