軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

228 クマさん、コカトリスと戦う。その2

ムムルートさんが去っていく間も、わたしはコカトリスから目は逸らさずに注意を怠らない。

コカトリスは 嘴(くしばし) から紫の色の息を漏らしながら、唸り声をあげている。

今までの戦いで分かったことは、羽が思ったよりも防御力が高い。

地面に突き刺さっている赤黒い羽を見る。

炎の小熊だと羽の一部を焼く程度にしかならない。

羽は武器にもなるから硬いのかな?

倒すなら、大熊の炎かな。

でも、素材的にどうなんだろう。

もし、役に立つなら確保したいけど。

ゲームなら、焼こうが細切れにしようが、倒せばランダムで素材アイテムは手に入ったけど、リアルだとそうもいかない。

わたしは紫の色の息を吐いて怒っているコカトリスの正面に立ち、くまゆるを後方に下がらせる。

一周りほど大きいコカトリスは吼えると、翼を大きく広げ、閉じると同時に周囲に赤黒い羽を飛ばす。

羽の大きさも威力も初めのコカトリスの比ではない。

目の前に土のクマのゴーレムを出現させて、壁になってもらう。羽はクマのゴーレムに突き刺さるが、クマのゴーレムは倒れない。もし、羽に毒があったとしても、クマのゴーレムには意味がない。

防壁になってもらったクマのゴーレムを走らせる。コカトリスは迫ってくるクマのゴーレムに羽を飛ばすがクマのゴーレムは怯まない。

クマのゴーレムがコカトリスに体当たりをしようとしたとき、コカトリスは空に舞い上がってしまう。

わたしは風魔法を飛ばすが、翻るように躱し、赤黒い羽を飛ばしてくる。

後方にジャンプして躱す。

う~、面倒だな。

もう一度、クマさんキックで叩き落とそうかな。

クマの飛行術みたいなスキルや魔法があれば楽なんだけど。

そしたら、空中戦とかできるのに。

そもそも、この世界に飛行魔法ってあるのかな?

あまり、調べたこともないし、聞いたこともないんだよね。

でも、空飛ぶクマ。想像しただけでもシュールだ。

クマの着ぐるみの格好だけでも目立つのに、この姿で飛ぶようなことがあれば、……考えただけで怖い。

使えたとしても、人前で飛ぶことはよそう。

くだらない妄想は止めて、上空を飛ぶコカトリスを見ていると、ムムルートさんの魔法によって片翼を失って倒れているコカトリスが紫色の息を吐き出し始めた。

まだ、動けるの?

紫色の霧のようなものが片翼のコカトリスを中心に広がっていく。

間違いなく毒だよね。

一瞬、クマ服なら毒ガスも防いでくれるかもと脳裏に浮かぶが、もしものことを考えると、そんな危険な 実験(テスト) はできない。

それに、このまま毒を吐き続けられると周辺に被害が出るかもしれない。

空を飛んでいるコカトリスに注意を払いながら、片翼のコカトリスを倒すことにする。

魔力を集中させ竜巻を起こして周辺の毒を巻き込んでいく。

毒を含んだ竜巻は空高く舞い上がらせ、毒を拡散させる。

空を飛んでいるコカトリスに命中すればラッキーと思ったが、そんなに上手くはいかない。

とりあえず、今は倒れているコカトリスに止めを刺すことを優先する。

周辺に毒が無くなったのを確認すると、すかさずくまゆるよりも一回り大きな炎のクマを作りだす。

目の前に真っ赤に燃え上がるクマが四本足で立つ。

クマの着ぐるみが無かったら、熱風で熱かったかもしれない。

炎のクマは地面を走りだし、抱き付くように片翼のコカトリスに飛び付く。

コカトリスは叫び声をあげて、逃げようとするが、炎のクマから逃げることはできない。

炎に包まれたコカトリスは一度、片翼を大きく広げると、地面に倒れた。

炎のクマを消すと、焼け焦げたコカトリスが残る。

う~ん、コカトリスの惨状を見ると、クマの着ぐるみが無かったら、熱いどころか、蒸し焼きになっていたかもしれない。

周辺に人がいたら、禁止かな。失敗したら、人を焼いてしまうかもしれない。

でも、これで残るは上空にいるコカトリスのみ。

……もう、現れないよね。

さっきも、ムムルートさんの大魔法で倒し終えたと思ったら、コカトリスが現れたからね。

二度あることは三度あると言う。

確認のため、ちょっと探知魔法を使用する。

うん? コカトリスはいないけど、ウルフが数匹近くにいる。

サーニャさんたちが取り逃がしたのか、それともサーニャさんたちとは関係ないウルフかもしれない。どっちにしろ、コカトリスと戦っているときに現れでもしたら、面倒だし、気が散る。

「くまゆる、ウルフが来たら処理をお願い」

ウルフのことはくまゆるに任せる。

わたしはコカトリスに集中して、上空を飛んでいるコカトリスを落とすことにする。

風魔法を飛ばすが、相殺されたり、躱されたりして命中しない。

これじゃ、先ほどと同様にジャンプして、クマさんキックはダメかな。

あのときは下にムムルートさんがいたから、両方に注意が行っていた可能性がある。

囮になるものもないし、今わたしが空に飛べばコカトリスの目もわたしに集中するよね。

それにしても、空中対地上の戦いになったら地上は不利過ぎる。

今も上空からコカトリスが羽を飛ばしたり、風を巻き起こしたりしてくる。

わたしも攻撃をするが防戦が多い。

なによりも、つらいのは上を向いていることだ。

さっきからずっと上を向いていたら、首が痛くなってきた。

下を向くよりも上を見る方が何倍も疲れる。

わたしの敵はコカトリスではなく、首の疲れかもしれない。

これは新魔法を出して、さっさと終わらせた方がいいかな。

わたしはそう決めると、大きな風を作り、コカトリスに向けて放つ。風魔法でコカトリスの体勢を崩して、攻撃ができないようにする。

そして、その隙に左手に電撃を作りだす。

アイアンゴーレムの討伐を終えた後、電撃の魔法を飛ばす方法を考えた。

だから、試行錯誤の結果、次の通りになった。

左手に電撃を作り、それをクマの形にイメージする。するとバチバチと金色の電撃でできたクマが、左手の上にできあがる。

これで、炎の小熊のように投げることも可能になった。

でも、さすがに上空に飛ぶコカトリスに当てるのは難しい。

だから、発射台を作ることにする。

右手に魔力を集める。クマさんパペットの周りに小さな風が竜巻のようにぐるぐると回り出す。

そして、右手を突き出して、電撃クマを右手の竜巻にセットする。竜巻の中で電撃クマがぐるぐると回る。

右手を空を飛んでいるコカトリスに向ける。そして、狙い定めて発射する。

電撃クマがクルクルと高速回転しながら、コカトリスに向けて飛んでいく。

躱される可能性があるので電撃クマを作って連射する。

空中に無数の電撃クマが発射される。

コカトリスは大きく翼を羽ばたかせて、電撃クマの軌道を変えようとするが、高速回転する電撃クマはコカトリスの風の防壁を突き破り、コカトリスの翼に直撃する。

あっ、命中した。

もしかして、意外と威力がある?

実験のときも思ったけど、電撃を風の竜巻で高速回転させると強化されるような気がする。

電撃クマはコカトリスの翼を突き抜けて穴を開ける。

さらに残りの電撃クマも命中して、コカトリスの翼はボロボロになる。羽を失ったコカトリスは必然的に落ちて、地面に叩き付けられた。

痺れて動けないかと思ったけど、地面に落ちたことで、電流が地面に逃げたのか、コカトリスが耐えたのか分からないけど、立ち上がり大きく翼を広げて、叫び、威嚇する。

広がる翼はボロボロになり、穴が開いている。

もう、飛ぶことはできない。

コカトリスはわたしを睨みつけ、嘴から紫色の息が洩れている。

電撃魔法を喰らっても生きているんだね。

羽じゃダメージは与えられないってことなのかな。

コカトリスには悪いけど、このままにしておくわけにはいかないので、 止(とど) めを刺すことにする。

コカトリスに至近距離まで近付いて、左手に電撃クマ、右手に風の竜巻。合体させて、至近距離から電撃クマさんトルネードを撃ち込む。

コカトリスの胴体に穴が空き、今度こそ倒れて動かなくなる。

終わった。

結構疲れたかな。

主に精神的に疲れたような気がする。

あと、首が痛い。

首をぐるりと回して、 解(ほぐ) すが、治らない。

白クマの着ぐるみで寝れば治るかな?

とりあえず、コカトリスを倒し、安全になったので、ウルフ討伐を任せたくまゆるを呼ぶ。

ウルフも現れなかったし、倒してくれたのかな。

探知魔法で周辺の確認をしようとしたとき、くまゆると一緒にサーニャさんと数人のエルフが現れた。