軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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久しぶりに家族と買い物に行ってから数日後、レオルドは王城へ来ていた。婚約者であるシルヴィアに会うためと、国王への顔出しである。まあ、顔出しというが研究の進捗状況を報告することが目的だ。それに、レオルドは研究所を何度も爆破させているので、その謝罪も兼ねている。

「お久しぶりでございます、陛下」

「うむ、久しいな。レオルド」

レオルドの前には以前より少しやつれた国王がいた。レオルドは一体何があったのだろうかと疑問に思い、国王へやつれたことを訊いてみた。

「陛下。少しやつれたのでは?」

「……お前がそれを言うか?」

「はて? 私には心当たりがありませんが……?」

「お前が度々爆破させている研究所のことで国民から苦情が来てるんだ! それも、ここ最近ずっと毎日だ!」

「それは申し訳ありません。しかし、新たな魔法を開発する為には避けられないことですので」

「本当にそうなのか? どうしても避けられないのか?」

「残念ながら陛下にはこれからもご迷惑をおかけします」

頭を下げるレオルドを見て国王は手でこめかみを押さえながら天井を見上げる。もはや、自分に出来ることは国民の不安を和らげることだけだ。恐らくレオルドは何を言っても止まることはない。そもそも、自分から頼んだことなので国王は今更止めろなどと言えるわけがない。悔やむなら過去の自分である。

「陛下。その、ここで言うのもどうかと思うのですがこれは謝罪の品です」

「そうだな。今ここで言うのはどうかと思うぞ」

そう言いつつも国王はレオルドから謝罪の品を受け取る。

「ちなみにこれの中身は?」

「酒にございます。ゼアトの方で作られた至高の一品です」

「そうか。それは楽しみだ。ところで、今日は他に用事があって来たのだろう?」

「ええ。殿下へ会いに来ました」

「なるほどな。私への謝罪はそのついでか?」

少々、意地悪そうな顔をして聞く国王にレオルドはバツが悪そうに頬をかきながら目を逸らす。

「あー、まあ、そうです」

「ふっ。随分と馴れ馴れしいものだな」

「あっ、お嫌でしたか? それなら改めますが」

「いや、構わん。国王にもなるとお前のように接してくる者も少ない。だが、時と場合は弁えろよ?」

「それは勿論です。今もこうして私を信頼してくださって二人きりの空間を用意してくれているからこそ、このような態度や言動を取れるわけですから」

「変わったな。ほんの少し前はもっとビクビクしていたのに、今は肝が据わっているというか、度胸があるというか。まあ、良くも悪くも成長しているというわけか」

「ええ。陛下が望むならいつでも 義父(パパ) と呼べるくらいには成長いたしました」

「本当にそう呼べるのか?」

「呼べますとも」

「では、呼んでみてくれ」

「ゴホン。パパ、娘さんを僕にください」

「わかった。やめてくれ。普通に呼んでくれ、頼む」

「では、どのように呼べば?」

「ふむ。そうだな。普通に 義父上(ちちうえ) でいい」

「それですと、父上と被りますが?」

「そういえばそうだったな。お前はベルーガをそのように呼んでいたな。なら、お 義父(とう) さんでいいぞ」

「父上が知ったら複雑そうな顔しそうですね」

「はははっ。そうだな。確かにしそうだ」

それからしばらく二人は談笑を続ける。しばらくの間、談笑を続けていたがレオルドは本来の目的であるシルヴィアへの訪問を思い出して、国王に別れを告げてシルヴィアの元へ向かう。

レオルドが国王と談笑している間、シルヴィアは今日レオルドが自分のところに来るということでソワソワしていた。手紙には国王への謝罪を済ませてから来ると書かれていたので、いつ来るかわからないからだ。早く来てほしいとシルヴィアは待ち望んでいるのだ。

「殿下。レオルド辺境伯が到着されました」

「そうですか。レベッカ、迎えに行ってあげて」

「はい」

ついにやってきたレオルドにシルヴィアは一度深呼吸をして息を整える。使用人のリンスにシルヴィアはおかしいところがないかと訊いてみた。

「ねえ、リンス。私、どこか変じゃない?」

「どこも変ではありませんよ。寝癖もありませんし化粧もバッチリです。ドレスもシワ一つございません」

「そう? 良かった。レオルド様に会うのだから恥ずかしい格好は見せられませんわ」

「レオルド辺境伯なら殿下がどのような格好をしていようとも問題なさそうに思いますが」

「駄目よ。だって一番綺麗な私を見てもらいたいもの」

「殿下……。そのセリフをレオルド辺境伯に言えばコロッといけますよ」

「え、本当!?」

そのようなやり取りしていると、レベッカがレオルドを連れて戻ってくる。レオルドを視界に捉えたシルヴィアは先程までのやり取りが嘘であったかのようにキリッとした表情になる。

「お久しぶりでございます、殿下」

「お久しぶりですね、レオルド様。どうぞ、お掛けください」

「では、失礼して」

椅子に腰掛けるレオルドへリンスが紅茶を差し出す。紅茶を貰ったレオルドはリンスにお礼を言う。

「ありがとう。早速いただくとしよう」

レオルドは紅茶を一口飲んでから、シルヴィアへここ最近にあったことを話す。

「殿下。知っているとは思いますが、やはり神聖結界の代用品は難しいです」

「そうみたいですね……。これまでも多くの方々が神聖結界を解明し、代用品を作れないか試行錯誤してきましたが完成には至りませんでしたから」

「ええ。悔しいですが未だに糸口が見えません」

「……申し訳ございません。私のせいでレオルド様に負担ばかりかけて」

「殿下。そのようなことはありません。誰が悪い訳でもありませんから自分のことを責めるのだけはおやめください」

「ですが、私のスキルのせいでレオルド様との結婚が……」

そう、シルヴィアが一番気にしているのは神聖結界の代わりが出来ない限りレオルドとの結婚が遅くなってしまうことだ。いずれは結婚する二人だが神聖結界を王都に張り巡らせているシルヴィアは王都から離れることが出来ても一生は無理だ。レオルドが王都に来れば問題はないのだが、レオルドはゼアトの領主である。ゼアトから離れることは出来ても王都に住む事はできない。

だからこそ、国王はその問題をどうにかすべくレオルドを頼ったのだ。しかし、そのレオルドでさえも神聖結界の代わりになる結界を作るのに難航している。そのため、シルヴィアが自分を責めてしまうのも仕方がないと言えるだろう。