軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

374 クマさん、ノアと遊ぶ (5日目)

タールグイのことも無事に終わり、あとは暇を見て探索するだけだ。運よく、どこかの大陸の近くを通ってくれると嬉しい。好きな場所に行けないのは少し残念だけど、ゲームのイベントと思えば楽しみが1つ増えた。遠いところまで行ってくれるといいな。

そして、新しい朝が始まる。始まるってことは水着選びをしないといけないってことでもある。一回目はワンピースの水着、二回目がセパレートの水着、今回が三回目の水着選びとなる。

シェリーにも水着は三着しか持ってきていないと伝えてある。もちろん、嘘だけど。流石にこれ以上の水着は勘弁してほしい。

わたしは消去法で水着を選ぶ。選んだのは白と黒のビキニだ。これが最後の水着選びになる。次回、水着を着ることがあれば初めに選んだワンピースの水着を着る。わたしはビキニの水着を着るとすぐにクマの着ぐるみを着る。

今日もそれぞれが分かれて行動することになっている。朝食の段階ですでに町に行くグループと海で遊ぶグループに分かれている。町に行くのは前回同様に地元のアンズたちが連れていく。海はルリーナさんやギルたち、クリモニアメンバーが面倒を見てくれる。

わたしは第三の案、家で寝るを提案したいが、それは叶わなかった。

「ユナさん、着替えは終わりましたか?」

「お、終わったよ」

返事をすると水着姿のノアとミサとシアの三人が部屋に入ってくる。

「どうして、クマさんの格好なんですか?」

「本当です。クマさんです」

今日はノアたちと遊ぶことになっている。フィナたちはティルミナさんたちと一緒にいるそうなので、今日は家に引き篭もってのんびりしようと思っていた。でも、ノアと一緒に遊ぶ約束をしてしまった。昨日、ノアとミサを誘わずにフィナたちと島に行ってしまったから、今日は断れなかった。

そして、今日はマリナとエルの2人もミサの傍にはいない。

ミサから今日は護衛はいらないと言われた。マリナは仕事だからと言って傍に居ようとしたが、ミサに断られていた。たぶん、ミサなりに気を使ったんだと思う。だから、ミサのことはわたしが引き受けることにした。

ミサに休みを貰った2人は渋々と冒険者ギルドに行くと言って出ていった。別に仕事をするわけじゃなく、冒険者同士の情報交換をするためらしい。その町々の話を聞くのは、その地域のことが分かるから、新しい町に行くと冒険者ギルドに顔を出すのは冒険者の基本らしい。

町の近くにはどんな魔物が生息しているか、どんな仕事があるのか、そんな話をするみたい。あと、仕事内容を見ても、その町の状況も分かるらしい。

魔物の討伐の依頼が多ければ、魔物が多く発生していることが分かる。盗賊がいるかも分かる。それにともない護衛の数が多ければ危険と分かる。そんなわけで今日のわたしがマリナとエルの代わりになる。

わたしは3人を連れて、海岸に向かう。

「今日はユナさんとクマさんと一緒です」

ノアとミサはくまゆるとくまきゅうに乗っている。その後ろをわたしとシアが付いていく。

浜辺に到着すると、子供たちがわたしを待っていた。

「ユナお姉ちゃん、遅いよ~」

「早く出して!」

「そんなに慌てないで、出してあげるから」

わたしは海の近くに来るとクマさんウォータースライダーを取り出す。わたしが知らないところで地元の子や知らない人が来て、怪我をしても大変だから、帰るときには片付けている。

「俺、一番」

「それじゃ、次わたし」

「ちゃんと、準備運動はした?」

「したよ~」

子供たちは返事をしてクマさんウォータースライダーの中に入っていく。ルリーナさんとギル、リズさんたち年長者もいるから、大丈夫だろう。

それから、柵がある簡易プールにはクマさんの遊び道具を出してあげる。カリンさんとエレナさんが小さい子たちと一緒に乗って遊びだす。

「ノアたちは遊ばないの?」

「ユナさんは、なにして遊びますか?」

「わたし?」

なんでも良いなら、寝て過ごしたいよ。

「ユナさん、面倒って思っていませんか?」

「お、思っていないよ」

ここに心を読む女の子がいるよ。

「本当ですか? それなら、ユナさん。泳ぎに行きますよ。早く、クマさんは脱いでください」

わたしは渋々とクマの着ぐるみを脱ぐ。

どうして、下に水着を着ているのに上の服を脱ぐときって恥ずかしいんだろう。やっぱり、小学校以来、プールも海も行ったことが無いからかな? これがリア充なら気にしないで服を脱いで遊ぶんだろうな。

「今日はわたしの水着とお揃いなんですね」

わたしの水着は黒と白ビキニ。ノアは青色、ミサは緑色。色は違うがビキニの水着だ。でも、わたしの水着にはフリルは付いていないよ。ノアとミサにはビキニの水着に可愛いフリルが付いている。

クマの装備は全てクマボックスに仕舞い、白クマパペットだけが残る。それを海の家で留守番するくまゆるとくまきゅうに預ける。くまゆるとくまきゅうには子供たちの監視をお願いする。

そして、水着姿になったわたしはノアとミサに手を引っ張られ、シアが背中を押す。

それから、わたしは泳いだり、クマのウォータースライダーで遊んだりする。ウォータースライダーは噂が広まったのか、昨日より地元の子供たちの人数が増えている。

仲良く遊ぶなら、遊ぶ許可を出す。

わたしは波打ち際でノアたちと遊ぶ。

「ユナさん、いきますよ」

皮のボールが飛んでくる。それを打ち返す。まさか、こんなリア充みたいな遊びをするとは思わなかった。

「ユナさん、動きが遅いですよ」

そんなことを言われても、クマ装備が無ければ、体力がない女の子に過ぎない。脳で分かっていても体が思った通りに動かない。クマ装備を着ていたおかげで、余計にそう感じてしまう。

クマ装備なら、わたしの考えと行動が一致する。思った通りに動いてくれる。でも、クマ装備が無ければ、チグハグな動きになってしまう。

そして、たくさん動き回ったわたしは、いつもの光景になる。

「ユナさん、大丈夫ですか?」

「もう、駄目。動けない」

相変わらず体力がなく、遊び疲れたわたしは海の家で倒れている。もう、一歩も動けない。ノアもミサもシアも元気だ。その体力を少しで良いから分けてほしい。

元の世界では引き篭もりで、異世界ではパワードスーツのクマの着ぐるみを着ているせいで、まともな運動はしていない。本当に体力がない。

「でも、ユナさんじゃないですが、わたしも疲れました」

「久しぶりに遊びました」

ノアとミサが倒れているわたしの隣に座る。シアはそんなわたしたちに冷蔵庫から飲み物を持ってきてくれる。

「ありがとう」

「お姉様、ありがとう」

「ありがとうございます」

わたしたちはシアから飲み物を受け取る。

冷たい水が心地良い。運動して汗を掻くのも久しぶりだ。ちなみにシアから日焼け止めを塗ってもらったので、日焼けは気にしないで大丈夫。もし、日焼けをしたとしても前回同様に魔法で治せば大丈夫だ。

「わたしはしばらく休んでいるから、3人は遊びに行っていいよ」

「わたしも疲れたので、一緒に休みます」

ノアはそう言うと、ミサとシアも一緒に休むことになった。

わたしが海の家に倒れていると、外が騒がしくなる。

「なんだ。あのクマは」

「まあ、クマの嬢ちゃんが作ったんじゃろう」

聞き覚えのある声がしてくる。

「この声はお父様?」

ノアが声に反応する。

海の家の入口の方を見ると、クリフとグランさんが入ってくる。

「どうして、ここにお父様がいるんですか?」

「それにお爺様も」

ノアとミサが2人に駆け寄る。

「グラン爺さんにミリーラの町を案内するために来た。それにノアとシアが皆に迷惑をかけていないかと思ってな」

「してません」

「していないです」

「そうみたいだな」

クリフは海でくまゆるとくまきゅうと一緒に遊んでいる子供たちを見る。わたしが休むのと入れ換えに、くまゆるとくまきゅうには遊びに行かせた。

ノアはクリフの言葉に従って、くまゆるとくまきゅうと一緒に遊ぶのを我慢している。

「それと、ユナにはシアの件について、礼を言わないといけなかったしな。ユナはいないのか?」

ここにいるよ。ノアの後ろにいるのがわたしだよ。

「ユナさんなら、そこにいますよ」

ノアが後ろにいるわたしに視線を向ける。

「ユナか? クマの格好してないんだな。一瞬、誰なのか、分からなかったぞ」

まるで、わたしがクマの一部みたいに言うのはやめてほしいんだけど。

やっぱりクマ=わたしって認識しているってことなのかな。

「それにしても、おまえさんも海ではそんな格好をするんだな」

わたしは水着姿に肩から大きめのタオルをかけている。クリフがジロジロとわたしのことを見るので、タオルで体を隠す。

「お父様、女の子をそんなに見るのは失礼です」

ノアがわたしの前に立って、庇ってくれる。

ノア、ありがとう。

「誤解するな。ユナの格好が珍しかったから、見ていただけだ」

「それでも、駄目です」

「分かったから、怒るな」

クリフはわたしから目を逸らす。

わたしは隣の部屋に行くと、クマの着ぐるみを着て戻ってくる。

あ~、落ち着く。

「それで、お父様はいつ、こっちに来たのですか?」

「昨日だ。この町の町長やギルマスなどと話をしてきた。それで、おまえたちの顔を見ようと思って来た」

なんでも、クリフは商業ギルドでミサが住むシーリンの街に直通の馬車を運行させる話をしたりしたそうだ。

その馬車をグランさんの街が用意するとか、馬車の運賃などの話があったそうだ。クリモニア経由で移動するよりは、そっちのほうが距離が短くなる。徐々にシーリンの街でも魚介類の販売を少しずつ増やしていくそうだ。新しい食べ物が入れば街の活性化にもなる。

その話はすでにクリモニアでミレーヌさんと話し合って決めてあったらしい。そのミレーヌさんはいないよね。クリフの後ろを見るがミレーヌさんの姿はない。その代わりに、マスリカとイティアの姿があった。二人も来ていたんだね。

「それで、クマの嬢ちゃん、あれはなんだ?」

グランさんがクマのウォータースライダーを見ながら尋ねてくる。

「滑り台だよ。高い場所から滑って、海に飛び込む遊びかな?」

「楽しいんですよ。くるくると回ったりして」

ミサはグランさんに手振りを交えて楽しそうに説明する。

「おまえはまた、変な物を作ったんだな」

変な物って、みんなに楽しんでもらえるように、いろいろと考えて作ったのに酷い。

「おまえはこの町をどうするつもりなんだ?」

「どうするつもりって?」

意味が分からないんだけど。

「あんな、遊び道具を作って、人を集める気か?」

「そんなつもりはないけど。あれは、子供たちの遊び道具として作ってあげただけだよ」

泳ぐだけじゃ、つまらないからね。中には泳げない子もいる。だから、ウォータースライダーや海に浮かぶ遊び道具を用意した。

「それじゃ、お前さんが帰るときは片付けるのか?」

「そのつもりだけど」

あんな物を出したままにしておくわけにはいかない。わたしたちが帰った後に遊んで怪我でもしたら大変だ。だから、帰るときには片付けるつもりでいる。

「おまえさんは、あの子供たちを見て、それを言えるのか?」

クリフはクマさんウォータースライダーを見る。そこからは子供たちの元気な声が聞こえてくる。

「うわぁぁぁ!」

「もう一回!」

「待ってよ!」

子供たちがクマさんウォータースライダーで楽しそうに遊んでいる。そこにはうちの子たち以外にも地元の子供たちが遊んでいる姿もある。

クリフが言いたいことがなんとなく分かった。ウォータースライダーを片付けたら、地元の子供たちが悲しむかもしれない。だからと言って、出したままにしておけば危険かもしれない。

それにウォータースライダーは夏場以外は役にたたない。冬にあっても邪魔にしかならない。

う~ん、どうしようか。