軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

743 ノア、お城を見る

サクラとシノブの厚意により、お城を見学することができるようになりました。

カガリさんが国王様にお会いになった際に、お願いしてくれたそうです。

本当にカガリさんって何者なんでしょう。

みんな、カガリさんを尊敬しているように大切に扱っています。

お姫様かと思っていたのですが、違うような気がします。

とりあえず、わたしたちはお城にやってきました。

わたしの国にあるお城とは全然違います。

ミサもわたしと同様にお城の違いに驚いてます。

お城を見上げているとサクラが「伯父様」と声をあげます。

サクラの伯父様? つまり、国王様?

ユナさんに小さい声で尋ねます。

するとやっぱり国王様だと言います。

緊張が走ります。

もしかして、お会いするかもと思っていましたが、こんなに早くお会いするとは思っていませんでした。

わたしは貴族の令嬢であり、和の国と交易があるミリーラの町の領主の娘です。

礼儀正しく、挨拶をします。

ただ、現状で家名を名乗っていいのか分からないので、名前だけにします。

ミサも貴族の令嬢らしく、綺麗な挨拶をしています。わたしと同様に名乗るのは名前だけ。

国王様は、わたしたちの挨拶になにかを感じ取ったようですが、今回はユナさんの友人として扱うことにしたみたいです。

なら、わたしもそうすることにします。

挨拶も終わり、国王様は話があるそうで、わたしたちはどこかに連れて行かれることになりました。

どこに連れて行かれるか分からないけど、わたしはお城が気になって、周りを見てしまう。

それはミサ、フィナ、シュリも同様のようで、周りを見ています。

歩きながら、国王様が話しかけてきますが、代わりにユナさんとサクラが受け答えをします。

そして、奥の部屋に通されます。

この部屋なら、何を話しても大丈夫だと言います。

「それで、お前たちはいつまでいるつもりだ」

「あまり、長居をする予定はないよ」

「そうなのですか?」

ユナさんの答えに、わたしが聞き返してしまう。

まだ、見ていないところはたくさんあります。

昨日、少し街を見回っただけです。

「ノアとミサを長い間預かっていると、クリフとグランさんに心配かけさせるからね」

前のお父様なら、心配したと思いますが、最近ユナさんと一緒だと、あまり心配しなくなった気がします。

勉強とかちゃんとしていれば、外出の許可も下ります。

もし、これが他の護衛を1人だけ連れて遠出するなんて言ったら、絶対に許されないと思います。

それだけ、お父様もユナさんのことを信用しているってことだと思います。

まあ、魔物一万匹やクラーケンを倒すことができる人なんて、ユナさん以外知りません。

「この国にいる間に困ったことがあれば、言ってくれ。できる限りのことはする」

「ありがとう」

ユナさんは国王様にお礼を言うと、国王様は仕事があるから、これで失礼する、と言って、部屋から出て行ってしまった。

「それではお城を案内しますね」

サクラも立ち上がり、みんなも部屋を出ます。

それにしても、本当にわたしたちの国とは全然違います。

建物から人が着ている服。食べ物も違いました。

妖精の件で行った国は、わたしたちの国と違いがあるとはいえ、そんなに大きな違いは感じませんでした。

でも、この和の国は全然違います。

わたしたちは階段を上がり、立ち入りが許可されている城の上層階にやってきます。

遠くまで見ることができ、街が一望できます。

「うわぁ、凄いです」

ミサは目を輝かせながら、街を見ています。

こんな光景、自分の国でもそう見られるものではありません。

お城に入るとしても許可が必要です。まして、お城の上に行けることなんて、そうできることではありません。

それが、他の国のお城の上から見ることができるなんて。

それだけ、国王様はユナさんを信じていることになります。

ここからだと小さいですが、人が歩いているのが見えています。

風が吹き、髪を揺らします。気持ちいい。

「人がゴミのようだね」

わたしが気持ちよく見ていると、ユナさんがそんなことを言う。

「ユナさん……」

みんなが呆れた顔でユナさんを見ています。

「ユナお姉ちゃん、前にも同じ事を言っていました」

フィナが言います。そうなんですね。

こんな綺麗な景色を見て、そんなことが言えるユナさんの頭の中はどうなっているのでしょうか。

「この景色を見て、そんなことを思い浮かべる人はユナさんだけです」

わたしの言葉にみんな頷いています。

「えっ、『人がゴミのようだ』って人生で一度は言いたいセリフの一つじゃないの?」

ユナさんが驚いた顔で言います。

「そんなセリフ、言いたいと思ったことは一度もありません」

わたしの言葉に、全員頷きます。

「シノブなら、この気持ち分かってくれるよね?」

「思わないっすよ」

ユナさんはシノブさんに同意を求めますが、切り捨てられます。

誰も、分からないと思います。

「え、それじゃ、蟻のよう?」

「……ユナさん、同じです」

みんなから否定されたユナさんは、「カガリさんなら」とか言って少しいじけますが、フィナが慰めています。

こんな綺麗な景色を見て、「人がゴミのようだ」とか「人が蟻のようだね」とか思ったりしません。

ですが、本当に綺麗な景色です。

「サクラちゃんの家はどの辺りでしょうか?」

景色を見ていましたらミサが尋ねてきます。

「う〜ん、どこでしょう」

「あそこが、お城の入り口ですよね。あっちのほうから来たのでしょうか?」

ミサが指さしますが、違うような気もします。

馬車に乗ってやってきたので、サクラの家の場所が分かりません。

ここから、1人で帰ることになったら、帰れません。

ユナさんたちから絶対に離れないことを誓います。

「わたしの家ですか? あそこです」

わたしたちの話を聞いていたのか、サクラが指をさす。

わたしたちはサクラが指さす方向を見ます。

ミサが指していた場所とは反対でした。

「そちらの方角ですか……」

「でも、どれですか?」

サクラの家の全景が分からないので、どれがサクラの家なのか分からない。

「あの一角にある一番大きい家です」

もしかして、あれ?

塀に囲まれた大きな敷地に建てられている家があります。大きな家と言いますか、広い土地に家が建っている感じです。

わたしの家みたいに高い家ではありません。

でも、広々とした敷地に建っているので、大きいと言っても間違いではありません。

「あんなに大きかったんですね」

「家には多くの人が住んでいますので」

「ですが、あまり人がいたようには……」

ミサの言うとおりに、あまり人を見かけませんでした。

食事などもスズランさんとシノブさんが用意してくださいました。

「それはノアたちがいらっしゃったので、あの部屋には近づかないように指示を出しました」

「わたしたちですか?」

「正確にはユナ様とユナ様の関係者と言ったほうがいいでしょうか」

「ユナ様やノアたちのことは機密事項です。それに、みなさんには気を使わずに休んでほしかったのです」

確かに、いろいろな人が、わたしたちに声をかけてきましたら、落ち着かなかったと思います。

ですが、そんなことをしてくれていたとは思いませんでした。

まだ、サクラは幼いのに、そんな気遣いができるのですね。

それから、お城の上から見た景色を堪能したわたしたちは、その他の場所も見学させてもらう。

お城にもサクラの家と同じように庭園がありました。

小さい池があり、綺麗な魚が泳いでいました。金色や赤、白、いろいろな模様をした魚がいました。この魚は観賞用だとのことでした。

ユナさんが「花と同じように見るんだよ」と教えてくださいました。

確かに、泳いでいる魚をこんなに近くで見ることはありません。

「わたしの家にも小さいですが、池があって泳いでいますよ。ここを見てからだと、見劣りしてしまいますが」

「サクラ様、ここは国王様のお城っす。見劣りしても仕方ないことっすよ。国で一番と言っても過言ではないっす。でも、サクラ様の家にある池も立派っすよ」

シノブさんが少し自慢げに説明してくれます。

そうですね。わたしの国でも、お城の庭園が一番美しいと言われています。

そもそも、国で一番偉い人が住むお城の庭園と比べること自体が間違っています。

「でも、この庭園は、わたしの家にも造りたいです」

「ノアお姉さまもですか?」

わたしが何気なく口にした言葉にミサが反応する。

「ミサもですか?」

「はい。でも、サクラちゃんの家にある庭園を、わたしの家に造ったとこを想像したのですが、家には合わないような気がしました」

「……たしかにそうですね」

わたしも想像してみましたが、ミサの言うとおり、合わないような気がします。

あの縁側って言う場所から見る景色がよかったのですが、わたしの家には縁側はありません。

東屋で庭園を見ていると、シノブさんがお菓子とお茶を用意してくれました。

お菓子には砂糖のように甘い餡子が入ったお饅頭と、昨日食べようとしたおせんべいを出してくれました。

お饅頭は甘く美味しく、おせんべいは硬いですが、醤油味、海苔が巻かれたおせんべい、いろいろなおせんべいがあって、美味しかったです。