軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第089話 予定

「エリックー、見て見て! アヒルちゃんの親子を作ったよ!」

メアリーが黄色のアヒルの小っちゃいバージョンを見せてくる。

普通のサイズのアヒルと並ばせると、確かに親子だ。

「子供はもっといっぱいいた方が良いな。そういうセットで売ろう」

「よーし、作るぞー」

メアリーは黄色いアヒルの雛を作っていく。

「エリック、ちょっといい?」

書き物をしていたアンジェラが呼んできた。

その際の長い金髪を耳にかける仕草がセクシー。

「どうした?」

「王都に行くまでの計画を考えてみたの。確認して」

アンジェラが紙を渡してきたので見てみると、残り3週間でやらないといけないことや作っておかないといけないものをリスト化してあった。

それに加えて、スケジュールまで書いてある。

「今週、来週でこれだけか……まあ、できないことはないな。そして、出発の3日前から掃除というか片付けだな」

「ええ。物置きに置いてある荷物はこの店に一時的に置いておいても良いと思うわ」

確かにな。

「メアリー、お前もちょっと来い」

「んー? 予定?」

メアリーも手を止めて、こちらに来ると、紙を見始める。

「出発の3日前から片付けだ。物置きの荷物の整理と屋根の修理をするからホコリが舞う。大事なものはこっちのスペースに置いておけ」

一応、カバーはかけるらしいが、それでもやっておいた方が良いだろう。

布団は出発の日だな。

「了解。それぐらいから仕事も休むよ。店の方は? 私も手伝うよ?」

「いや、そっちは俺とアンジェラで大丈夫だ。お前はいつもの感じでいい」

「りょ。そういや馬車はどうすんの? ウチにはラシェルしかいないよ?」

「それは今日、アーヴィンに相談してみるつもりだ。古い馬車とかあるだろ」

ないなら商業ギルドかな?

「あー、そういや今日も飲みだっけ?」

ローレンスから誘われたからな。

というか、昨日は飲んでない。

「ああ。悪いな」

「私は別にいいけどね。アンジェラちゃん、かわいそー」

「私もいいわよ。男には男の付き合いっていうのがあるの。それをとやかく言う女はダメよ」

「調子に乗るかもよ?」

乗んない、乗んない。

「エリックは限度を守れるもの。そもそもそんなに社交的な方じゃないしね」

それはそう。

商業ギルドの会合とかで付き合いの飲みはあるが、そんなに参加しないし、飲むのはほぼアーヴィンだけだ。

「確かにエリック、友達が少ないもんねー」

言い方よ。

まあ、メアリーは多そうだけど。

「メアリー、明日は仕事か?」

「そだよー」

「だったらカトリーナとシャーリーにも話をしておけ。それと王都に着くまでの数日は野営になる。テントとか色々の準備がいるぞ。俺とアンジェラの分は俺達で用意するが、お前らはパーティーなんだからパーティーで話し合え。あ、ヴィオラにも相談しろよ」

せっかくの機会だし、野営の練習でもするといい。

今回は俺達がついていくし、失敗してもどうにでもなる。

そして、その失敗で学んでくれればいい。

「確かにそれもしないとねー」

「持ち運び用のコンロくらいは持っていっていいぞ。俺の大発明を堪能するといい」

「むむ、私も大発明な画期的なテントを考えなくては!」

え? 作る気?

「さすがにそれは時間がないから買えよ」

「時間がないか……テントは私ら3人とエリックとアンジェラちゃんで別れる感じ?」

「基本はそうなる。ただ、俺は見張りだな」

「エリック、寝ないの? 死んじゃうよ?」

死んじゃうな。

「俺は昼間に寝る。昔の職業上、夜には強いんだよ。ただまあ、お前らにも体験させてやるよ。ついでにコツを教えてやる。お前ら3人だけで野営する場合は交代で見張りをすることになるだろうし、全員ができるようになった方が良い」

まあ、まだそんな仕事は受けないと思うが、せっかくの機会なので教える。

「なーる。アンジェラちゃんは?」

メアリーがアンジェラを見る。

「エリックに付き合うこともあるだろうけど、私は寝る。野営を伴うような仕事なんか受けないし」

アンジェラはそれでいい。

俺は昼間に寝るからその時にルーキー3人を見てもらわないといけない。

「見張りかー。役割的には私が一番頑張らないといけないんだけど、エリックと違って夜に弱いんだよなー。眠いもん」

眠いんなら仕方がないわ。

「無理はするなよ。眠い中でやっても集中力が落ちるだけで良いことなんてないからな」

「別に野営を伴わない仕事なんかいっぱいあるでしょ。そっち方面で頑張りなさい。もしくはそういう仲間を入れる」

「うーん……」

メアリーが腕を組んで悩み始めると、店の扉が開き、ローレンスがやってきた。

「よう」

「ローレンスさん、こんにちは」

「こんにちはー。お迎え?」

アンジェラとメアリーが挨拶をする。

「ああ。連日で悪いね」

時刻はすでに17時前だ。

いつの間にかそんな時間になっていたらしい。

「すまん。店を閉めるわ」

「エリック、後はこっちでやっておくわよ」

「そだよ。行ってきたら?」

2人が勧めてくれる。

「悪いな。ローレンス、行くか」

「ああ。でも、ちょっと待ってくれ」

ローレンスはそう言うと、店の中に入ってきて、カウンター越しにアンジェラとメアリーの前に立つ。

「どうしたの?」

「告白? アンジェラちゃんはノーだよ。もう売り切れだよー」

言い方。

「いや、そういうのじゃない。エリックとアーヴィンにはこの後、話すんだが、俺は明日でこの町を去ることにした」

え? マジで?

「そうなの?」

「もう出ちゃうの?」

「ああ。元々、数日で出る予定だったし、王都に行くんだ」

急だな……

いや、昨日、あんなことがあったからすぐに町を出るのもおかしくはないんだが。

「あ、王都。私達も行くね」

メアリーがぽんっと拳を手のひらに乗せる。

「そうなのか?」

「3週間後に家を改修するから遊びに行くんだよ。もしかしたら会えるかもね」

どうだろ?

「そうか。まあ、会えたらいいな。とにかく、明日で町を出る。数日だったが、何度もエリックを借りてすまなかった」

「いえ、エリックも楽しそうだったわよ」

「そだね。友達少ないもん」

一言多いんだよ。

「はは。では、最後にエリックを借りるよ。エリック、行くか」

「ああ。メアリー、戸締りをしろよ」

「わかってるよぅ」

俺とローレンスが店を出ると、アーヴィンを迎えに南の屯所に向かった。