軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

704 クマさん、ベルングと戦う その2

わたしとベルングの攻防は続く。

分かったことはクマ魔法みたいな強い魔法は相殺はできないってことだ。

ベルングはクマ魔法は相殺せずに避ける。

つまり、クマ魔法ではなくても、強い魔力が篭もった魔法なら相殺できないってことになる。

それなら、魔力を上げればいいだけのこと。

ただ、強すぎるとクマ魔法同様にベルングを殺してしまうことになる。

わたしは魔力を上げた魔法を放っていく。

「無駄です」

地面から土魔法の槍が飛び出していくが、普通の土に戻って崩れていく。

まだ、弱い。

わたしは、さらに魔力を増やした土の槍を作り出す。

ベルングとわたしの間に魔法の応酬が始まる。

わたしは魔力量を調整しながらの攻撃。ベルングも同様にわたしが耐えきれる魔法を放ってくる。

お互いに、相手の実力を確かめるように徐々に魔法が強くなっていく。

ベルングは腕を動かす。

風の刃がわたしを襲ってくる。

土魔法の壁で防ぐが、風が回り込んでくる。

わたしは風が回り込んでくる反対方向に移動し、そのままベルングに向かって走りだす。

さっきより魔力を込めた土魔法を使う。

ベルングの表情が変わる。

土の槍は崩れるが、崩れる速度が遅かった。

相殺が間に合わなかった?

つまり、ベルングが相殺できるかどうかの境界線は。

「このあたり」

わたしが先ほどの土魔法より魔力を増やした土魔法で、ベルングの足元に槍を作り出すが、今度は簡単に土に還る。

ベルングも魔力を増やした?

ベルングの魔力量は?

いや、魔力を込められる量といった方がいいかも知れない。

膨大な魔力を持っていても、魔法に使えなければ意味がない。

ただ、ベルングの表情が変わり始めている。

初めの頃の余裕が消えている。

ベルングが攻撃を仕掛けてくるが、どれもクマ装備の脅威ではない。

土のクマ魔法を出現させて、ベルングの移動先を誘導させる。

ベルングは舌打ちをしながら、クマがいない方向へ逃げる。

動きが速いが、誘導だから問題はない。ベルングが移動する先にはわたしがいる。

ベルングは土壁を作って、わたしを近付けさせないようにするがクマパンチで粉砕する。そのままベルングに向けて走る。

「……!」

接近戦を仕掛けてくるとは思っていなかったのか、ベルングの表情が変わる。

ベルングとわたしの距離が縮まる。

わたしは手に電撃をまとわりつかせる。

裏技。電撃魔法。

電気がないこの世界では電撃のイメージはできない。

電撃を知っている者は少ない。知らない魔法なら対応はできない。

ベルングも電撃は見たことがなかったのか、わたしの右手のクマさんパペットに纏わり付く電撃に目を奪われる。

「その魔法は危険ですね」

ベルングの表情が変わる。

危険と分かっていても、避けることができなければ意味がない。

わたしは一気に間合いを詰める。

ベルングは電撃魔法を危険と察したのか、風魔法で近づけさせないようにさせるが、反対の手の白クマパペットで風を起こし、吹き飛ばす。そのまま黒クマパペットに電撃を纏わせたわたしはベルングとの距離をつめる。

殺さないようにクマさんパペットに纏わせている電撃は弱めてある。

でも、触れれば、痺れて動けなくなる。

前にミスリルを手に入れるために鉱山に行った時に出会った赤い服を纏った冒険者に使って、効果は立証済みだ。

動けなくさせれば、わたしの勝ちだ。

わたしは逃げるベルングを追い詰める。

ベルングは剣を取り出し、わたしを近づけさせないようにする。

剣と電撃クマパペットがぶつかり合う。

その瞬間、弾かれ、お互いに後方に下がる。

「この痺れは」

ベルングは持っていた剣を落とし、腕を押さえる。

電撃が流れたのが一瞬だったのか、倒れるほどまではいかない。

でも、動きが鈍っている。

わたしはもう一度、電撃を纏わせ、ベルングに向けて殴りにいく。

これで終わりだ。

ベルングがアイテム袋らしきものから剣を出し、鞘から剣を抜き、電撃クマパンチ弱を防ぐ。

今度は弾かれない。

ミスリルの剣……。

ベルングが持っていたのはミスリルの剣だった。

ミスリルゴーレムと戦ったときも電撃は効果はなかった。

電撃の弱点を見抜いた?

ベルングはクマパペットに纏う電撃を観察するような目で見たと思ったら、剣を振り、わたしとの間合いを取る。

「殺さずにと思いましたが、無理そうですね」

「それは、こっちのセリフだよ」

お互いに、自分たちの目的のために手加減して戦っていた。

ベルングは、生きたわたしを研究するために。

わたしは、人殺しをしたくないために。

でも、ベルングの一言で、戦い方が変わる。

ベルングの魔法の威力が上がり、わたしを殺しにくる。

お互いの魔法が交差する。

クマの風魔法!

三つの風の刃がベルングを襲う。

ベルングは同様に風を起こすが、刃を防ぐことはできない。

でも、弱まったクマの風魔法がベルングの横を抜ける。

そのときに、掠ったのか、腕から血が出る。

クマ魔法を相殺はできなかったが、弱めた……。

クマ魔法の攻撃を相殺まではいかないが、耐えてくれる。

なら、ベルングの魔力が無くなるまで、使わせればいい。クマ魔法を防ぐには多くの魔力を使うはずだ。

わたしはベルングに魔力を使わせるために、強力な魔法とクマ魔法を使いながら、ベルングを追い詰める。

ベルングも魔法を放ってくるが、クマ魔法で相殺する。

徐々に均衡が崩れていく。

対人戦の数。戦闘の数が圧倒的にわたしのほうが多い。魔力量も差がでてくる。

ベルングがわたしの魔法を避けるために足がもつれる。

スタミナ切れだ。

クマ装備のおかげで、わたしはスタミナも魔力も十分にある。

でも、ベルングはそうもいかない。

人には限界がある。……わたしも人間だよ。

つまずいたベルングの周りを囲むようにクマの壁を作り出す。

ベルングは地面からの魔力に反応し、その場を離れようとするが遅い。ベルングはクマの壁に囲まれて、逃げ出すことはできなかった。

捕らえた。

「ユナ、終わったの?」

「終わったけど、まだ、近づいちゃダメだよ」

捕まえたけど、何をするか分からない。

わたしはゆっくりとベルングに近づく。

「わたしの勝ちだね。悪いけど。魔石は壊させてもらうよ」

クマとクマの隙間から、ベルングの体に衝撃を与えれば、魔石が壊れるはずだ。

どうにか、殺さずに終われそうだ。

「ふざけるな」

ベルングは睨むように、わたしを見てくる。

まあ、こんなふざけたクマの格好している女に負けるとは思っていなかったんだろう。

「渡さない」

ベルングがそう言った瞬間、わたしの目でも分かるようにベルングの魔力が増幅した。

そして、信じられない光景が目の前で起きる。

クマの壁が崩れ落ちていく。

……クマ魔法を消した?

「痛い、痛い」

わたしが驚いていると、後ろで声があがる。

振り向くと、ローネが体を押さえて苦しんでいる。

「お姉ちゃん!」

「何をしたの?」

「魔力をいただいただけだから大丈夫です」

それって、無理矢理にローネの力を使ったってこと?

そんなこともできるの?

「ですが、あなたが悪いんですよ。わたしだって、こんなことはしたくなかったです。でも、あなたが、わたしのものにならないから」

ベルングの目がつり上がる。

そんなプロポーズみたいなセリフはいらないよ。

そもそも、プリメのためにわたしがほしいだけでしょう。

「うぅ、痛い。体が痛い。ベ、ベルング、あなた、もしかして……」

ローネが再度、苦しみ始める。そんなローネをプリメが心配そうに抱き寄せる。

「ユナ、ベルングは、住民から魔力を奪っているわ」

「街の住民の魔力? そんなことができるはずがない。魔力を奪う装置は、みんなが壊したはず」

煙が出ていた。魔力を奪う装置を壊した合図だ。

「もしかして、あれだけだと思いましたか。そんなわけがないでしょう。いつローネを奪う奴らが現れるかも分からないのに」

だから、魔力を奪う場所が壊されても無関心だったのか。

「ただ、これは一つ問題があるので使いたくなかったんですよ」

ベルングの表情が変わる。

薄笑いして小馬鹿にした表情が消え、目がつり上がる。

「相手が国王だろうと、ローネは渡さない。ローネを奪う者は誰も許さない」

ベルングが叫ぶと、ローネが苦しみ始める。

ローネを通じて、魔力がベルングに流れている!?

「くまゆる、くまきゅう!」

わたしの声は風に消される。

ベルングの体に風が纏ったと思った瞬間、ベルングを中心に暴風が起きる。

花壇は壊れ、木は倒れ、屋敷の窓ガラスが割れる。

暴風が収まり、くまゆるとくまきゅうを見る。

くまゆるとくまきゅうはプリメとローネを守っていた。

「殺す。ローネを奪う者は殺す」

先ほどまで戦っていた人物とは別人のような表情をしている。

「ユナ、気をつけて。さっきまでのベルングじゃないわ!」

ローネが苦しそうに言うと、ベルングが攻撃を仕掛けてくる。

先ほどまでお互いに、殺さずに手探りで攻撃をしていた時とは違う。

殺すって、気持ちが伝わってくる。

「副作用なの。少しなら大丈夫なんだけど、わたしの力で強くなると性格が変わるの。前に一度、わたしを奪おうとした者がいたの。そのとき、怒ったベルングがあたり一帯を破壊してしまったの」

副作用……そんなものが。

そういえば、騎士たちが強くなってから横柄になったとか。てっきり、力を得たから横柄になったかと思っていたけど、それも副作用の影響だったのかも知れない。