軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

489 クマさん、バーベキューをする

「湖だ~!」

シュリが湖に向かって走り出す。

「走っちゃ、危ないよ」

シュリの後をフィナが追いかける。

「子供は元気じゃのう。年寄りには眩しいのう」

「本当に元気ですね」

くまゆるの上に乗った幼女とくまきゅうに乗った少女がシュリとフィナを見て微笑ましそうに言う。

見た目で言えば、カガリさんが一番子供です。それにサクラも子供でしょう、と突っ込んだら負けだろうか。

ただ、シュリとフィナを見ていると、子供は元気だと言うところには同意だ。

湖に着くとシュリとフィナは桟橋の上に立っている。

桟橋まであるんだね。釣りもできそうだ。もっとも、そんな趣味はないから、やらないけど。

「綺麗だね」

大きく、湖は日の光によって反射をして、輝いているように見える。ここで、クマの水中遊泳を確かめることができそうだね。確かめるにしても、今やると騒ぎになるから、今度かな。

「それにしても、日差しが強いのう」

確かに日差しが強く、眩しい。

「それでは、あの日陰に移動しましょう」

サクラも少し暑そうにしている。どうやら、気温は高いらしい。クマの着ぐるみを着ていると、その辺りの感覚が他の人とすれ違ってくる。わたしたちは湖の近くにある大きな木の下に移動する。

「それじゃ、バーベキューの準備をするから、みんなは遊んでいていいよ」

わたしはみんなに言うと大きめのテーブルを出し、その上に食材を並べる。

「わたしも手伝います」

フィナが桟橋から戻って来る。

「わたしも手伝うっすよ」

「その。わたしにできることがあれば、手伝います」

「わたしも」

「わたしも手伝う~」

シノブ、サクラ、ルイミン、シュリが申し出てくれる。

「それじゃ妾は、くまゆるの上でのんびりと待たせてもらおうかのう」

1人だけ、手伝う気がない人(狐)がいた。

カガリさんはくまゆるの上でだらける。

「う~ん、それじゃ、手分けしてやろうか」

カガリさんはくまゆるに任せて、わたしはテーブルの上にある食材を見る。

「それじゃ、フィナはこのぐらいのサイズに肉を切ってもらえる?」

大きな肉の塊を食べやすいサイズに切ってもらう。肉を切るなら、フィナは得意だ。肉は豚、鳥、牛、ウルフなどのいろいろな肉を用意し、フィナに任せる。

「分かりました」

フィナは包丁で手慣れた感じで肉を切っていく。

「シノブは火を起こして」

「了解っす」

「ルイミン、キノコは持って来てくれた?」

「持ってきましたよ」

ルイミンはアイテム袋から、キノコが入った袋を出す。

「それじゃ、キノコはルイミンに任せるよ。それが終わったら、こっちを手伝って」

「分かりました」

三人に指示を出すと、サクラとシュリがわたしの指示を待っている。

「えっと、サクラとシュリは……見ていて」

「え~」

「わたしも手伝うよ~」

二人が抗議の声をあげる。

二人にやらせることがない。個人的には遊んでいてほしい。

でも、二人も手伝いたそうにしているので、わたしは考える。

「それじゃ、シュリはフィナが切った肉をお皿に乗せて、こっちのテーブルに、サクラはわたしが切った野菜をシノブのところに持って行って」

どうにか二人ができる仕事を頼む。

わたしは野菜を切っていく。ニンジン、カボチャ、トウモロコシ、キャベツ、ネギ、タケノコ、ナスを切っていく。クマボックスに入れておけば、季節に関係なく、買い置きできるから便利だ。

「ユナさん、上手です」

肉と野菜を切っていく、わたしとフィナを見て、サクラは感心する。

「その。わたし、包丁も握ったことがないです」

まあ、サクラは子供だし、元は王族の娘だし、その辺りは仕方ない。

シュリはまだ、小さい。でも、解体ならわたしよりも上手だ。

わたしとフィナ、ルイミンはどんどん食材を切っていき、準備を終える。

「それにしても、いろいろな食材があるっすね」

火の番をしていたシノブがそんな感想を漏らす。

「いろいろと楽しめていいでしょう。肉だけじゃ、栄養が偏って良くないからね」

食材の準備を終えたわたしたちは焼き始める。

わたしはまずは野菜を鉄板に置いていく。そして、最後に肉を焼いていく。

「美味しそうじゃのう」

お皿と箸を持ったカガリさんが待ち構えている。

「味付けに、塩と醤油があるけど、好きなものを使って」

「ふふ、こんなこともあろうかと、こんな物を持っているっす」

シノブは内ポケットのアイテム袋から、白い小瓶を出す。

「もしかして、それは」

「秘蔵のタレっす。ユナと一緒に肉を食べたときのタレっすよ」

「なんで、持っているの?」

「もちろん、買ったっすよ」

わたしも今度、大量に買っておこうと思っていたのに、いろいろなことがあって、買っていない。今度、暇なときにでも買いに行こう。

わたしたちはそれぞれのお皿を持って、焼き上がった野菜、肉を食べていく。

「どの肉も旨いのう」

カガリさんは肉ばかりで、野菜を食べていない。

「肉ばかりじゃなくて、野菜も食べないと大きくなれないよ」

「妾はお主より、大きいから問題はない」

小さい状態のカガリさんが言っても説得力がない。でも、元の姿のカガリさんを思い浮かべてみると、身長も胸も大きいんだよね。

まあ、数年後には追い越しているけど。

でも、カガリさんの言葉じゃないけど、どれも美味しい。景色も綺麗だし、空気も美味しい。外で、みんなで食べているから美味しいのかな?

「みんなも美味しい?」

「はい、美味しくいただいています」

「これもわたしが持ってきたタレのおかげっすね」

確かにシノブがもっていたタレは甘辛くて美味しい。

「ルイミンさんの持ってきたキノコも美味しいです」

「そう言ってくれると、嬉しいです」

フィナとシュリのほうに視線を向けると、シュリはリスのようにトウモロコシをかじっている。

初めはトウモロコシに驚いていたけど、気に入ったようだ。今度はポップコーンを作ってあげようかな?

「ああ、シュリ、口が汚れているよ」

フィナはシュリの口をハンカチで拭く。

微笑ましい光景だ。

バーベキューは好評のようだ。やって良かった。

わたしは焼いた野菜や肉をお皿に乗せて、くまゆるとくまきゅうのところにやってくる。

「くまゆる、くまきゅう、熱いから気をつけてね」

わたしは焼いた野菜や肉をくまゆるとくまきゅうの口の中に入れてあげる。くまゆるとくまきゅうは美味しそうに食べる。

それを見ていた、フィナ、シュリ、サクラまでがくまゆるとくまきゅうに食べさせ始める。

これって、子熊化したほうがいいのかな?

食べさせるにしても、子熊化すれば違うはずだ。わたしはくまゆるとくまきゅうを子熊化する。

「フィナとシュリは、ユナのことを知っているんっすね」

シノブが側にやって来て、くまゆるとくまきゅうに食べさせているフィナとシュリを見ながら尋ねてくる。

「フィナは知っているね。命の恩人だし、いろいろとお世話になっているからね」

「うぅ、ユナお姉ちゃん。命を救ってくれたのはユナお姉ちゃんです。それに本当にお世話になっているのはわたしです。いつも、ユナお姉ちゃんには助けられてばかりです」

この世界に来て、迷子になっていたわたしを街まで連れて行ってくれたり、この世界のことを教えてくれたのはフィナだ。フィナがいなかったら、もっと面倒なことになっていたかもしれない。だから、フィナがわたしに恩を感じているように、わたしもフィナには感謝をしている。

それから、フィナが持ってきてくれたサザエなど貝類も焼いて、醤油をかけて食べる。

うん、美味しい。

みんなも満足気な表情をしている。バーベキューは成功して終わる。

食べ終えたわたしたちは調理道具やお皿を片づける。お腹もみんな膨れ、動けなくなっているカガリさんとシュリはシート代わりに敷いた絨毯の上に倒れている。

「もう、お腹がいっぱいなのじゃ」

「苦しいよ」

苦しんでいるけど、食べ過ぎなだけだ。休めば大丈夫だろう。

それから、食後の休憩をしていると、くまきゅうを抱いているシュリが尋ねてくる。

「ユナ姉ちゃん。暑いから湖でくまきゅうちゃんと一緒に泳いでもいい?」

暑いのはくまきゅうを抱いているからではと思ったけど、みんなも暑そうにしている。

体温調整をしてくれるクマの着ぐるみのおかげで忘れていたけど、夏は終わっていない。

夜も寝苦しくないし、ほぼ24時間着ているせいで、気温のことは忘れがちになる。

「この湖って危険はない?」

探知スキルで確認するが、湖の中に魔物がいるってことはない。でも、魔物以外にだって危険なものがいるかもしれないので、サクラとシノブに尋ねる。

「はい、大丈夫ですよ。わたしも泳いだりしましたから。そういえば、今年は泳いでいません」

溺れる危険もあるけど、くまゆるとくまきゅうが一緒なら、大丈夫かな。

「ユナ姉ちゃん。泳いでもいい?」

「いいけど。水着がないでしょう。家に取りに戻る?」

「その、水着ならわたしが持っています」

水着のことを言ったら、フィナが持っているらしい。

「持っているの?」

「ユナお姉ちゃんからもらったアイテム袋、たくさん入るから、いろいろと入れてあるんです」

たしか、フィナにあげたアイテム袋は盗賊を討伐したときの報酬だ。わたしのクマボックスほどでないにしても、水着ぐらいなら、余裕だろう。

フィナはシュリと自分の水着をだす。

「それじゃ、家を出すから、着替えておいで」

わたしはクマハウスを出す。

さすがに女の子だけでも、外で着替えをさせるわけにはいかないからね。

「それじゃ、サクラ様。わたしたちも泳ぐっすか?」

「でも、泳ぐ服が」

「こんなこともあろうかと。持って来ています」

シノブは胸に手を入れると、水着らしきものをだす。シノブの服の内側にアイテム袋があるのは知っているけど。そこから出すと、服の中に水着を隠し持っていたように見えるから困る。

海もあるから、和の国に水着はあるみたいだ。

サクラとシノブも水着に着替えるため、クマハウスに入っていく。

わたし? もちろん、泳がないから着替えないよ。