軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

59 クマさん、メイドさんと花壇作りをする

「ユナさん! どうして、わたしを置いて出かけちゃうんですか!」

屋敷に戻ってくると怒っているノアがいた。

「どうしてもなにも、朝食を食べて、しばらく待ったけど起きてこなかったから」

「うっ……」

「それでいつ起きたの」

「……お昼ちょっと前です」

「それでわたしが悪いと」

「起こしてくれてもいいではないですか」

拗ねたように言う。

「旅の途中なら起こすけど、もう、必要ないでしょう。それに、それだけ寝たってことはそれだけ旅で体が疲れていたのよ」

「うー、わかりました。それでユナさんたちはどこに行っていたんですか」

「宿を探しに行っていたのよ」

「宿?」

「護衛の仕事は終わったからね。だから、いつまでもここにお世話になるわけにはいかないからね」

「いつまでもいてもいいのに」

「それはクリフの許可を貰わないとね。それに泊まる場所はここから近いから、いつでも遊びにおいで」

「……?」

「ノアール様、ユナお姉ちゃんは王都に土地を買ってクマさんのおうちを建てたのですよ」

「えーと、街にあるのと同じクマの家ですか?」

「はい。ここから中流地区に向かったところにありますから、近いですよ」

「でも……フィナも出ていくんだよね」

「はい。わたしはユナお姉ちゃんに付いてきましたので」

「でも、ユナさんが出ていくと、クマさんが……」

ノアが分かるほどに落胆する。

わたしじゃ無くてくまゆるたちと別れたくなかったんだね。

「それじゃ、午後はくまゆるたちと遊ぶ?」

「本当ですか。それなら、すぐに庭に行きましょう」

ノアに庭に連れていかれる。

街にある領主の庭よりも広い。

「ノア様どうなされたのですか?」

庭に行くといつもお世話になっているメイドさんがいる。

「スリリナどうしたの?」

「はい。奥様より、許可を貰い、この庭に花でも植えようと思いまして」

「でも、何か困っているの?」

確かになにか悩んでいるように見えた。

「はい、この石と言いますか。岩が邪魔をしてまして」

確かに庭にくまゆるよりも数倍大きな岩がある。

「どうして、この屋敷の庭にこんな岩が」

「分かりません。わたしがお仕えしたときからありますから」

「それでどうするつもりなの?」

「どこかに依頼して撤去をお願いしようと思ったのですが、どこにお願いすればいいのかと思いまして」

「わたしがやろうか?」

「ユナ様がですか?」

わたしを上から下へ、下から上へと見る。

「えーと。無理でないかと」

なんか失礼だな。

人を見かけで判断してはいけないと親に習わなかったのかな。

「別にどかすだけなら、アイテム袋を使えばいいから」

わたしは岩に近づき、クマボックスに仕舞う。

埋もれていた岩が消える。

「す、凄いですね。岩が入るアイテム袋初めて見ました」

「この岩どうする? 処分するなら、今度、外に出たときにでも捨ててくるけど」

「はい、ご迷惑でなければ、お願いしてもよろしいでしょうか」

「了解」

「それではわたしは花壇を作る準備をしますので失礼します」

スリリナさんは頭を下げると行ってしまう。

「ユナさん、クマさんをお願いします」

ノアのお願いにくまゆるとくまきゅうを出す。

ノアとフィナはくまゆるたちで遊び始める。と言っても抱きしめたり、乗ったり、屋敷の周りを走ったりしているだけだ。

そんなノアたちを見ているとスリリナさんがスコップを持って戻ってくる。

もしかして一人でやるのだろうか。

てっきりどこかの業者に頼むかと思っていたけど違ったらしい。

わたしはスリリナさんのところに行く。

「手伝おうか?」

「よろしいのですか」

「二人はあの調子だし、暇だしね」

「あれが、ユナ様のクマさんですか。大人しいですね」

「まあ、召喚獣だからね」

スリリナさんと一緒に花壇作りを始める。

まずは、岩をどかしたときにできた穴を埋める。

「花壇の大きさはどのくらいにするの?」

「そうですね。ここからあそこまでの予定です」

意外と広い。

「それじゃ、指示をお願い。魔法でやっちゃうから」

「ユナ様は土魔法をお使いになるんですね」

「そのユナ様って止めない? ユナでいいよ」

「それではユナさんでよろしいでしょうか」

「うん、それでいいよ」

流石に様づけはわたしには合わない。

そんな感じでわたしとメイドのスリリナさんの花壇作りが始まった。

ブロックで花壇の枠を作ったり、水はけをよくしたり、花壇用の土を用意したりする。

そんな感じで花壇を作っていると後ろが騒がしくなる。

「ノア! 何をやっているの!」

「お姉さま」

シアが学園から帰ってきたらしい。

「早く、こっちに来なさい」

「どうして?」

「なぜ、ここにクマが、兵士は何をやっているの!」

「お姉さま。大丈夫ですよ。このクマさんはユナさんの召喚獣です」

「召喚獣?」

「はい。だから、大人しくて可愛いですよ」

ノアはくまゆるの首を抱きしめる。

「本当に大丈夫なの?」

「はい、わたしはこのクマさんの背中に乗って街から王都まで旅をしてきたんですよ」

ノアはくまゆるの背中に乗ってみせる。

「この子たちはとっても賢いので人に危害を加えたりしないです」

「そうなの?」

「お姉さまも触ってみませんか。大丈夫ですよ」

シアは恐る恐るくまゆるに触れる。

くまゆるが大人しいのがわかると、優しく撫でてみる。

「柔らかいのね」

「はい、とっても肌触りがいいです」

「それに綺麗な毛並み。こんなの見たことがないわ」

シアも安全と分かるとクマたちと 戯(たわむ) れ始める。

わたしはスリリナさんと一緒に花壇作りを再開する。

スリリナさんの指示で魔法で作っていく。

魔法は便利だ。

できなかったことができるのは楽しい。

この世界に来て失った物も多いが得た物も多い。

魔法で次々と作っていくが、スリリナさんの指示が意外と細かかったので予想よりも時間が掛かった。

「ユナさん、ありがとうございます。まさか、一日で終わるとは思いませんでした」

「種はあるの?」

「はい、奥様の好きな花の種を用意してます」

「綺麗に咲くといいね」

「はい、頑張って育ててみせます」

庭を見渡すと、2匹のクマと3人の女の子が気持ち良さそうに寝ていた。