軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

875 クマさん、まったりする

リバーシ大会は無事に終わって家に帰ってきた。

12才以下で優勝したエルテはくまゆるに負けたあとくまきゅうとも対戦したけど、負けていた。

さらには他のお爺ちゃんたちとも対戦をしていたけど、本気を出したお爺ちゃんに負けて、へこんでいた。

若いときの挫折は必要だからね。

あのまま勝っていたら、横柄な女の子になっていたかもしれない。

ちなみにノアたちもお爺ちゃんたちと対戦していたけど、負けていた。

あの1位から3位まで独占したお爺ちゃんたちは強かった。

でも、そのお爺ちゃんたちさえもくまゆるとくまきゅうには勝てなかった。って言うよりも、くまゆるとくまきゅうは誰にも負けなかった。

お爺ちゃんが「もう一度だ」と叫んでいた。

よほど負けたのが悔しかったみたいだ。

くまゆるとくまきゅうの頭の中にはコンピューターでも入っているのかもしれない。

ちなみにくまゆるとくまきゅうとの対戦は一回だけなので、お爺ちゃんの申し込みは却下された。

翌日、昼食を食べにクマの憩いの店に顔を出す。

パンを選び、端のほうにある席で、まったりとパンを食べる。

子供たちは忙しそうに動き回り、カリンさんは店内と厨房を行き来している。

平和だね。

「ユナさんです」

まったりとパンを食べていると名前を呼ばれる。

声がしたほうを見るとノアとミサがいた。

「ノアとミサも昼食?」

「はい。ミサが明日帰るので、食べに来ました」

「フィナちゃんとシュリちゃんとも約束したんですが」

ミサは周りを見るけど、2人はいない。

「少し前からいるけど、フィナとシュリは見てないよ」

そう言って入り口を見た瞬間、ちょうどフィナとシュリが店に入ってきた。

わたしと目が合う。

「来たみたいだよ」

「ノア様、ミサ様、遅れてごめんなさい」

フィナとシュリがやってくる。

「わたしたちもちょうど来たところですよ」

フィナがわたしを見る。

「ユナお姉ちゃんも一緒だったんですね」

「わたしがパンを食べていたら、ノアたちが来たんだよ」

「そうなんですね」

「それでは、みんなでパンを買いに行きましょう」

ノアを先頭にパンが並んでいるカウンターに向かう。

4人は楽しそうにパンを選んでいる。

「若いっていいね」

「なに、年寄りくさいことを言っているの。ユナちゃんも若いでしょう」

声をかけてきたのはティルミナさんだった。

わたしの背後を取るなんて。

冗談はさておき。

「昨日の今日で4人とも元気だから」

わたしはクマ服のおかげで疲れは残っていないけど、引きこもりの体で、一日中動けば、翌日はベッドの上だ。

なのに4人は元気だ。

「確かにそうね。2人とも昨日の夜は疲れてすぐに寝たみたいだけど、朝起きたら元気だったわ。ユナちゃんの言うとおりに若さのおかげかしら?」

わたしとティルミナさんはちびっこたちを見て、しみじみと言う。

「もう、ティルミナさんまで、ユナちゃんみたいに言わないでください」

わたしたちの会話を聞いていたのか、カリンさんが口を挟んでくる。

「たまにユナちゃん、わたしを見ても、『若いって凄いね』と言うんですよ」

「それは、毎日動き回っているのに疲れた様子もないから、凄いって意味だよ」

「ユナさんだって、冒険者なんだから、わたし以上に動き回っているでしょう」

「わたしはできるなら、動きたくない」

だらだらしたい。怠けたい。

「ティルミナさんからもなにか言ってあげてください」

「まあ、ユナちゃんはやる時はやる子だから」

ダメな子に言う感じに言わないでほしい。

「フィナたちが戻ってきたみたいね。それじゃ、わたしは食材の在庫確認をしてくるから」

「わたしも仕事に戻りますね」

ティルミナさんとカリンさんは、それぞれが仕事に行ってしまう。

「あれ、お母さんは?」

「食材の在庫確認に行くって」

定期的に同じ量の食材を仕入れているが、偏りが出て余りそうな食材の調整をしたり、あまった食材は孤児院に持って行くようにしている。

そういう細かいことをしてくれているので食材の無駄にはならない。

ちなみにクマさん食堂では食材の発注はアンズさんたちがやっているけど、余った食材は孤児院に回ってくる。

その食材を見て、リズさんやニーフさんが孤児院の料理を作っている。

魚介類の調理が得意なニーフさんがいるのも強みだ。

廃棄ほど無駄なものはないからね。

フィナたちはわたしと同じ席に座り、パンを食べ始める。

「もう、お店ではリバーシの対戦はしないんですね」

ノアの言葉に全員がリバーシ対戦コーナーだった場所に目を向ける。

リバーシ対戦コーナだった場所には『リバーシ対戦コーナーは終わりました』と紙が貼られている。

「大会は終わったからね」

一応、トラブル回避のために大会前日まで『対戦コーナーは大会前日までです』と貼り出してあった。

「この数日間、通っていましたから寂しいですね」

わたしが描いた大会参加のポスターも剥がされている。

本当に終わったんだなと思う。

「次回大会をするかは分からないんですよね」

「まだ、終わったばかりだからね。やるとしても、いろいろと準備が終わってから発表になるんじゃないかな」

ルールや賞品も変わる可能性もある。

今回の大会は失敗部分もあった。

そのあたりの修正もある。

すぐには決められないと思う。

「ノアお姉様。また大会が行われると分かりましたら、教えてくださいね」

「もちろんです」

まあ、大会をするとしても来年かな。

「そういえば、食べ放題の券はいつ使うの?」

使用期限は大会翌日から30日となっている。

「使う予定はありません」

ノアはきっぱりと答える。

「使わないの?」

「はい、記念としてとっておきます」

「え~~、もったいないよ」

シュリが声をあげる。

「わたしは食べるより、思い出として残したいんです。だから、賞品でいただいたくまゆるちゃんとくまきゅうちゃんのぬいぐるみも賞状と一緒に飾ってあります」

「ノアお姉様、大切に飾っているんですよ」

「優勝はできませんでしたが、3位になれました。それもみんなと練習したおかげです。大切にするつもりです」

大切にしてくれるのは嬉しいけど、食べ放題の券は使ってほしいものだ。

「食べ放題と言っても、わたしはそんなに食べられません。それにたくさん食べて太ったら、ララに怒られて店の出入りを禁止されてしまいます」

人によっては食べ放題は魅力的ではないかもしれない。

だから、くまゆるとくまきゅうのぬいぐるみセットを選ぶ人が多かったのかもしれない。

詳しくは知らないけど、将棋や囲碁の大会の賞品って、商品券もあると聞いたことがある。食べ放題でなく、金額にする?

なにか金額にすると生々しいから、嫌って気持ちもある。

それなら回数券とかにして パン2~3個を10回分とか?

あと、聞きかじりだけど、カードゲーム大会だと特別なカードが貰えるとかあるらしい。

リバーシ大会なら、特別製のリバーシとかになるのかな?

金でできたリバーシは流石に無理だから、クマバージョンの石とか?

まあ、今後大会をするにしても、賞品を考えるのはリアナさんの仕事だ。

もちろん、アドバイスや手伝いが必要なら手を貸すつもりだ。

「でも、毎日、こんな美味しいパンが食べに来られるノアお姉様が羨ましいです」

ミサはそう言って、クマ耳のパンを千切って口に入れる。

「わたしだって、毎日は無理ですよ。たまにです」

「たまにでも羨ましいです」

「フィナとシュリこそ毎日食べているのでは?」

「売れ残ったときに食べているぐらいです」

「売れ残りだから、クマパンは食べられないよ」

クマパンは人気がある。

だから、売れ残ることは滅多にない。

残ったとしても優先的に孤児院に回される。

もしかしたら、わたしが一番食べているかもしれない。

「ミサ様は明日には帰るんですよね」

「明日の早朝、出発します」

「見送りに行きますね」

「わたしも!」

「ふふ、ありがとうございます」

ミサは嬉しそうに微笑む。

「そういえばマリナたちは?」

一度も見かけなかった。

「お祖父様と一緒にミリーラに視察に行って、昨日帰ってきました」

ミリーラとシーリンでも魚介類の流通は始まっていると聞いた。

「お父様は領主となったばかりで忙しいので、お祖父様が代わりに今後についてのことで相談しに行ったんです」

「そうなんだ。それで応援にも来ていなかったんだね。グランさんなら応援に来るかと思っていたけど見かけなかったからね」

「本当はわたしの応援をしたかったみたいですが、お祖父様のことを知っている人がいるかもしれないので、断りました」

「グランお爺さま、落ち込んでいましたね」

「もし、お祖父様の孫娘と知られましたら、変装した意味がなくなります。それで騒ぎになれば、今回の大会を頑張ってきたリアナさんやユナお姉様に迷惑をかけることになります」

騒ぎになれば、ミサは参加できなくなったかもしれない。

そう考えると、応援するなら、グランさんにも変装してもらわないとダメだね。

昼食を食べ終えたわたしたちはミサの希望でくまゆるとくまきゅうと散歩することになった。

街を出て、草原に向かう。

ノアとミサを乗せたくまゆるとフィナとシュリを乗せたくまきゅうが草原を走る。

そんなフィナたちを眺める。

平和だね。

翌日の朝、ミサはグランお爺さんとマリナたちと一緒に帰っていった。

わたしもくまゆるとくまきゅうと一緒に見送りにいった。