軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

09話 良い知らせ

「フェリシア、お前とルシアン殿下の婚約は解消となった」

その夜、父が私に良い知らせを持ってきました。

「ルシアン殿下が学院で婚約破棄を公言してくれたのが良かった。ラルベル公爵令嬢やガイヤール辺境伯令嬢も目撃していたらしく、ラルベル公爵とガイヤール辺境伯が証言を持ち寄り、婚約解消を後押ししてくれたのだ」

ラルベル公爵令嬢とガイヤール辺境伯令嬢というのは、セリーヌ様とブランシュ様ですね。

(私の婚約破棄を後押ししてくださるなんて!)

私の心に、セリーヌ様とブランシュ様への感謝の気持ちが溢れ出しました。

(お二人とも、なんてお優しいのでしょう。天使のような方々だわ!)

セリーヌ様とブランシュ様には感謝してもしきれません。

だって私はルシアン殿下と婚約破棄したかったのですもの。

ルシアン殿下の婚約破棄宣言を証言してくださり、助力してくださったセリーヌ様とブランシュ様は、私を解放してくださった天使です。

もうラルベル公爵領とガイヤール辺境伯領には足を向けて眠れませんね。

「ラルベル公爵は娘を王太子妃にする目的ありきだったがな」

父は少し不愉快そうな顔をして言いました。

「ラルベル公爵令嬢が新たな王太子妃に内定した」

「まあ! おめでたいこと!」

フリアデル王国の特使をもてなす晩餐会で、ルシアン殿下はやらかして、金メッキが剥がれていると思うのですが。

不出来でお先真っ暗なルシアン殿下と婚約なさるなんて。

セリーヌ様はやはり大変な篤志家でいらっしゃいますわね。

他人が嫌がる仕事を率先して引き受けてくださる、セリーヌ様のその高い志、尊敬してしまいますわぁ。

(でも、そういえば……)

私は、ふと、セリーヌ様がルシアン殿下を優しくいたわり、ルシアン殿下もセリーヌ様に甘い言葉をかけていたことを思い出しました。

まるで恋人同士のようだったことを。

私がルシアン殿下に婚約破棄を告げられた日です。

あのとき、ルシアン殿下とセリーヌ様とのやりとりを聞いて、私は、ルシアン殿下と特別親しい噂の篤志家のご令嬢がセリーヌ様だと確信したのでした。

だって恋人同士のようだったんですもの。

(もしやセリーヌ様は本当にルシアン殿下と想い合っていらっしゃったのかしら。だとしたら、これは……恋愛結婚?!)

セリーヌ様は尊い社会奉仕の精神からルシアン殿下を引き受けたのではなく、本心でルシアン殿下とのご結婚を望んでいらしたのでしょうか。

(世間には、だらしない男性が可愛く見えて、世話をすることに喜びを感じる女性がいるというけれど。セリーヌ様はもしかしてそういったご趣味なのかしら?)

ともあれ。

セリーヌ様とルシアン殿下はとても仲が良さそうでした。

そして婚約をしたということは、両親も二人の仲を承諾したということですので、おめでたいことです。

私も解放されて、幸せです。

それもこれも、天使のセリーヌ様とブランシュ様のおかげですね。

「では、私は晴れて、修道院へ行って悠々自適に暮らせるのでしょうか!」

私は明るい未来を確信して、わくわく顔で父に尋ねました。

しかし父は冷厳とした表情で言いました。

「馬鹿を言うな。お前には次の縁談を用意している。ヴェルニエ公爵のご令息だ」

ヴェルニエ公爵令息……。

そういえば、ヴェルニエ公爵家には、ラルベル公爵令嬢セリーヌ様と婚約解消してフリーになったご令息がいらっしゃいました。

「ユベール様ですか?」

「そうだ。知っているのか?」

「学院で面識があります」

「王太子ルシアン殿下の評判が落ち始めている今、国王陛下の従弟であるヴェルニエ公爵に王統が移る可能性がある。縁を結んでおいて損はない」

そうなのです。

ルシアン殿下は評判が落ち始めているのです。

王妃様とともに。

フリアデル王国の特使様をおもてなしする席で、失言をしてから。

坂道を転がるように失態が続いているそうです。

ご聡明なはずのルシアン殿下が、急にどうなさったのでしょうねぇ。

不思議ですわねぇ。

「フェリシア、今度はふざけたことをするんじゃないぞ。真面目にやるのだ」

「ふざけたお相手でなければぁ、私だってぇ、大丈夫ですぅ」

「いい加減、そのふざけた口調をやめないか……」