作品タイトル不明
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「ふむ……」
「何を考えてるのかしら?」
「いいや、ついに来たかと思っただけだ」
腕を組んで見上げる先には闘技大会が開催される会場がある。レオルドは今、シャルロットとギルバートの二人と一緒に闘技大会の会場前に来ている。他のメンバーは後ほど合流予定である。
ちなみにジェックスとカレンは変装をして来るとのこと。カレンは必要ないのだがジェックスは餓狼の牙ということが判明しているので隠す必要があるので変装するのだ。
「それにしてもすごい活気だな」
闘技大会、それは一種のお祭りであるので屋台が出ている。定番のりんご飴やわたがしにチョコバナナと日本の縁日を思い起こす。まあ、ここは日本人が考えた世界なので当然と言えるだろう。
さて、お祭り騒ぎになっているので当然騒がずにはいられない。なので、レオルドとシャルロットは互いに好きなものを買いに出る。
ギルバートは特に欲しい物はないので二人が帰ってくるのを待つだけである。
二人が買い物から帰ってきて、待ち合わせ場所になっていたギルバートの元に集まる。二人は両手いっぱいに屋台で買ったものを抱えている。そんな二人を見たギルバートはため息を一つ零してから呆れたように笑う。
「シャル。ちょっと買いすぎじゃないか?」
「そういうレオルドこそ買いすぎよ」
「お二人共、変わりませんよ。それよりも、それだけ沢山抱えていたら移動も辛いでしょうから座れる場所へ移動しましょうか」
二人はギルバートに言われて、移動を始める。三人は用意されている休憩所に着いて、空いてる席を探して座る。
三人は屋台で買った軽食をつまんでいく。それから、少しの雑談を終えてレオルドは家族と合流するために闘技場前に設置されている受付の元へと向かう。
受付の前は参加者で溢れかえっており、待ち合わせ場所には向いていなかったが、レオルドの家族は公爵家なのでVIP待遇である。つまり、一般参加とは違って、レオルドは並ばずに闘技大会の参加を申し込める。
「今年は多いな」
「そうよね。毎回こんな感じなの?」
「いや、俺は過去に一度優勝した以降は参加していないから知らん」
「そうなの? じゃあ、ギルは?」
「私は参加したことがありませんからな。坊ちゃまが参加した時よりは多く感じますが……」
「う……む。よく覚えてないからな。まあ、そういうものなのだろう」
三人は一般参加の列の横を通り過ぎていく。そうして、VIPというより上位貴族のみを受け付けている係員の元へと辿り着く。そこには、ベルーガを初めとしてオリビア、レグルス、レイラの四人が待っていた。
係員に参加を申し込み、レオルドは家族の元へと向かう。
「もう着いていたのですね」
「ああ。ところで、お前が連れてきているのは二人だけか?」
「ええ。この二人だけです。まあ、後から観戦に来るとのことです」
「そうか。こちらの方で席を用意しているから、到着したら連れてくるといい」
「わかりました」
「レオルド。貴方が優勝するのを楽しみにしてるわ」
「母上。期待に応えられるかはわかりませんが精一杯戦うつもりですから、どうか見守っていてください」
「ええ、頑張って。レオルド」
「兄さん。僕は兄さんが優勝するって信じてます!」
「少年の部ではないからな。まあ、できるだけ頑張るさ」
「レオ兄さんっ! そこは優勝するって宣言するところでしょう! 弱気になったら負けなのよ」
「あのな、レイラ……そう簡単に優勝は出来ないんだぞ。参加者がまだ分かっていないが腕に自信がある者ばかりだし、そもそも予選を突破しなければならないからな」
「それはそうだけど、レオ兄さんはもっと自信を持つべきよ。そうすれば自ずと結果は出るわ」
「む……ふっ。そうだな。最初から弱腰なのはいけないな。助言感謝する、レイラ」
「ええ! 頑張ってね、レオ兄さん!」
四人からの声援を受けてレオルドは大会へ臨む。
まずは予選を突破しなければならない。毎回多くの参加者が募るので、予選はダメージを数値化する魔道具を使い、規定値を超えた者のみが本選に選ばれる。
規定値を超えた者が多い場合は、ダメージ値が高い順となっている。
そして、その規定値は前回優勝者の数値を基準としている。なので、毎回バラつきがあるのだが、今回は前回優勝したリヒトーの数値が基準なのでかなり予選のハードルが高くなっている。
そのリヒトーを基準とした規定値は420である。高いか低いかと言われたら、高いと言えるだろう。
このダメージ値は 運命48(ゲーム) でも使用されている。そして、運命48の 体力(HP) は9999が上限であるので、一撃420という数字は馬鹿には出来ないだろう。
もちろん、リヒトーが叩き出した数値は本気という訳ではない。一般参加者でもクリア出来るであろうと手加減した結果なのだ。
「……何人、突破出来るんだろう?」
恐らく数百を超える参加者の一割も残らないだろう。残念ではあるが、ハードルがあまりにも高い。
そう思うとレオルドは苦笑いしか出来なかった。