軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

874 クマさん、会場を片づける

そして、表彰式が終わり、大会は終了となると思ったら、12歳以下で優勝した女の子が13歳以上で優勝したお爺ちゃんに対戦を申し込む。

なんでも、強い人と対戦したいとのことだ。

お爺ちゃんも、孫娘ぐらいの年齢の女の子に対戦を申し込まれて、嬉しそうに挑戦を引き受ける。

そして、会場は老若男女に関係なく、あちらこちらで対戦が始まる。

リアナさんは困った表情をしている。

「予想外のことが起きて、リアナ困っているわね。ちょっと助け船を出さないといけないかしら」

ミレーヌさんが立ち上がる。

「わたしが行って来るよ」

今回はリアナさんが主催で、わたしが補佐的な役目だ。

最後にギルマスのミレーヌさんに助けてもらったら、落ち込むかもしれない。

わたしはリアナさんのところに行く。

「ユナさん」

「対戦いいんじゃない。リバーシを広めるのが目的だし。ただ、後片付けが大変だと思うけど」

「そうなんですよ。手伝ってくれているギルド職員も、業務に戻ることになっていて」

「そういうことなら、わたしたちも片付けを手伝うよ」

「ああ」

ルリーナさんとギルが申し出てくれる。

その話を聞いていたのか、参加してくれた人たちや応援していた人たちからも声があがる。

その言葉を聞いて、リアナさんとわたしは頷く。

「それでは会場を自由に使ってください。でも、終わりましたら、片付けをお願いします」

会場から返事が上がると、それぞれが対戦をやり始める。

リアナさんは会場にいるギルド職員に説明に行く。

わたしは会場を見渡す。

みんな楽しそうにリバーシをしている。

見学をしていた人も、知り合いに教わり始める人もいる。

まさか、ここまで盛り上がるとは思いもしなかった。

「ユナさん、ありがとうございます。成功したのはユナさんのおかげです」

戻ってきたリアナさんがお礼を言う。

「そんなことはないよ。わたしは少し、手伝っただけだよ」

わたしの言葉にリアナさんは首を横に振る。

「ユナさんがポスターを描いてくれなかったら、大会のポスターを見てもくれなかったと思います」

文字だけより絵があったほうが興味を引くからね。

「ユナさんが賞品を用意してくれなかったら、大会に参加してくれる人はこんなに集まらなかったと思います」

賞品を目的に参加する人もいた。

「お店でリバーシの対戦コーナーを作ってくれました」

初めは体験コーナーだったけど、途中からは対戦コーナーに変わっていた。

「他にもいろいろとしてくれました」

「わたしだけじゃないよ。他のみんなも手伝ってくれたよ」

フィナとティルミナさんのアイディアもある。

わたしだけのアイディアではない。

それに他の人たちも宣伝してくれた。

わたしだけの力ではない。

「それに、この会場だって、ユナさんが作ってくれなかったら、大会をする場所が無くて困るところでした」

「そのときはミレーヌさんが助けてくれたよ。わたしが手を貸さなくても、いろいろな人が助けてくれたと思うよ」

「そうですね。今回のイベントを開くのに、いろいろな人に助けていただきました」

「それでいいと思うよ。わたしと違って、リアナさんは助けてくれる人が多いんだから」

わたしの言葉にリアナさんは呆れた顔になる。

「わたしより、ユナさんのために手伝ってくれる人の方が多いと思いますよ」

同じ言葉を言い返された。

リアナさんと話をしているとお爺ちゃんと女の子の対戦が終わる。

どうやら女の子が勝ったみたいだ。

勝った女の子がわたしに目を向けると、わたしのところにやってくる。

「あのう、冒険者でクマの憩いの店を経営しているユナさんですよね」

「そうだけど」

「わたし、エルテと言います。お願いがあるのですが、クマさんと対戦させてください」

女の子は頭を下げる。

「くまゆるとくまきゅうと?」

「そちらのノアール様にクマさんがお強いと聞きました。対戦がしてみたいです」

エルテと名乗った女の子が近くにいたノアを見る。

わたしもノアに目を向ける。

「ごめんなさい。負けたのは、ほんの少し悔しくて、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんのことを話してしまいました」

「13歳以上で優勝した方にも勝ちました。あとはノアール様が強いと言うクマさんと対戦するだけです」

お爺ちゃんが本気で対戦したようには見えなかった。

孫娘と楽しむ感じだった。でも、お爺ちゃんに勝ったのは事実だ。

「せっかく優勝したんだし、負けることはないと思うけど」

「わたしは負けるつもりはありません」

エルテは自信に満ちあふれた目で言う。

わざと負けさせるべきか、それとも天狗になった鼻を折るべきか。

なんとなくだけど彼女に勝たせるのは、よくないような気がする。

「本当に強いよ。手加減はしないよ」

「不要です」

そこまで言うなら、戦ってもらおう。

くまゆるを召喚する。

「くまゆる、この子と本気でリバーシの相手をしてあげて」

「くぅ~ん」

くまゆるとエルテは空いている席に移動する。

くまゆるを見て驚く人もいるが、ほとんどの人がくまゆるを知っているのか、大騒ぎにはならない。

小さい子は「くまさんだ〜」と言って近寄ってくるぐらいだ。

そして、優勝したエルテとクマが対戦すると知って、人が集まってくる。

エルテが椅子に座り、くまゆるは地面に座る。

人間用の椅子じゃ、くまゆるには小さいからね。

「くまゆるは石を掴めないから、わたしがするね」

「はい。構いません」

エルテとくまゆるの対戦が始まる。

先行のエルテが石を置く。くまゆるが爪で置く場所をコツンと指す。

わたしはそこに石を置き、挟んだ石を裏返していく。

エルテは思考のたびに手が止まるが、くまゆるはエルテが石を置くとすぐに爪で置く場所をコツンとする。

それがエルテを精神的に追い詰めていく。

「ゆっくりでいいよ」

エルテは考える。

石を置き、挟んだ石を裏返す。

そして、すぐにくまゆるが爪で置く場所を指定する。

素人のわたしが見ても分かる。くまゆるのほうが優勢だ。

上と右の端を2つ取り、右上の角も取った。

エルテは左下を取ろうとしているが、くまゆるが取らせないように置いている。

どうにか、下の端を取ることができたが、左端をくまゆるが取る。

もう、勝負はあった。

くまゆるは端と角を3つ取り、中央の盤面もくまゆるの石のほうが多い。

「負けました」

エルテは唇を噛みしめると頭を下げる。

「もう一度お願いします」

「待ってくれ、わしもそのクマと本気でしたい」

優勝したお爺ちゃんが名乗り出す。

「待ってください。もう一度、わたしにさせてください」

「ほう、なら、本気のわしに勝ったら譲ろう」

エルテとお爺ちゃんの対戦が始まる。

本気を出したお爺ちゃんにエルテは負ける。

やっぱり、さっきは孫娘モードだったみたいだ。

「それじゃ、わしと勝負しようかクマ」

お爺ちゃんとくまゆるの対戦が始まる。

お爺ちゃんは真剣な表情だ。

くまゆるも真剣?

見学をする人が集まる。

そして、勝ったのはくまゆるだった。

周りから歓声があがる。

「わしもクマとやらせてくれ」

「わたしもクマちゃんとやりたい」

他にもくまゆると対戦したいと言う人が集まり始める。

流石にダメと言える雰囲気ではない。

だからと言って、くまゆるだけでは対処できないのでくまきゅうも召喚する。

だからといって全員と対戦するわけにはいかない。

「くまゆるとくまきゅうは強いから、大会に参加してバッジを3つ以上持っている人だけね」

「ええ〜〜〜〜」

って言葉も聞こえるが、弱い人は対戦の資格はない。

最低でもバッジは3つ用意してくれないとダメだね。

「あと一人一回ね」

くまゆるとくまきゅうと対戦する列ができる。

流石に全員の対戦にくまゆるとくまきゅうの代わりに石を置くことはできない。

なにより面倒臭い。

なので、石を置く係はノア、ミサ、フィナ、シュリの4人に交互に頼むことにした。

「ユナさんのクマって、リバーシもできるんですね」

リアナさんがリバーシをするくまゆるとくまきゅうを見ながら言う。

「わたしも驚いたけど、できるみたい。手加減なしだと、ノアたちは誰も勝てなかったよ」

「そんなに強いんですね」

実際にくまゆるは12歳以下と13歳以上の優勝者に勝った。

それを証明するように、くまゆるとくまきゅうは一度も負けることはなかった。

そんな中、小さい女の子が「黒いクマさんと白いクマさん、どっちが強いの?」と言って、場が凍り付いた。

夢の対戦が行われることになった。

結果は32対32の引き分けだった。

そして、夕方になり会場は片づけられる。

「ゴミは、この中に入れてください」

残っていた人たちがゴミを集めてくれる。

ちゃんとゴミを片づける人もいるけど、捨てる人もいる。

こればかりはモラルの問題だから、しかたない。

会場が綺麗になるとリアナさんはゴミを拾ってくれた人にお礼を言う。

ギルやルリーナさんはゴミを片づけると帰っていった。

「それじゃ、お先に失礼します」

リアナさんや残ってくれた一部のギルド職員はゴミを積んだリアカーを運んでいく。

ノアとミサは遅くなる前に帰り、シュリが眠そうにしていたので、ティルミナさんが連れて帰った。

孤児院の子たちも途中まで手伝ってくれていたけど、遅くなる前に帰っていった。

そして、会場には誰もいなくなり、残っているのはわたしとフィナだけだ。

「寂しいですね」

会場を見たフィナが呟く。

たくさんいた人がいなくなれば、寂しい気持ちになる。

「最後に壊すんですよね」

「このままにしておくわけにはいかないからね」

わたしは最後の片付けとして、土魔法で作った会場を壊す。

テーブルと椅子と観客席は崩れ落ち、更地になる。

これで、片付けは終了だ。