軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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図書館から宿へ戻ってきたレオルドは、シルヴィアの部屋を訪れる。しかし、ノックをしても返事はない。なので、宿の人間にシルヴィアが帰ってきたのかと確認を取ると、まだ帰ってきていないらしい。

それがわかったレオルドは、一度自室へ戻り、ギルバートとバルバロトの二人と図書館で得たことを話し合う。

「二人は、この世界の歴史についてどこまで知っている?」

「歴史ですか? 世間一般で知られている程度ならば、というところですかな」

「私も同じですね。子供の頃に教えて貰った事くらいでしょうか」

「それは、神々の戦争とかもか?」

「ええ、そうです」

「私は戦争の話とか好きでよく聞いてましたよ」

「そうか……」

二人が創世神話について知っていることを知ったレオルドは、顎に手を当てる。

(やっぱり、常識だったんだな。じゃあ、教皇は戦いの神を復活させようとしてるんだな。しかし、一体なにが目的なんだ?)

必死にレオルドは考えるが、やはりわからない、教皇の目的は、一体なんなのかと謎に包まれており、ますます混乱する。

「なあ、ギル、バルバロト。もし、戦いの神を復活させようとしてるとしたら、そいつの目的はなんだと思う?」

「戦いの神ですか……」

「それは、やっぱり戦争とかじゃないですか? 戦いの神は戦争を起こしたりしましたし」

「まあ、そう考えるのが普通か……」

「坊ちゃま。どうしてそのような事を?」

「ん? あー、図書館で調べていて、気になったんだ」

「もしかして、レオルド様。女神よりも戦いの神を崇拝する気ですか? やめてくださいよ。そんなことしたら、邪教徒扱いされますから」

バルバロトの言うとおり、女神以外を崇拝することは、教会もとい聖教国に固く禁じられている。この世界の神々は女神を残して、既にこの世界から姿を消しているので、女神以外の信仰は邪教扱いされてしまう。

とはいっても、大地や海や空に祈りを捧げるのは見逃されることも多い。それは、信仰とは別物だからだ。

「馬鹿を言うな。そもそも俺は、女神も崇拝しておらん。信じているのは自分と、信頼の出来るお前達くらいだ」

神に祈ったところで、救われるわけでもないことを知っているレオルドは、戦いの神も女神も崇拝してはいなかった。

真に頼れるのは、己と自身が認めた仲間のみ。それ以外は、基本信用出来ないとレオルドは言っている。

「あまり、そのような事を大っぴらに言うのはやめてください。坊ちゃま。聖教国の神官に聞かれでもしたら、何を言われるか」

「ああ、それくらいはわかってるさ。まあ、今は何を言ってきてもねじ伏せるがな」

不敵に笑うレオルドは、自信満々だった。今のレオルドならば、確かに聖教国が難癖をつけてこようともねじ伏せるだけの力はある。

「それにしても、ジェックスたちは遅いな」

「そういえばそうですな。捕まったということはないでしょうから、情報収集に時間をかけてるんでしょう」

「案外、遊び呆けてるだけかもしれませんよ」

「誰が、遊んでばかりいるって~?」

丁度、ジェックスの話題を出していた時に、ジェックスが帰ってきた。タイミングよく帰ってきたジェックスはバルバロトの言葉を聞いて、喧嘩腰にバルバロトへ迫る。その様子は、街で見かけるチンピラのようだ。

「ハハハッ、ちょっとしたジョークだ」

「どこがだよ! 割とガチなトーンで言ってただろ!」

二人が、今にも喧嘩を始めそうになっている時、レオルドはジェックスに声を掛けた。

「よく戻ったな、ジェックス。それで、情報は集まったか?」

バルバロトを睨み付けていたジェックスは、レオルドに声を掛けられて、そちらを振り向く。情報収集は上手くいったかを訊かれて、ジェックスはニヤリと口角を釣り上げた。

「ああ。大将に言われた通り、聖女候補アストレアの事を調べてきたぜ」

そう言うジェックスの横からカレンがひょっこり顔を出した。

「レオルド様。イザベルさんはどこにいるんですか?」

「ん? イザベルは殿下と一緒に聖女アナスタシアのところにいるはずだ。ちょっと、聞きたい事があってな。俺では無理そうだから、殿下にお願いしたんだ」

「そうなんですね」

「イザベルがどうかしたのか?」

「いえ、いなかったので気になっただけです」

「そうか。それで、ジェックス、カレン。聖女候補アストレアのことについて話を聞こうじゃないか」

それから、レオルドが二人から聞いた情報は、概ね 運命48(ゲーム) と同じものであった。

アストレアは、聖教国の端っこにある小さな村の出身だ。所謂、田舎娘、村娘である。彼女は、あまり裕福な家庭ではなかったものの、優しい両親に、可愛い弟や妹達に囲まれて、幸せな生活を送っていた。

しかし、その生活が一変する出来事が起こる。それは、アストレアが弟や妹達に聞かせていた子守唄に、傷を治す効果が現れたのだ。

その事が切っ掛けで、アストレアは近辺の村にまで知られる有名人になってしまう。それが、彼女の聖女への始まりだった。

彼女の歌には、癒しの効果があると広く知れ渡り、やがて聖都にまで及んだ。その噂を知って、教皇がアストレアの元へ聖騎士を派遣して、聖都へ招いたという事だった。

(ふむ……。運命48なら教皇を倒してから、しばらく後の話だったが、早まったのか? いや、多分違うな。恐らく、運命48でも噂はあったんだ。ただ、メインストーリーに組み込まなかっただけ)

運命48との差異に、多少の戸惑いはあるものの、ある程度の道筋が浮かんだレオルドは、シルヴィアの帰りを待つ事にした。