軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

506 クマさん、ノアに会いに行く

王都から戻ってきた翌日、わたしはノアに会いに行く。

「ユナさん、今日はどうしたんですか? 遊びに来てくださったんですか? お外に行きますか? くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんに乗って、おでかけもいいですね」

ノアはわたしがやってきたことに嬉しそうにする。

「勉強とかは大丈夫なの?」

「ちゃんとやっていますから、大丈夫です」

「偉いんだね。その偉いノアにプレゼントというか、お誘いなんだけど。今度、王都の学園とユーファリアって街の学園で、魔法を競う交流会があるんだって。それにシアが参加するみたいなんだけど、よかったら、ノアも見に行く?」

「行きます! 行きたいです」

ノアは悩むこともなく、大きな声で返事をする。

「それじゃ、あとはクリフの許可を貰わないと」

「わたし、お父様にお願いしてきます」

ノアはすぐにクリフのところに行こうとする。

「仕事中じゃないの? 大丈夫?」

「大丈夫です」

「それなら、わたしも一緒に行ってお願いしようか?」

「ユナさんも、一緒に頼んでくれるんですか?」

「わたしが持ってきた話だからね」

それに自分からシアにノアを連れてくると言ってしまった。クリフ宛の手紙もシアから預かっているし、わたしも一緒に行ったほうが話も進みやすい。

わたしとノアはクリフがいる執務室に向かう。

ノアはドアをノックして、入室の許可をもらうと部屋に入る。

「どうして、ユナがいるんだ?」

わたしの顔を見ると嫌そうな表情をする。

どうしてかな?

「お願いがあるからだよ」

「お父様、ユナさんと一緒にお姉さまの応援に行ってもいいですか?」

「シアの応援?」

クリフは訳が分からないような表情をする。

わたしはクリフに魔法の交流会について話す。

「ああ、あれか」

「お父様、わたし、見に行きたいです。お姉さまの応援に行きたいです」

「一応、シアからもお願いの手紙を預かっているよ」

「シアから? エレローラからでなく?」

「今回はシアとわたしからのお願いだからね」

わたしはシアから預かった手紙をクリフに渡す。クリフは受けとると、手紙に目を通す。

手紙を見る目が優しくなる。やっぱり、娘からの手紙は嬉しいみたいだ。

「分かった。いいぞ」

「いいの?」

「シアもノアがいたほうがやる気がでるだろう」

「お父様、ありがとうございます」

ノアは満面の笑みを浮かべる。

「ユーファリアの街は簡単に連れていってやれる街ではない。おまえさんがユーファリアの街に連れていってくれるなら、ノアのためになる」

王都から見て、クリモニアとは反対の方向にある。王都に住んでいるなら、行ける距離だけど、クリモニアからとなると、馬車などで行ったら、遠いかもしれない。

「ユーファリアの街って、湖の街だっけ?」

「知っているのか?」

「少しだけ。それでシアに水着を忘れないように言われているよ」

「遊ぶのもいいが、街を見ることも忘れるなよ」

「分かりました」

「シアの応援も忘れちゃ駄目だよ」

「もちろんです」

クリフの許可をもらったわたしたちは、ノアの部屋に戻り、出発の日を決める。

「王都でエレローラさんに会っていく?」

それによって出発の日が変わる。

「お母様にですか?」

「出発を早くすれば、会う時間が作れると思うよ」

「それなら、帰りに会いに行くのは駄目ですか? 帰りなら、時間も気にしないで会うことができます。それに帰りなら、交流会についてのお姉さまのお話もすることができます」

「そうだね。それじゃ、帰りに王都に寄っていくことにして、行きは王都には寄らずにそのままユーファリアの街に向かうことでいいね」

「はい」

王都に入るだけでも時間が掛かるし、王都から出るのも時間が掛かる。クマハウスで野宿すれば、かなりの時間が短縮できる。

「でも、そんなに遅く出発して、大丈夫なんですか?」

「くまゆるとくまきゅうなら、大丈夫だよ」

ノアは前回王都に行ったときの感覚で言っている。

しかも、今回はノアと二人だけなので、いつもよりも早く移動することができる。

「わたしはくまゆるちゃんたちと、のんびりと行くのもいいんですが」

「それもいいんだけど、移動時間短縮は旅の基本だからね」

本当なら、クマの転移門で王都まで行きたいぐらいだ。でも、クマの転移門のことを知らないノアと一緒なので、今回はくまゆるとくまきゅうに乗っていく。

ちなみに、今回はノアとシアの姉妹のことなので、フィナは連れていかないことを伝える。二人に余計な気を回すのもあれだと思ったからだ。

ノアにそれを言ったら。

「気にしないでも大丈夫ですよ」

「でも、この前のお土産を買うときに、フィナを連れていってあげたから」

と説明したら、頬を膨らませて。

「ズルイです。それじゃ、今回はわたしがユナさんと、くまゆるちゃん、くまきゅうちゃんを独り占めです」

と言う。別に、わたしは誰のでもないよ。

数日後、くまゆるにわたしとノアは一緒に乗り、ユーファリアに向けて出発する。

ユーファリアと言っても、王都に向かう道と変わらない。

「ユナさん、くまゆるちゃん、速くないですか?」

くまゆるはいつもよりも速く走っている。

「くまゆるはパワーアップアイテムって言うのかな? それを着けているから、長距離を速く走れるようになったんだよ」

クマモナイトの効果によって、持久力、速度、攻撃力、なにもかもがくまゆるとくまきゅうはパワーアップした。

「そんな、アイテムがあるんですね」

「でも、ずっと走らせるのは可哀想だから、途中でくまきゅうと交代で走るけどね」

交代で走れば、休憩時間も短縮することができる。だから、わたしとノアは別々に乗らず、一緒にくまゆるに乗っている。

そして、疲れを見せないくまゆるだけど、途中でくまきゅうと交代する。ちゃんと交代しないと、クマさんパペットの中にいるくまきゅうがイジケルからね。

交代したくまゆるはクマさんパペットの中で休んでもらう。

そして、交代で走り続け、夕刻前には王都に到着する。

「信じられないです。一日? 半日で王都についてしまいました」

「このまま、王都に入ると時間を取られるから、このまま行くよ」

王都のエレローラさんの家やわたしの家に泊まると、出発するときに時間がかかる。それに、エレローラさんに会うのは帰りでいいとノアは言っているので、このまま王都は通り過ぎることにする。

夕刻に近い時間なこともあって、王都の外には人もいなく、くまきゅうはそのまま走る。

そして、王都を少し離れ、街道から離れた場所にクマハウスを出して、一泊することにする。

このまま行けば、明日には到着できそうだね。

「ユナさんが、簡単に王都に行ける理由が分かりました。朝に出発して、夕刻前に王都に着くなんて、信じられません」

まあ、馬車の移動速度とくまゆるとくまきゅうとの移動速度は違う。さらに、クマモナイトによってパワーアップしたのだから。

わたしたちはお風呂と食事を済ませると、部屋に移動する。

「明日も早く出発するから、早く寝るんだよ」

「わたし、ユナさんと寝たいです」

「わたしと?」

「はい、ユナさんのお話が聞きたいです」

てっきり、くまゆるとくまきゅうと一緒に寝たいと言うのかと思ったけど、違った。

わたしはノアを連れて部屋に入る。

くまゆるとくまきゅうも一緒に寝ることもあるから、わたしのベッドは広いので、一緒に寝ることはできる。

「ふふ、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃん、可愛いです」

ノアは子熊化したくまゆるを抱きながら、ベッドに倒れる。くまきゅうはわたしの傍にやってくるので抱きかかえる。

「それでなにが聞きたいの?」

「ユナさん、いろいろなところに行っているんですよね」

「うん、まあ」

ノアには話せない場所にも行っている。

「そのお話が聞きたいです」

う~ん、どうしたものかな?

わたしは少し考えて、エルフの村に行った話をしてあげることにする。

王都のギルドマスターのサーニャさんの妹のルイミンに会ったこと、エルフの村の結界が弱くなったのでエルフの村に帰ることになったサーニャさんについて、一緒にエルフの村に行ったこと。エルフの村に神聖樹って大きな木があったこと。そして、クリフが飲んでいるお茶が神聖樹の葉から作られたお茶だったことを話してあげた。

初めは楽しそうに話を聞いていたノアだったが、話を終える頃にはくまゆるを抱いたまま、小さい寝息をたてていた。

わたしは風邪を引かないように、ノアに毛布をかける。

「おやすみ」

わたしは小さい声で言うと眠りに就く。