軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

アニメ番宣小説 その10

今日はアニメの放送日なので、もう当たり前のようにフィナとノアが家にやってきている。

夕食も食べ、お風呂も入り、アニメを見る準備は万全だ。

「ユナさん、全部で12回やるんですよね?」

「そうだよ」

「それでは、今日を入れて、あと4回で終わりなんですね。少し残念です。フィナもそう思いますよね?」

「はい。初めは恥ずかしかったけど、見ていると楽しくなってきたので、残念です」

全12話と決まっているので、こればかりは仕方ない。いつかは終わりがくるものだ

でも神様の力を使えば、国民的アニメのように毎週できるようになるかもしれない。

それはそれで、毎週わたしのことが放映されるのは、少し嫌かもしれない。

「ほら、そろそろ始まるよ」

週一回のお泊まり会なので、お菓子と飲み物を用意して、それぞれがテレビの前に座る。

まもなくしてアニメが始まる。

国王陛下の誕生日パーティーシーンから始まり、プリンを食べるシーンが流れ、ちょっとした盛り上がりを見せる。

今更だけど、国王様、プリンに大袈裟にし過ぎなんじゃない? と言いたくなる。

そして、オープニングが流れ、CM部分と思われる時間は真っ黒い画面が流れる。

「いつも真っ黒ですが、CMってものが流れているんですよね?」

「そうだよ。たぶんだけど、他のアニメやオープニングやエンディングの宣伝だと思うよ」

「他のアニメ?」

「他の世界に行ったりした人の話だったり、生まれ変わった人の話だったり、脅威に襲われている世界の話だったり、アイドル? 歌手の成長物語だったり、喫茶店の話だったり、たくさんあるよ」

「そんなにたくさん、アニメがあるんですか?」

「年間、100本以上はあったはずだよ」

お気に入りのアニメしか見ていなかったから、詳しくは知らないけど、そのぐらいあったはずだ。

「ユナさん、他のアニメも見てみたいです。フィナも見たいですよね?」

「えっと、はい。見てみたいです」

「いや、無理だから、このテレビ、わたしたちのアニメしか見ることができないから、他のアニメは見ることはできないよ」

いろいろと確かめたが、くまクマ熊ベアーのアニメと公式サイトしか見ることしかできない使えないテレビだった。

「そうなんですね。残念です」

もし、他のアニメも見ることができたら、異世界でも引き篭もる自信がある。あと、できれば、ゲーム機とソフト、あるいはダウンロード機能があれば、最高の引きこもり生活ができる。

そんな妄想に浸っていると、本編が始まる。

そこにはクマハウスにやってくる国王陛下やフローラ姫、シアとの剣術や王都での楽しい日常が流れる。

そして、しばらく一緒にいられなかったフィナと、王都を回ってからクリモニアに帰ることになる。

「二人でお出かけ、羨ましいです。このときのわたしはなにをしていたんですか!?」

わたしとフィナが二人でお出かけをするのを見て、ノアが文句を言う。

そんなことはテレビの中にいるノアしか分からないことだ。

「貴族としての挨拶じゃない? クリフも来ているし」

「うぅ、そうかもしれません。それか、ミサの家に行っていたかもしれません」

貴族は大変だ。

一般人でよかった。

アニメの中のわたしとフィナは王都を歩き、食べ物を食べさせっこをしたり、仲良く寝そべったり、楽しそうにしている。

「ユナさんとフィナが仲良しです」

ノアが羨ましそうに言う。

確かに、見ているほうが恥ずかしいほど、仲がいい。

「まあ、仲は悪くないからね」

「はい」

そんなわたしとフィナは前に食べたパンを食べに、パン屋に向かう。

モリンさんとカリンさんのお店だね。

前にチラッと一度だけ出ていた。

でも、店は閉まっていた。

店の中ではモリンさんとカリンさんの2人が店の片付けをしていた。

話を聞くと、悪徳商人に騙され、店を手放すことになったと言う。

一応、そこは現実と同じだけど、お店の中で男たちは暴れてはいなかった。

あのときのことを思い出すと、もう一度殴りたくなるから、残念だ。

このあたりは尺の都合かな。

悪徳商人が登場すれば、サーニャさんに国王陛下も出てくることになるし、アニメの中のサーニャさんとの関係もどうなっているか分からないし。

一つ尺の都合で修正すると、その後の展開も辻褄を合わせないといけないから、アニメ作りは大変そうだ。

あの話を入れれば、この話が入らない。

そう考えると、尺の都合をあまり考えないですむ小説は、その点は楽かもしれない。

アニメでは現実と同じように、わたしがモリンさんとカリンさんをヘッドハンティングする。

このヘッドハンティングがなかったら、今のくまの憩いの店はなかったんだよね。

グッジョブわたし。

このときの自分の行動を褒める。

アニメは黒いCMが流れ、後半に入る。

クリモニアに帰ってきたわたしは商業ギルドのミレーヌさんとお店の相談をしている。

そこにはティルミナさんの姿もある。

でも、ティルミナさんは呼ばれた理由は知らされていないみたいだ。

このときのわたしの気持ちが手に取るように分かる。

管理が面倒くさいから、ティルミナさんに丸投げする気満々だ。

でも、ティルミナさんは文句は言いつつも、やってくれるから、感謝だ。

「ティルミナさんには迷惑をかけるね」

「お母さん、いつもユナお姉ちゃんに振り回されるけど、ずっとベッドの上だったから、毎日、働けるのが楽しいって言っているよ」

振り回すって、そんなに振り回していないよね?

でも、フィナの言っていることも分かる。人は働き、いろいろ人に関わることで、元気になることもある。

まあ、それも会社や周りにいる人次第なんだと思うけど。この世界に来て、わたしは周りの人に恵まれていると思う。元の世界じゃ、両親からしてダメだった。

「わたしも、ユナお姉ちゃんに会えてから、毎日が楽しいです」

「ありがとう」

わたしは嘘偽りのない笑顔で言うフィナの頭を撫でる。

「わ、わたしもです。ユナさんに会えて、楽しいです!」

フィナとわたしの間にノアが入り込んでくる。

「ノアも、ありがとう」

わたしと一緒にいて楽しくないと言われるよりは、嬉しいかぎりだ。

引きこもっていたら、一生言われることがない言葉だ。

そして、クリモニアにやってきたモリンさんとカリンさんを店にする予定の元貴族の小さい屋敷に案内する。

「二人がお店を見て驚いています」

「普通、こんな大きな建物が店と言われたら、驚くと思います」

貴族の小さい屋敷と言っても、店にしたら十分に大きい。

それに大は小を兼ねるって言うし、店は大きくした。

それにいつかは孤児院の子供たちが大人になれば、孤児院を出ていくかもしれない。そのときに、手に職があればと思った。

モリンさんからパン作りを教わって、パン職人の道に進むのもいいし、接客から学んで、人と関わる仕事に就いてもいい。

この店で働いた経験が将来に役に立てば嬉しい限りだ。

そして、孤児院のみんなで店の中を掃除したり、庭の草を刈ったりして、お店の開店に向けて準備をする。

実際は大変だったけど、アニメは1分ぐらいの映像で店が出来上がっていく。

そんな中、ミレーヌさんにお店の名前をどうするか尋ねられる。

でも、わたしにはネーミングセンスはない。

くまゆるとくまきゅうだし。

アニメのわたしも同じことを言っている。

「くまゆるちゃんとくまきゅうちゃん、とっても可愛い名前だと思いますけど」

「わたしも可愛いと思います」

「ありがとう」

そう言ってもらえると嬉しいものだ。

わたしもくまゆるとくまきゅうは可愛い名前だと思うけど、格好よくはないよね。

クマらしくない名前でもある

アニメのわたしは孤児院のみんなにお店の名前を尋ねる。

でも、現実どおりに、みんな「クマ」ばかり名前をあげる。

「うぅ、わたしもお店の名前を考えるの参加したかったです。どうして、わたしをのけ者にするんですか」

別にのけ者にしたわけじゃない。

現実だと、ノアはこのときはどこにいたんだろう?

「それじゃ、ノアなら、なんて付けた?」

「そうですね。『クマさんを愛するお店』とか『くまクマ熊ベアーのお店』とか?」

異世界の翻訳がどうなっているか分からないけど、結局はクマが4つでしょう。

でも、結局のところノアもクマが付くんだね。

そんな子供たちの言葉にミレーヌさんがお店の制服を作ったと言い出す。

うん、知っていた。

そして、予想どおりに、取り出したのはクマさんの服だ。

フィナのメイドさんとかも、可愛いと思うんだけど、少し残念だ。

今度、シェリーにフィナのメイドさんの服を作ってもらって、着てもらうのもいいかもしれない。

そして、わたしはみんなの憩いの場所になってほしくて、「くまさんの憩いの店」と名付けた。

……名付けたけど、誰かさんたちが余計な宣伝をしたおかげで、開店当日、お客さんがたくさん来てしまって、憩いの店にはならなかった。

でも、いろいろな人の手助けによって、無事に一日を終えることができた。そんなところに、クリフとノアが店にやってくる。

「やっと、わたしが出てきました」

久しぶりにノアの登場だ。

そんなノアはフィナたちが着ているクマさんの制服を見て、自分も着たがり、着ることになる。

「アニメのわたし、ずるいです! わたし、クマさんの制服を着たのはミサの誕生日パーティーのときだったのに」

ノアはアニメの自分に向かって文句を言う。

遅くなるよりは、早くなったほうがいいでしょう。

それに残り3話で、ミサの誕生日パーティまで話は行われないんだから、着られただけ、よかったと思わないと。

アニメのノアがクマさんの制服を着て喜んでいるとき、わたしはクリフから、モリンさんのお店の報告を受ける。

現実だと、王都で報告を受けたけど、アニメだと、このタイミングなんだね。

そして、現実と同じように、モリンさんとカリンさんは、王都のお店に戻れるのに、クリモニアのお店に残ってくれることになる。

本当に二人には感謝の言葉もない。

そして、アニメは異世界に来た思い出を振り返り、良い感じで終わる。

「もう、終わっちゃいました。わたしの出番、少なかったです。もっと、たくさん、わたしを登場させてほしいです」

ノアは本当に自分が好きなんだね。

羨ましいかぎりだ。

「次回は、わたしの登場が多いといいな」

わたしの記憶によると、次回は海に行くことになると思う。

必然的にノアの登場はない。

わたしに文句を言われても面倒くさいので、今は、そのことは口にしないでおく。

数日後、いつもどおりにアニメ公式サイトに確認しにいく。

次回のタイトル「くまさん、海に行く」と書かれていた。

雪山のシーンやアトラさんもいる。クラーケンの話になると思う。

予想どおりにノアの出番はない。言わなくてよかった。

だけど、遅かれ早かれ、当日が来れば、文句を言われそうだけど。

他を確認するとミニアニメにノアとシュリがキャッチボールをしている話がある。これを見せれば、ノアが納得するかなと思ったけど、シュリのボールを受け止めたノアの表情と言葉は、本人に見せてはいけないような気がした。