軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

729 クマさん、ノアたちとミリーラにお出かけする その1

フィナとの掃除地獄から数日後。ミサがクリモニアにくる日がやってきた。

ノアがちゃんとミサの予定を聞いて、わたしの予定も聞いてくれた。

基本、仕事が自由なわたしは、いつでも大丈夫だ。

「嬢ちゃん、久しぶりだな」

「グランさん、ミサ、いらっしゃい」

ミサの祖父のグランさんとミサがクマハウスまでやってきてくれた。

グランさんは息子のレオナルドさんに領主の座を譲り渡して隠居生活を送るつもりだったらしいが、まだ頼りないとの事で、今は補佐的なことをしているらしい。

そして、今回はミサがクリモニアへ行くということで、付いてきたらしい。

クリフ曰く、ミサの父親のレオナルドさんに、グランさんが孫のミサに甘いのでどうしたらいいか相談を受けたとか。

これはパパ友って言う奴なのかな?

そういえば、クリフの父親っていうか、ノアにはお爺ちゃんとかいないのかな。

話を聞いたことがない。

もし、なにかあったのなら、気楽に聞けることじゃないし。

わたしだって、家族のことは話せない。

「ユナお姉さま、お久しぶりです。今回、お出かけにお誘いいただきありがとうございます」

「数日の旅行だと聞いたが、どこに行くのじゃ」

「特に決めていないけど、内緒の旅行かな。ミサにどこに行ったか、聞いちゃダメですよ」

「気になるのう」

「別に悪いところに行ったりするわけじゃないから、心配しないで」

流石に和の国の事とか話されると困る。

一応、ノアにはミサに手紙を出すとき、内緒のおでかけで、家族にも内緒だと伝えてもらったはずだ。

「まあ、嬢ちゃんなら危険な場所には連れて行かないだろう」

信用されているなら嬉しい。

わたしはミサとグランさんの後ろに目を向ける。

女性冒険者が4人いる。

国王の誕生祭のときにミサとグランさんの護衛をしていた女性冒険者のマリナたちだ。

「ユナは相変わらず、クマの格好しているんだね」

まあ、呪いの防具だからね。

脱ぐとステータスが全て1になり、体力も攻撃力も魔力も速度もフィナにすら勝てない最弱になる。

つまり、簡単に死んでしまうってことだ。

クマの呪いって言うよりは、わたしの基本の能力値が底辺ってだけだけど。

でも、戦闘技術はあるよ。

体力、スピードは最低値の1だけど、戦闘技術は最大値の100って感じだ。その戦闘技術も体力と動けるスピードがなければ、意味がない。

だから、クマ装備を脱ぐことはできない。

「それじゃ、嬢ちゃんへの挨拶も済ましたから、わしはクリフのところに顔を出してくる」

グランさんはクリモニアに到着早々、まっすぐにわたしの家に来てくれたみたいだ。

本来ならクリフのところによってから来るべきなのに。

「ユナお姉さま、わたしもノアお姉さまに挨拶をしてきます」

「うん、出発は明日だよ」

「はい、楽しみです」

おでかけの後、わたしがミサを家まで送り届けることとなり、グランさんはクリフと話をしたあとマリナたちと帰ることになった。

ミサは手を振って、グランさんと一緒にノアの家に向かう。

翌日、フィナとシュリが家にやってきた。

フィナとシュリはクマの転移門でおでかけをしたことがあるので、今回はノアとミサの2人だけを連れて行くつもりでいた。

でも、ノアから、「○○○○○⚪○クラブとしては、フィナとシュリも一緒です」と言われてしまった。

よく聞き取れなかったけど、なにかのクラブに入っているのかな。

フィナに聞いたけど「えっと、なんのクラブだったかな〜」と言って目を逸らされた。

「みんなとおでかけ楽しみ〜」

久しぶりのおでかけでシュリは嬉しそうだ。

シュリはあまり連れて行ってあげていないから、よかったかもしれない。

「シュリ、今回はノアとミサのためだから、我が儘を言ったらダメだからね」

「言わないよ〜」

シュリは口を尖らせる。

ティルミナさんから、今回のフィナとシュリの貸し出し許可をもらいに行ったら「好きなだけいいわよ」と言われた。

「でも、お父さん、寂しそうでした」

どうやら娘二人がおでかけをするから父親のゲンツさんは寂しいみたいだ。

「ゲンツさんにどこに行くか、聞かれなかった?」

「聞かれましたが、お母さんがうまく誤魔化してくれました」

ティルミナさんはクマの転移門のことは知っているから、フィナを連れ回すことができる。そして、協力してくれるから心強い。

ティルミナさんにクマの転移門のことを教えておいてよかったと思う。

ただ、夫のゲンツさんにも黙ってもらっているのは少し心が痛い。ゲンツさんにはクマの転移門のことを話してもいいかもしれない。

「それで、ユナお姉ちゃん、どこに行くか決めたんですか?」

「う〜ん、とりあえずはミリーラの町と和の国かな?」

他には砂漠の街、エルフの村、王都、あとはエルフの村の通り道にあった街とかもある。フィナと掃除をしたし、いきなり行くようなことになっても安心だ。

ゆっくりと考えればいい

フィナとシュリが、くまゆるとくまきゅうと遊んでいると、ノアとミサがやってきた。

「待っていたよ」

「フィナちゃん、シュリちゃん。お久しぶりです」

「ミサ様、今日はよろしくお願いします」

「ミサ姉ちゃん、おはよう」

フィナとシュリは久しぶりに会うミサに嬉しそうだ。

わたしも久しぶりに会うから、少し嬉しい。

「それから、くまゆるちゃんにくまきゅうちゃんも」

ミサはくまゆるとくまきゅうに抱きつく。

「お会いしたかったです」

「「くぅ〜ん」」

久しぶりに会う、くまゆるとくまきゅうに嬉しそうにする。

そんなミサをノアは静かに見守っている。

「ノアは抱きつかないの?」

いつもなら、くまゆるとくまきゅうを見ると一目散に抱きつくのに。

「はい。今日はミサに譲ります」

「お姉ちゃんっぽいね」

「わたしは、ミサのお姉ちゃんですから」

胸を張りながら言う。

ノアとミサは血は繋がっていないけど、ミサに「ノアお姉さま」と呼ばれているから、姉のように振る舞いたいのかもしれない。

「くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんも、よろしくお願いしますね」

「「くぅ~ん」」

もう少し、くまゆるとくまきゅうを堪能させてあげたいけど、そろそろ出発したいので、声をかける。

「それじゃ、そろそろ行こうか」

「はい」

わたしたちはクマの転移門がある部屋に移動する。

「昨日、ノアお姉さまから、お聞きしたのですが、このクマさんの扉を開けると、他の場所に繋がっているのは本当なのですか?」

「この扉が設置してある場所限定だけどね」

「それでも凄いです。そんな魔道具があるんですね」

「ノアから聞いていると思うけど、この扉のことは内緒だからね」

「はい。誤魔化すのが大変そうですが……」

「そういえば、ノアは大丈夫だったの? クリフからいろいろと聞かれなかった?」

「それは大丈夫です。妖精の森に行くと言いました。なので、ミサのことも誤魔化してくれるはずです」

確かに、妖精の森にもクマの転移門はある。

あながち噓ではない。

確かに、クリフを誤魔化す方法としては、一番いいかもしれない。

「それで、ユナさん。どこに連れて行ってくれるのですか?」

「とりあえずは、一番近いミリーラの町に行こう」

わたしはそう言って、クマの転移門の扉を開ける。

扉を開けると、ミリーラの町にあるクマの転移門につながる。

「ここが、ミリーラの町なのですか?」

クマの転移門はミリーラの町にあるクマハウスの3階のわたしの部屋の隣の隠し部屋に置いてある。

ここからでは分からない。

「外を見れば分かるよ」

わたしはみんなを連れて、隣のわたしの部屋に移動する。

「外を見て」

わたしがそう言うと、ノア、ミサは窓に駆け寄り、その後をフィナとシュリが続く。

ノアが窓を開け飛び出す勢いで外を見る。

「海です」

「本当にミリーラなんですね」

「不思議です」

「海だ〜」

久しぶりに海を見る4人は嬉しそうに見ている。

この家から見る海の景色は最高だからね。

「それじゃ、町のほうに行こうか」

「はい」

「いきます」

「やった〜」

フィナ以外の3人が声をあげて喜ぶ。

フィナは3人を見守るポジションになってくれるみたいだ。

クマハウスから出るわたしたち。騒ぎにならないようにくまゆるとくまきゅうは小さくしておく。

騒ぎと言っても、大きいと目立ってしまうからという意味だ。

クマハウスを出たわたしたちは道沿いを進む。

直進すると目の前には海岸がある一等地だ。

そこにはクマの滑り台があるが、今は閉鎖されている。

海水浴シーズンも終わり、今は必要がないからだ。

「少し前に、みんなで泳いだんですよね」

「また、みんなで遊びたいですね」

「来年もくればいいよ」

従業員旅行は毎年やろうと思っている。

そうすればアンズも一年に一回は家族と会える。

もちろん、アンズが両親と会いたいと言えば、いつでも店を休みにしてもらってもいいと思っている。

「来年が楽しみです」

「わたしも」

ノアとミサは嬉しそうにする。

「フィナとシュリはあれから、来ているのですか?」

「ううん、わたしは来てないよ。ユナ姉ちゃん、お姉ちゃんしか連れて行ってくれないから、いつもわたしはお留守番なの」

「そうなのですか?」

ノアがわたしとフィナを見る。

「そんなことないです。わたしも、ミリーラに来るのは久しぶりです」

フィナは否定する。

先日、クマハウスの掃除に来たけど、町には行っていないので、来たことにはならないと思う。

「でも、お姉ちゃん。よく、ユナ姉ちゃんと出かけているよ」

「それは、詳しく話を聞かないといけませんね」

「はい。聞かないといけません」

3人に詰め寄られるフィナ。

「はいはい。フィナを困らせない。あの門のことは話せなかったし、これからみんなで行くんだから」

「うぅ、分かりました」

「でも、ユナお姉さまとフィナちゃんが、どこに行ったかは気になります」

「わたしも!」

「あとで、話してあげるから」

「約束ですよ」

まあ、話せる範囲で話してあげることにする。

町の中を歩くと、視線を向けられるが声をかけてくる人はいない。

ミリーラの町ではわたしに迷惑をかけないって、暗黙のルールがあるらしいので、集まって来たりはしない。わたしとしては助かる。目立つのはやっぱり、苦手だからね。

わたしたちは船が近くで見たいと言うノアとミサの希望で、船着き場に向かう。朝の漁業は終わったようで人はまばらだ。

そんな中、以前、雪山で助けたダモンさんがいた。

「嬢ちゃん久しぶり。どうしたんだ」

「この子たちと遊びに来たんだよ」

わたしがフィナたちに目を向けると、4人は軽く頭を下げる。

「前に会ったな。そういうことなら、船に乗るか?」

「いいのですか?」

わたしよりも先に、ノアが反応する。

「ああ、もちろんだ」

「実は、もう一度乗ってみたかったんです」

「わたしも」

「わたしも乗る!」

ノアに続いて、ミサ、シュリも声を上げる。

「それじゃ、ダモンさんのご厚意に甘えて乗らせてもらおうか」

3人だけではなく、フィナも嬉しそうにしている。

ノアとミサは船に乗るのは二度目だけど、久しぶりに乗る船を楽しそうにする。

もちろん、フィナとシュリも楽しそうだった。