軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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ゼアトでレオルドは使者が来るのを待ち構えていた。刻一刻と過ぎていく時間が妙に長く感じるレオルドは緊張に喉を鳴らす。

一旦、冷静になろうと書類仕事を始めて、使者が来るまで時間を潰す。

しばらく書類仕事に没頭していると、イザベルから客が来たと伝えられる。一体、こんな時に誰なのだろうかと確認するレオルドは客の名前を聞いてすぐに迎えに出る。

玄関へ向かうと、そこにはシルヴィアが護衛を引き連れて立っていた。

「ようこそ、シルヴィア殿下。本日はどのようなご用件で私の元に?」

どうして、このようなタイミングでシルヴィアが来たのかと首を傾げるレオルドに、シルヴィアははっきりと答える。

「レオルド様。帝国から使者が参られるそうですね」

「え、ええ。もしかして、その件でゼアトに?」

「はい。レオルド様が困っていると思って、私いても立ってもいられず。だから私、来てしまいました」

(ん~……嘘ではなさそうだな。それにシルヴィアがいれば交渉も有利に進められるかもしれないし……)

その通りである。レオルド一人だったなら交渉に苦しむ事になったかもしれないが、王女であるシルヴィアがいるだけで牽制することは出来る。

「そうですか。わざわざ、私の為にありがとうございます。どうぞ、中へ入ってください」

突然の来訪であるがレオルドは快くシルヴィアを屋敷へと迎え入れる。応接室に迎え入れて、お世話をイザベルに任せてレオルドは残っていた書類を片付ける。

書類を片付け終わると、レオルドは応接室へと向かい、シルヴィアの相手をする。そこには何故かシャルロットまでいた。

「殿下。帝国はどういうつもりで来ると思いますか?」

「そうですね。レオルド様を懐柔するという線が濃厚でしょうか。

しかし、レオルド様は以前に帝国の仕業とは断言できませんが、帝国のせいでご弟妹に深い傷を残される事になりましたから帝国のことは良く思っていないでしょう。

恐らく、帝国もそれを理解しているはずに違いないですわ。ですから、懐柔は不可能。ならば、婚姻関係を結ぶという手もありますがレオルド様が帝国の貴族とは結ばないという事は向こうも理解しているはずです。

あとは、考えたくはありませんが虚偽の罪を着せることでしょうか」

「虚偽の罪? それは流石に――」

「いいえ、レオルド様。貴方がゼアトで作り上げた水道は帝国の作りに酷似していますわ。そこを突いてくれば、レオルド様に罪を被せる事は可能ですわ。

帝国の技術を盗んだ、そう言われれば私達としても否定が難しいです」

(いや、そこは頑張って否定して欲しいんだが……)

心の中で本音を留めておくレオルドは無難な考えを述べる。

「真似ただけと言うのは難しいでしょうか?」

「難しいですわね。帝国は大陸一の大国。故に技術を独占し秘匿していますから、他国へ技術が流れ出るような事はないのです。なにせ、技術を他国へ売り渡そうとすれば問答無用で殺されますから」

「なるほど。では、向こうの言い分としては私が盗んだとでも言うつもりなのでしょうか?」

「あくまで予想に過ぎませんわ。実際に話して見ない限りは何ともいえません」

「わかりました。では、もうしばらく待っていましょうか」

二人はイザベルが用意した紅茶を飲みながら談笑を始めようかとしたら、空気になっていたシャルロットが怒り出す。

「ちょっと! 私を置いてけぼりにしないでよ!」

「いや、お前、こういうの嫌いだろ?」

「まあ、そうだけど。二人だけで盛り上がってるのは楽しくないじゃない」

「知らんわ。お前の都合なんか考えてる暇はないんだよ」

「それはそうかもだけど、少しくらいは私の相手してくれてもいいじゃない」

「今は殿下と話してるんだ。お前とはまた今度でもいいだろ」

「む~! ねえ、シルヴィア~。私と恋バナなんてどう~?」

「こ、恋バナ! そ、そそそれはまた今度という事で」

えらく動揺しているシルヴィアを見てレオルドは不思議なものを見たと目を丸くした。恋バナ如きでここまで動揺することはないと思っていたから余計に驚いているのだ。

「え~? でも、シルヴィアって結構レ――」

「わー! わーー! わーーーっ!」

「で、殿下!?」

慌てふためくシルヴィアにレオルドは驚き、そんな二人を見てシャルロットはお腹を抱えて大笑いしている。

「おい、シャル! 殿下に何をした! まさか、精神干渉系の魔法を使ったのか!」

「そんなことしてないわよ~。ただ、ちょ~っと、からかっただけよ」

「本当ですか、殿下? 何かおかしなことはありませんか?」

心配そうにシルヴィアの下へと近寄るレオルドにシルヴィアは心臓が爆発しそうだった。先程までは真面目な話をしていて冷静だったのに、シャルロットの一言でシルヴィアはレオルドを意識してしまった。

おかげで、今はパニックに陥っている。まともに顔を見ることが出来ないシルヴィアは悔しそうにシャルロットに目を向けた。

「殿下? やっぱりお前が原因か!」

レオルドはシルヴィアがシャルロットを睨んでいる事に気がついて問い質す。

「だーかーらー、違うって言ってるでしょう?

むしろ、原因は貴方よ、レオルド~」

「え? そうなのですか、殿下?」

「そういうわけじゃないのですが……」

どんどん声量が小さくなるのでレオルドはシルヴィアに近付き、もう一度尋ねる。

「何と言ったのですか? 殿下、聞えなかったのでもう一度お願いします!」

「あうぅ……」

余計に縮こまるシルヴィアを見てレオルドは確信する。シャルロットの言う事は本当だったと。自分が原因だと分かったレオルドは大人しくシルヴィアの元から離れる。

「申し訳ございません、殿下。私が至らないばかりにご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ありませんでした」

深々と頭を下げるレオルドを見てシルヴィアはオロオロと困ってしまう。謝らせるつもりはなかったし、出来ればもっと楽しく話したかったのに、どうしてこのようなことになってしまったのかとシルヴィアは嘆く。

そんな二人を見て満足したのかシャルロットは、こっそりと姿を消すのであった。