軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

728 クマさん、フィナお母さんと掃除をする

クマの転移門で、他の場所に連れて行ってあげるとノアに約束をした翌日、今日こそ、まったりするつもりでくまゆるとくまきゅうクッションを設置する。

ただ、床に丸くなっているだけとも言う。

ノアはミサに手紙を出して、予定を確認すると言っていた。

ミサもノアと同じ貴族の令嬢だ。予定もあり、簡単におでかけできる身分ではないと思う。だから、おでかけするとしても先のことだ。

さらに言えば、今日はフィナの解体の仕事もないので、フィナは家に来ない日だ。

だから、今日こそ、のんびりすると決めた。

わたしはくまゆるとくまきゅうの間に挟まれて、まったりを開始する。

ゲームや漫画はないけど、なにもせずにダラけるのも、最高のひと時だ。

しばらく、まったりしているとフィナが家にやってきた。

「今日は、解体の仕事はお休みだよね?」

「はい。掃除に来ました」

フィナは意味不明のことを言う。

「掃除?」

「最近、家の掃除はしてますか?」

「…………」

わたしは目を逸らす。

最近、忙しかったこともあって、掃除はしていない。

と言っても、普段から物は片付けてあるので、散らかってはいない。なにより、わたしにはクマボックスって便利な片付けボックスがある。

だけど、床掃除とかしたかと言われたらしていない。

「だから、お掃除に来たんです」

「つまり、フィナが掃除をしてくれるってこと?」

「するけど、ユナお姉ちゃんも一緒にするんですよ」

そんな甘くはなかった。

「フィナお母さんが厳しい」

「お母さんじゃないです!」

「ほら、くまゆるとくまきゅうも、手伝ってください」

フィナは、床で丸くなっているくまゆるとくまきゅうに向かって言う。

「「くぅ〜ん」」

くまゆるとくまきゅうが動き出して、掃除を始めようとする。

「裏切るの? 今日は3人でのんびりまったりするって約束したでしょう?」

「「くぅ〜ん」」

「そうなの?」

フィナが確認するようにくまゆるとくまきゅうに尋ねる。

「「くぅ〜ん」」

くまゆるとくまきゅうは、困った表情でわたしとフィナを交互に見る。

もしかして、くまゆるとくまきゅうの好感度、フィナに傾いている?

「ほら、掃除をしますよ。ゴミだって捨てないと。それに天気もいいんだから、布団も干さないと」

フィナお母さんがわたしの手を引っ張る。

「分かったよ。やるから」

フィナお母さんには逆らえず、掃除をすることになった。

これが、本当の母親だったら無視して、部屋に閉じこもるんだけど、フィナお母さんには逆らえない。

わたしは布団を干し、シーツなどを洗濯する。

くまゆるとくまきゅうは、フィナの指示で器用に床や窓、お風呂掃除をしている。

クマが掃除ってシュールだね。

フィナはいつも使っている解体場の掃除をしている。

いつも、使い終わったあと、綺麗に掃除をしているから綺麗なのに、さらに掃除をしている。

「フィナって、綺麗好きなの?」

「う〜ん、そんなことはないと思う。お母さんが病気だったとき、お母さんとシュリのお世話をしたり、お金を稼ぐために仕事をしたりしていたから、掃除は最低限のことしかしてませんでした」

「そうなんだ」

当時のフィナは生きるために大変だったと思う。

「多分、お父さんと一緒に住むようになって、お父さんがお母さんによく叱られているのを見て、掃除と片付けはちゃんとしないといけないと思ったんだと思う」

ああ、そういえばゲンツさんとティルミナさんが結婚して、一緒の家に住むことになった際、ゲンツさんの家に引っ越しの荷物を取りに行ったら、部屋が酷かったことを思い出す。

「お父さん、適当なんです。だから、お母さんによく怒られて。それで、わたしとシュリも、掃除と片付けを進んでするようになったんだと思います」

反面教師ってことかな。

それに、ティルミナさんに怒られたくないなら、掃除はするかな。

「でも、お父さん、仕事道具のお手入れだけは丁寧なんです。冒険者ギルドでお手伝いしていたときも、ナイフに付いた血はちゃんと拭き取れとか、濡れたまま置いておくなとか。うるさいほど注意されました」

「職人って、そんなものだと思うよ」

どんな仕事でも、自分の仕事道具をしっかり丁寧に扱わない人は道具に裏切られると思う。

中には、壊れたら新しいのを買えばいいと言う人もいるかもしれない。でも、物を大切にするのはいいことだと思う。

「なのに、お父さん。他のことは全然ダメなんです」

フィナはそんなことを言いながらも、楽しそうに話す。しかも、掃除する手は止まっていない。

そして、久しぶりに、わたしにとっての大掃除が終わる。

くまゆるとくまきゅうは風呂掃除をしていて、濡れていたので、乾かしてあげた。

「終わった」

さて。あとはまったりするだけだ。

「それじゃ、ユナお姉ちゃん。次の家に行こう」

「次の家?」

なにを言っているのかな。この美少女は……。

「あの門を使って、ノア様とおでかけをするんですよね?」

「まあ……約束したからね」

「だから、他のユナお姉ちゃんのお家も掃除しないと。汚い家にノア様とミサ様を連れて行ったら、大変です」

「まだ、予定も行き先も決まっていないでしょう。決まってからでも……。それにそんなに汚れていないはずだよ」

……たぶん。

「ユナお姉ちゃんは、いつも忙しいでしょう。時間があるときにやらないと」

フィナお母さんは笑顔で頷く。

いつも忙しいからこそ、まったりしたいんだよ。

でも、フィナは引き下がってくれそうもない。

わたしは諦め、フィナ、それからくまゆるとくまきゅうと一緒に王都のクマハウスに移動する。

フィナの言うとおりに、王都のクマハウスは掃除していないので、棚とかに埃がある。

「やっぱり、掃除はしてなかったんですね」

反論できない。

ここは素直にフィナお母さんに従って掃除をすることにした。

わたしは窓を開けて、空気の入れ替えをする。そして、風魔法で埃を外に飛ばし、掃除を始める。

雑巾を出すと、くまゆるとくまきゅうは手慣れたように床を拭き始める。

床掃除と風呂掃除はくまゆるとくまきゅうに任せ、わたしとフィナはくまゆるとくまきゅうが届かない場所を掃除する。

テーブルの上も埃が溜まっている。

濡れ雑巾でテーブルや椅子、空っぽい棚を拭いていく。

フィナは小さい体で窓を拭く。

シーツなどの洗濯物は王都で干すと、わたしが来たことが知られてしまう可能性があるので、クリモニアで干す。

あまり使っていなかったこともあって、王都のクマハウスの掃除は比較的早く終わる。

「疲れた〜」

クマ装備があるとはいえ、疲れるのはなんでだろう。

「それじゃ、ユナお姉ちゃん。次はミリーラの町に行こう」

フィナは恐ろしいことを言う。

「まだ、やるの?」

「うん、楽しくなってきちゃった」

フィナお母さんは笑顔で言う。

わたしとくまゆるとくまきゅうはフィナに逆らうこともできず、ミリーラの町に移動する。

ミリーラの町のクマハウスは一番大きい。

なんと言っても4階建てだ。

「それじゃ、一番上からだね」

4階には大型の風呂がある。

使っていないから、汚れていない。

でも、フィナお母さんの指示で掃除をしていく。

階段も4階から下の階に向けて掃除をする。

3階はわたしの自室、客室になっている。

2階は大きな部屋。孤児院の子供たちが泊まれるようになっている。

カーテンを開け、窓を開け、空気の入れ替えをする。

それだけで、違うような気がする。

床の掃除はくまゆるとくまきゅうが大きな体を使って、掃除をしている。

一階はキッチンやちょっとした倉庫と食堂になっている。

テーブルには埃がある。

それを丁寧に拭いていく。

「フィナは立派なお母さんになれるね」

「へぇ、お母さんにですか?」

「うん、ちゃんと子供の躾とかできそうだから。それに料理もできるし」

「なれるかな。でもユナお姉ちゃんみたいな子供だったら、言うことを聞いてくれていいかも」

「フィナお母さん、お腹すいた。ごはん」

「ごはんは掃除が終わってからね」

「フィナお母さんが厳しい」

フィナとわたしから笑い声が漏れる。

冗談はさておき、真面目に掃除をする。

掃除は面倒だけど、綺麗になると気持ちいい気分になる。

汚いより、綺麗なほうがいいのは当たり前だ。

これから、時間があれば掃除をするのもいいかもしれない。

そして、無事にミリーラの町のクマハウスの掃除も終わる。

ミリーラの町のクマハウスの掃除が終わったわたしたちは、フィナの掃除意欲を止められずドワーフの街に移動する。

もちろん、食事はしたよ。

ドワーフの街にある家はクマハウスではない。ごく普通の古い一軒家だ。

ドワーフの街には久しぶりに来たので、埃も溜まっている。他の街の家よりも汚れている。

とはいえ、ドワーフの街にある家はクマの転移門を置くためだけに購入した場所なので、ベッドシーツとかを洗う必要はない。なので、掃き掃除と棚掃除と窓掃除だけをする。もう、4軒目となると手慣れた感じに手分けをして掃除をする。掃き掃除はフィナ、綺麗になった床をくまゆるとくまきゅうが拭き掃除。わたしは窓掃除をする。

それほど時間が掛からずに、ドワーフの街の家の掃除が終わる。

「フィナ。もう遅いから、終わりでいいよね?」

「はい。残りは明日ですね」

「やっぱり、全部やるつもり?」

「和の国はカガリさんがいるから大丈夫だと思うけど、カガリさんって、掃除はしているのかな?」

……なぜだろう。酒樽が部屋に転がっているイメージしかない。

「カガリさんをお世話をする人がたまに来るって言っていたから、大丈夫じゃない?」

なるべくなら掃除はしたくない。

まして、あんなに広い屋敷だ。

わたしなら、使う部屋だけ掃除をすればいいと思うけど、フィナなら、全部とか言い出しそうだ。

和の国の掃除は、なんとか回避できたけど、他の街にある家の掃除はすることになった。

「全ての場所にノアを連れて行くわけじゃないし」

わたしは無駄な抵抗を試みるが。

「行かなくても、掃除はしないとダメだよ」

正論を叩きつけられて、惨敗した。

わたしのまったり、惰眠を取るのは、しばらく先になりそうだ。

あと、他のクマハウスはいくつあったかな〜。

わたしは考えるのをやめた。

わたしとくまゆるとくまきゅうは、頑張って他の家の掃除も終わらせたよ。