軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

328.何を見るのか

『今や結界は緩んだ』

『我が結界を破るは、一雫の水でよい』

『鵺は自我なきモノ』

『鵺は姿なきモノ』

『それ故鵺は周囲の心を映し、中にある姿を盗む』

『本物と偽物の別を破り、此方のモノと彼方のモノの境界さえ曖昧に』

『さあ、戦え!』

アシャのよそ行きの声が響き、化身が最後に一瞬現れ、鵺を指さし、消えてゆく。

水剋火(すいこくか) か? 単に人間関係ならぬ、神々関係だったりして。

アライアンス会話

エリアス:火の神アシャ?

ロ イ:おお、やった! 封印の獣は神々が出るのか!

大 地:勝てば加護は確実であります!

暁 :おい、イシュバーンが二体にか?

エリアス:鎧の方がマズイって炎王が言ってるわ。

ロ イ:……頑張ろうぜ!

あれ、もしかしてみんな、封印の獣戦は初か?

ペテロ:こwれwはw

お茶漬:何このラインナップ? 何で守護獣二匹に幼女にデカ蛇?

ホムラ:なんで鎧が……

菊 姫:シュールでし

シ ン:黒々しい中の幼女、ペテロの関係者か?

ペテロ:ちょっwww否定できないwww

ホムラ:さすがロリコン

ペテロ:違うwホムラも同罪!

お茶漬:なんなのこれ?

ペテロ:各パーティーのメンバーが戦ったことのあるレイドボスシリーズじゃないかな?wアリスは私が戦ったことがある中で多分一番高レベル。

ホムラ:え、待て。じゃあクルルカンってアリスより強いのか!?

衝撃なんだが。

右斜め後ろに浮いていた、クルルカンの杖がスーッと移動してきて、上部がぐねっとしてクルルカンが顔を出す。戦闘中に照れないでください。

ホムラ:黒鎧、バハムートなんだけど倒せるんだろうか……?

お茶漬:飼い主が責任持って

菊 姫:炎王たち、レイドボスに単独パーティーで挑まされてたでしか……

シ ン:可哀想に。

ホムラ:私なんか、バハムートにソロでつっこまされたぞ。幸い戦闘じゃなかったけど。

ペテロ:www

はっ!

ホムラ:もしかして、最悪もふもふファイブだった可能性!?

お茶漬:もしもも何も、最初はそれ前提でしょ。しかもステージ的に弱体してる感じの。

シ ン:やってなけりゃ海ん中の鳥か。

菊 姫:どっちにしても弱体しそうでし!

ペテロ:ホムラと戦闘になったら、黒天呼びますねwww

菊 姫:あてちも白雪呼ぶでしよ

ホムラ:やめてやめて

シ ン:ガハハ! 不戦勝!

クランで話している間も変化は続き、鎧が黒い羽のようなマントを広げ畏怖を発動、アリスが花を降らせたりとそれぞれ見栄を切る。

この間、こっちは行動がとれない。ボス登場のムービーみたいなものかな。

『主、あの鎧は?』

『バハムートの姿を映したものだな。おそらくだが、攻撃はしてこないから大丈夫』

『こっちからの攻撃は通るのかしら?』

『……』

カミラの疑問に黙る私。

『飼い主!』

ガラハドがお茶漬と同じようなことを言うが、全く自信がありません。

『強いて挙げるならば、【ヴェルスの真実の楔】とか【流星】とか……神々関係のスキルだろうか』

『まあ、あるっちゃあるけどよ』

『信じられないことに持っているね』

『武器はレプリカだけれどね』

諦めたような三人の声音。

お茶漬:あ、なんか蛇のトグロの中にシルの山が見える

菊 姫:幻覚でしか? あ、日本酒!

シ ン:カジノの G(ゴールド) 持ったネーチャン!

ペテロ:www

ホムラ:何だ?

目をこらしても何もなし。【ヴェルスの眼】が発動している様子、幻覚決定! ――私だけ寂しいんだが。

「慮外者がッ、身の程を知れ! 流れよ!【流星】! 悔いよ!【断罪の剣】!」

うをっ! レプリカじゃなさそうなヴェルスの剣が来た! しかもダブルスキル持ちか!

カルの手に、いつもある水の神ファルから貰ったと聞く、刀身が薄く光る優美な剣はない。代わりに白銀に輝く、イーグルが持ってるレプリカの派手バージョンが。

容赦なく狭い範囲に降り注ぐ流星、そのど真ん中に落ちる巨大な白刃。

「不愉快だね。苛烈なる光の神ヴェルスの裁定を受けよ!【断罪の剣】」

間髪入れず、イーグルが同じスキルを放つ。武器が違うせいか、見た目からしてやや威力が落ちそうだが、彼らしい真っ直ぐな光。

「まったくだわ! 隠れたる光の神ヴェルスの裁定を受けよ! 【断罪の矢】!」

続いてカミラのスキルが流星を追うように降り注ぐ。

「その姿はとらせねぇ! ヴェルス! 【断罪の大剣】!」

最後はガラハド。大剣のスキルは発動から振り下ろすまでほんの少し他より間がある。

『――ヴェルス【断罪の大剣】?』

振り下ろされるガラハドの巨大な剣は、私とお揃い。私の方が振り下ろすまでの時間が短く、かつ2回攻撃。白くぶれた刃が最初と最後の二度、ダメージを与える。

鵺の薄く漂う黒い靄のステージに刻まれる白金。断罪大会なので、便乗してみました。

割れて光の粒になる黒い鎧。他もだいぶ削られたのか、HPが少なくなった時に使い出すスキルを放ってくる。

黒い鎧は防御力が馬鹿高いけど、HPが少ないから倒せた感じか。闘技場の時は瀕死なのに元の姿でブレスを吐いて、更に血を失っていたはずだ。

ただ傷だらけとはいえ、バハムートの防御力を突破できるスキルは少ないだろう。今のバハムートならば尚更。

「主に捧ぐは我が身、我が忠誠!【堅固なる地の盾】!【 氷楔(ひょうせつ) の盾】!」

カルの【堅固なる地の盾】はパーティー用、【氷楔の盾】はレイド用。レイド用は派手目だが、広範囲な代わりに効果は低め。

それでも二度の攻撃までは防ぎ切った。封印の獣と守護獣、アリスの『幻想魔法』での補助付きの攻撃。最初に下準備とアイテムがいるとはいえ、破格の防御力。

何より絵面がいいという。しかも、私がスキル発動を思い立つより早い対応。回復魔法はそれぞれのパーティーの回復役が働いてるし、私は【幻想魔法】を。

レベル1『幻想の広がり』、通常の範囲スキル・魔法の効果範囲を敵の数に応じて拡大する。レベル5『幻想の霧』、敵が多いほど、霧が濃くなり味方を隠す。効果的には敵の攻撃の当たり判定を下げ、味方の回避率を上げる。

敵が増えたとはいえ、一匹から五匹、いや一匹欠けて四匹なんで、フルパーティーにさえ満たない。大変微妙。

それに引き換えイケメン騎士め、涼しい顔しおっ……、あ、お顔怒ってる。

遅れるなとばかりに突っ込んでゆくロイ、炎王、続いてギル、シン、暁。回復と遠距離を守るスキルを発動させる、菊姫たち盾。

お茶漬やクラウたちの支援が、パーティーメンバーに飛ぶ。

ロイたちの到着前、断罪シリーズのエフェクトが残る中、ハルナやクルルたちの魔法や弓のスキルが降り注ぐ。

ペテロの姿は見えないが、多分なんかやってる。

ホムラ:店員さんたちが突然キレたんだが。

お茶漬:参加しておいてそれはない。僕のシル返して?

菊 姫:あたちの酒!

シ ン:俺のG持った女神!

ペテロ:www

ホムラ:笑ってるペテロは何が見えたんだ?

ペテロ:ナイショwww

酒じゃないとするとスキル石とか、忍者装備とか? いや、言えないなら暗殺者装備かな?

菊 姫:ホムラのとこの騎士さんたちは、ホムラが中心に見えたオチでしね

ホムラ:え、それでブチ切れ?

ペテロ:私たちは、他のゲームでボスのプレイヤー乗っ取りとか慣れてるからwww

ホムラ:ああ、あれ。最初は真面目に攻撃控えたのに、慣れた後はよく殺されたなあ……。

乗っ取りといいつつ、プレイヤーと光の線で繋がってボスの胸のあたりに、対象のプレイヤーの上半身が半透明でにょきっとでるが、対象プレイヤーも自由に動ける。

ただ、その技中はボスへのダメージは乗っ取られたプレイヤーが受ける。技中に暇なのと長いのとで、慣れてきたらさっさと攻撃して殺し、技を終わらせてから、生き返らす方向にシフトした。

デスペナルティも痛みもないゲームだったんで、ぎゃーぎゃー言いつつ、自分自身でも攻撃するカオスっぷり。蘇生薬カラだったオチが二回ほど記憶にある。

ペテロ:こっちでは感覚がリアルな分、腹が立つけどね。我が縄に触れるモノ、動くことあたわず! 【封印連爆】!

アリスを始めクルルカン、イシュバーンたちの周りに急に符が付いた荒縄が現れ、一絡げに縛られる。

身動きを封じられた敵に、到達したシンたちがスキルを叩きこむ。ロイは最初に敵視を集めるスキルを発動したようだが、思い直したらしく攻撃に加わる。

大技を叩き込んだ後のガラハドたちも、それぞれ敵に張り付く。

『ジジイ、大技連発大丈夫なのかよ!』

『主の前で身を滅ぼすような真似はせん』

冷静で何より。

ペテロが使ったスキルの縄がはち切れる寸前、縄についた沢山の符が次々に爆発する。

毒。確認できるだけで、強毒、猛毒、病毒、致死毒、麻痺毒。スリップダメージが酷いことになってる。

菊 姫:えげつないでし!

さて、乗り遅れないように派手に行こう。

『【降臨】『ファル』、そして『アシャ』』

天上から落ちる一雫の水滴が、地面に当たって割れ水の王冠を作ると、雫の質量を無視してステージいっぱいに水が広がる。雫の落ちた水の中央には可憐な水神ファルの姿。

水が魚の姿に盛り上がり、跳ねてまたとぷんと水に戻ると清浄な笑みを見せて消えるファル。効果はHPMPの継続回復。

そのエフェクトが消えると、次は炎を纏った巨大な剣がボスたちを斬りつける。剣の持ち手に、鎧に身を包んだ偉丈夫のアシャが現れ、今度は剣を横に払い、それと連動して渦を巻くように翻った炎のようなマントに包まれ、そのまま渦が小さくなり消えた。

聞こえるのは断末魔の悲鳴。

あれだ、ファルを呼んだことに意味がない罠。