軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

298 クマさん、砂漠を移動する

どこかに良いところはないかな?

くまゆるに乗りながらキョロキョロと周辺を見渡す。

今のところ、来る予定はないけど、クマの転移門を設置したいと思っている。クマの転移門の設置には制限はないし、作ったとしても無駄にはならない。

でも、町の中に家を購入したり、クマハウスを設置したりはできないので、町の外で見付かりにくい場所を探している。

まだこの辺りは岩が多く、クマの転移門を設置するなら、岩山の中につくると良さそうだ。

わたしは道から離れて、大きな岩山がある場所に移動する。この辺りなら人も来なそうだし大丈夫かな。

わたしは良さそうな岩山を見つけると止まる。

ここでいいかな?

わたしは岩山にクマの転移門が設置できるほどの穴を魔法で開ける。そして、穴の中にクマの転移門を設置する。最後に穴を土魔法で塞いでクマの転移門を隠す。これで良いかな。使用した場合、穴の中で暗いけど、隠すなら仕方ない。

わたしは道に戻るとあらためて出発をする。

道なりにくまゆるを走らせていると、岩山で見えなかった細い物が見えてくる。

あれが柱なのかな?

ここからだと、まだ細い棒にしか見えない。

棒を目指して移動していると、徐々に太くなっていき、柱と認識できるほどの大きさになってくる。柱に近付くにつれて、足元は次第に砂へと変わっていき、岩山も徐々に消えていく。

柱に到着すると、辺りは砂となり、ここからが本格的な砂漠の入り口になっているみたいだ。

柱は 大木(たいぼく) のように大きく、人が4~5人ほど手を繋いだほどの太さがある。高さは意外と高い。見上げてみる。近所にあった10階建てのマンションぐらいはあるかな?

触ってみるが魔法で作ったのか、しっかりしている。

同じものを作ることに挑戦したくなるが、驚かれても困るので自重する。

そして、進む先を見ると、2本目の柱が見える。確かに、柱を目指して進めば迷子にならないね。いくら、クマの地図のスキルがあっても、目的地が分からなければ迷子になる。でも、今度は迷子にならずに済みそうだ。わたしはくまゆるに飛び乗ると、2本目の柱に向けて出発する。

「それじゃ、くまゆる。あの柱を目指してね」

くまゆるは「くぅ~ん」と返事をすると走り出す。くまゆるの足元を見ると砂に埋もれることもなく、普通の地面を走るように駆けていく。

さすがくまゆると言うべきか、神様にもらった召喚獣だ。速く走れるし、スタミナもある。さらに水の上も走れるし、砂の上も問題はない。その上、モフモフ度も高い。最高級のプレゼントだ。

初めて見る砂漠だけど、意外と綺麗な風景かもしれない。

たぶん、そう思えるのもクマ装備があり、くまゆるたちがいるから言える感想だ。それがなければ、死の土地と認識して、早く逃げ出したいと思ったかもしれない。

それほど、砂漠には何もない。見える物は砂しか見えない。どこを見ても砂、砂、砂だけだ。砂で作られた丘ぐらいしか存在しない。

それが綺麗であり、怖くもある。

上を見れば日差しも眩しく、強い。たぶん、クマの着ぐるみを脱ぐと、死ぬほど暑いんだろうな。さらにクマの着ぐるみの有り難味が出てくる。

「くまゆる。もし暑かったら言ってね」

「くぅーん」

くまゆるは返事をすると速度を上げる。どうやら、問題ないとアピールしているみたいだ。

広大な砂漠の上を黒いクマが走り抜けていく。

想像してみるが、違和感がありまくりだね。

元の世界でも、ファンタジーな世界でも砂漠にクマって初かもしれない。カメラがあったら、写真を記念に撮りたいね。風景も良いし、砂漠とクマ。面白い組み合わせだ。合成じゃない、本物の写真。現実でも異世界でも絶対に信じてもらえない組み合わせだ。

そんな砂漠をくまゆるは快適に走る。

しばらくすると2本目の柱に到着する。そして、進む先には3本目の柱が見える。確かに柱を目指して移動すれば迷子にならずに済みそうだ。

ただ、ブリッツの言葉じゃないけど、砂漠の移動は単調な移動になりそうだ。他の場所なら、森林を眺めたり、山を眺めたりして移動するが、ここは砂しかない。砂丘の変化が少しあるぐらいだ。あとは同じような風景が淡々と続く。くまゆるたちに任せて寝ていようかな?

砂漠を寝ながら移動って、真面目に砂漠を移動している人をバカにしているよね。クマハウスやクマの転移門を使っている時点で今更だけど。

次の柱を目指す前にわたしはくまゆるとくまきゅうを交代させる。

くまゆるは町を出てから、走りっぱなしだ。まして、砂漠を走っているのだから、疲れているかもしれない。この子たちはわたしのためだと頑張ってしまう。

たとえ、無限の体力があったとしても、走り続けさせることはさせたくない。

くまゆるとくまきゅう、二人いるのだから、交代すればいいだけのこと。

「くまゆる、ありがとうね」

くまゆるに感謝の気持ちで頭を撫でてから送還する。そして、代わりにくまきゅうを召喚する。

砂漠に黒クマも合わなかったけど、砂漠と白クマも合わないね。

黒クマは山の中、白クマは氷の上って、イメージがどうしてもある。

「くまきゅう、大丈夫?」

もしかして、くまゆるとくまきゅうで耐性が違う可能性もあるので尋ねてみる。

くまきゅうは「くぅ~ん」と元気に鳴き、擦り寄ってくる。大丈夫そうだ。

一瞬、くまゆるは暑さに強く、くまきゅうは寒さに強いかもと頭に浮かんだけど、そうでもないらしい。

まあ、くまゆるが雪山を普通に走っていたから、そんな差は無いみたいだ。

でも、そんなに暑いのかな?

ちょっと、試しにクマさんフードを取ってみる。その瞬間、熱風が顔を襲う。そして、顔が熱くなってくるのが分かる。

「あ、暑い」

すぐにクマさんフードを被る。

「なに? この暑さ? 人が居られる場所じゃないよ。くまきゅう、本当に大丈夫なの?」

心配になってくまきゅうを見る。

でも、くまきゅうは苦しむ表情も、暑そうにする表情もしない。可愛らしい顔があるだけだ。「なに?」って感じでわたしを見ている。本当に大丈夫そうだ。

こんな場所を移動する人を尊敬するよ。

神様、クマ装備ありがとうございます。と心から言いたくなる。

そんな考えを持ってしまうと神様の思い通りになった気がするので、クマ装備については半分感謝して、くまゆるとくまきゅうを与えてくれたことは心から感謝しておくことにする。

「それじゃ、くまきゅう、暑いけどお願いね」

わたしはくまきゅうの顎下を撫でて背中に乗る。

あとで、くまゆるにも感謝の気持ちを伝えないと駄目だね。そうしないと、あとで拗ねるかもしれない。そうなったら、会話もしてくれなくなる。

くまきゅうは広大に広がる砂漠を走り出す。

順調に進み、風景も飽きてくる。冷たい飲み物をクマボックスから取り出して飲む。そして、飲み物を持ったままにしていると、すぐに飲み物が温かくなってしまう。

だから、飲んだらすぐにクマボックスに仕舞うことにする。クマボックスにも有り難味が出てくる。無限に入るし、クマハウスみたいな大きな物も入るし、冷たい物も保存もできる。感謝しないといけない。

走っているとくまきゅうが「くぅ~ん」と鳴いて速度を落とす。

魔物かなにかと思ったら、前方にトカゲに乗って移動している人たちがいる。たぶん、わたしよりも早く出発した人たちだろう。くまゆるやわたしのことが見られると面倒だから、気付かれないように追い越したいところだ。

でも、視界が広い砂漠だと追い抜かすのも難しい。隠れて追い越す場所があればいいんだけど、この砂漠にはない。あるのはところどころにある砂丘ぐらいだ。

どうしたものかな?

スキルの地図を出してみる。予想を付けて進むと前回の二の舞になる可能性大だ。

とりあえず、追いつかないようにして移動することにする。

意外とトカゲの速度は速い。速度が意外と速いので追い抜かすにはかなり大回りしないといけない。

どうしようかと思っていると、3本目の柱で休憩するみたいで止まる。

わたしは止まっているうちに大回りして、追い抜かしていくことにする。

砂で作られた丘を利用して、姿を隠して進む。

かなり、大回りしたせいか、砂丘の先にウルフらしき影が見えた。

あれがサンドウルフかな?

立ち止まって目視するが、遠過ぎて少し分からない。

襲ってくるようなら、倒してもいいけど。今は自重して、襲ってくる魔物や危険な魔物だけを討伐するようになった。

大概、くまゆるやくまきゅうがいるとウルフは一匹だと襲ってこない。たまに群れだと勝てると思うのか襲ってくる場合がある。

今回はどうかな?

探知スキルを使う。サンドウルフが周辺に散らばっている。探知スキルを見ていると、サンドウルフが徐々に一箇所に集まり出し始める。そして、ゆっくりとわたしたちの方へと動き出す。

どうやら、わたしたちを餌と認識したらしい。

くまきゅうなら、逃げることも可能だけど。襲ってくるなら、フィナのお土産にしてもいいかもしれない。

サンドウルフは赤みがかかった茶色だった。

通常のウルフがグレーで、スノーウルフが白くて、サンドウルフは赤茶色だ。

わたしはいつでも戦えるようにくまきゅうから降りる。

無防備に砂漠に立っていると、サンドウルフはわたしとくまきゅうをゆっくりと囲い始める。数は10匹ほど。これだけで、わたしとくまきゅうを倒せると思ったみたいだ。

サンドウルフの一匹が遠吠えをすると、一斉にわたしたちに襲いかかってくる。

わたしは襲いかかってくるサンドウルフを躱し、クマパンチを胴体に打ち込む。くまきゅうはカウンター気味にクマパンチする。ダブルクマパンチが炸裂する。

さらに襲い掛かってくるサンドウルフの頭に氷の矢を撃ち込む。くまきゅうの鋭い爪がサンドウルフを襲う。そして、戦闘が始まって数秒で全てのサンドウルフが砂の上に倒れる。

弱肉強食だ。襲ってこなければ、わたしも倒そうとは思わなかった。今回は襲ってきたサンドウルフが悪い。

とりあえず、フィナへのお土産を手に入れることができた。