軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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新たな土魔法の使い手を雇おうにも今の王国には少ないので、どうしようかとレオルドは頭を悩ませる。ゼアトの屋敷で文官達と仕事をしながら考え事をするレオルド。

そんなレオルドに一つの脅威が迫っていた。頭の中では港町について考えながら、手は書類仕事をしているレオルドに近付くのは 見えざる猫(クラールキャット) を装備したシルヴィアだ。

見えざる猫は戦争の際にシルヴィアを狙った暗殺者が皇帝から貸し与えられていた古代の遺物だ。その能力は王国最強のリヒトーすら欺いた隠密能力だ。

実際、今も潜入の素人であるシルヴィアにレオルドは気がついていない。ただし、事前にシルヴィアはイザベルとシャルロットに連絡しているのでレオルドが驚きのあまり攻撃しても守ってもらえるようになっている。

しかし、忘れてはいけない。レオルドは死の 運命(さだめ) を回避する為に日夜鍛錬に励んでいる。その中には当然、暗殺に対する術も含まれている。

そう、レオルドは書類仕事をしながらも、常に周囲を警戒するように、探査魔法を発動していた。そのため、シルヴィアが屋敷に入ってきたことに、気がついたレオルドは動かしていた手を止める。

「イザベル。今日は客が来る日だったか?」

探査魔法に引っかかったシルヴィアだが、レオルドはシルヴィアだとは気がついていない。なにせ、探査魔法でわかるのは魔力反応だけだ。つまり、まだレオルドは、シルヴィアが来たことを知らないでいた。

「いえ、今日は訪問予定はありません」

「しかし、屋敷に魔力反応が一つ増えてるぞ?」

レオルドは屋敷に勤めている使用人の数を把握している。だからこそ、シルヴィアの存在に気がついたのだ。ただし、シルヴィアだということは知らないが。

質問されたイザベルは、シルヴィアがドッキリを仕掛けようとしていることを、隠す為に嘘をついて誤魔化すことにした。

「いつもの猫じゃありませんか?」

「む? だとしても魔力反応からして猫ではないように思えるが……」

流石にそう簡単には騙せないが、ここでシャルロットが援護する。

「もしかしたら、私の使い魔かもね~。丁度、この前、猫を使い魔にしてたのよ~」

「そうなのか? そういうことなら、気にする必要はないか」

シャルロットの説明を聞いて、レオルドは納得したようで書類の方に集中した。それを見たイザベルはホッと胸を撫で下ろし、シャルロットに頭を下げて感謝の意を伝える。

そして、もう一人内心ドキドキしていた者がいる。シルヴィアだ。彼女は見えざる猫を使って姿を消して、レオルド達と同じ空間にいるのだが、レオルドに自身の存在がバレそうになった時、ヒヤッとした。

しかし、そこは気が効く万能メイドことイザベルと自他共に認める お姉様(シャルロット) の二人によって救われた。そのおかげで今、シルヴィアはレオルドの仕事ぶりを堪能する事が出来ている。

真面目に仕事をしているレオルドをシルヴィアはしばらく眺めた。今までレオルドの働いている姿を見た事がなかったので新鮮なのだ。

(真面目に働く姿も素敵ですわ)

声には出せないので心の内でつぶやくシルヴィア。やがて、レオルドは身体のこりを解すように椅子に座りながら伸びをした。シルヴィアはそれを見て今がチャンスとレオルドに近付いた。

「レ・オ・ル・ド・様」

語尾にハートマークでもついてそうな甘い囁きに続いてレオルドの耳に息を吹きかけた。

当然、レオルドは驚くわけで小さな悲鳴を上げる。

「ンヒッ!」

しかし、先ほどの声がシルヴィアだということをはっきりと認識していた。

「殿下!? え? 殿下? あれ? え……?」

間違いなく耳に息を吹きかけたのはシルヴィアだ。だが、姿が見当たらない。レオルドは混乱しながらもキョロキョロと部屋の中を見回した。

どれだけ探してもシルヴィアの姿は見当たらない。だが、探査魔法には反応がある。レオルドはその事に気がついて、イザベルとシャルロットに質問した。

「なあ、イザベル、シャル。さっきお前らは猫が入ってきたと言っていたが、本当は違うだろう?」

もう、ほぼレオルドは確信している。先程の魔力反応はシルヴィアであると。ただ、一つわからないのは姿形が見えないことだ。シルヴィアに姿を隠すようなスキルはない。それにレオルドが知る限り、姿を消せる魔道具は帝国にしか存在しない。

そうレオルドが 知る限り(・・・・) だ。実はシルヴィアが持っている見えざる猫は一部の者にしか知られていない。その中にレオルドは含まれていないのだ。別にレオルドを驚かせる為に秘密にされていたというわけではない。ただ単に言う必要がなかっただけのこと。

「さあ、なんのことでしょうか?」

「そうね。何言ってるのか、さっぱりわからないわ~」

「茶番はよせ。もう分かってる。流石に殿下の声を一度聞けばいることは分かる。先程の魔力反応は殿下のものだったのだろう?」

流石にこれ以上は隠し通せないだろう。シルヴィアは未だに自身の居場所を知らないレオルドの前で見えざる猫を解除した。

そして、同時にレオルドへ可愛らしく舌を出してウインクをしながら謝罪した。

「ごめんなさい、レオルド様。ちょっと、やりすぎてしまいました」

いきなり、目の前に現れたことも驚きではあるが、それ以上に、シルヴィアの貴重なテヘぺろが衝撃過ぎて、レオルドは言葉を失ってしまった。

(んぐぅっ!!! シルヴィアのテヘぺろ。可愛すぎかよ! こんなん好きになってまうやろ! あ、両思いだったわ……)

怒りもなにもない。むしろ、シルヴィアの可愛過ぎる姿にレオルドはハートを打ち抜かれていた。そんな風に固まってしまったレオルドに、シルヴィアは戸惑ってしまう。

その様子を眺めていたイザベルとシャルロットは、お互いに顔を見合わせてクスリと笑っていた。

そして、一緒の部屋で仕事していた文官達はイチャついていないでさっさと仕事をしろと内心で怒り狂っていた。