軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

147 クマさん、鉱山から出る

変な石を手に入れたわたしは、考えるのは止めて、上の階層に上がることにする。

クマモナイト?

分からないことを考えても仕方ない。今のところ、分からなくても困ることはないし。

上の階層に上がったら、ゴーレムを確認するために探知魔法を使う。

う~ん、いるね。

ボスが倒れたら全てのゴーレムが起動停止とかはしてくれないみたいだね。もしくは、全然関係ない可能性もある。それだと、困るんだけどね。

とりあえず、面倒だけど、出現しているゴーレムは倒さないといけないね。

そうしないと、復活するか、しないかも分からないし。

でも、1人でやるのは面倒だな。

ジェイドさんたちに手伝ってもらおうかなと考えていると、くまゆるとくまきゅうが擦り寄ってくる。

「手伝ってくれるの?」

小さく鳴く。

「ありがとう」

くまゆるとくまきゅうを抱き締めてお礼を言う。

「それじゃ、アイアンゴーレムはわたしが倒すから、くまゆるとくまきゅうは、岩石ゴーレムと土ゴーレムをお願い。終わったら、入ってきた入口に集合ね」

くまゆるとくまきゅうは頷くと、坑道を走り出す。

「仲良くするんだよ~」

遠くでク~ンと鳴く声が聞こえた。

上の階層はくまゆるたちに任せて、わたしはアイアンゴーレムを倒すことにする。

坑道はそんなに分かれ道は多くないので、そんなに時間はかからないはず。

わたしは探知魔法を使って道順を決めて出発する。

途中でくまゆるたちとすれ違ったりしたが順調に倒しているみたいだ。

わたしもアイアンゴーレムを倒し終え、くまゆるたちの手伝いに向かったが、すでに探知魔法にゴーレムの反応は無かった。

入口に戻ってくると、すでにくまゆるとくまきゅうがいた。

うん、早かったね。仲良くくっついて座っている。

「お疲れさま、ありがとうね」

くまゆるたちに感謝をして送還する。

さすがに、ミスリルゴーレム討伐のあとに、坑道の中のゴーレム掃除は疲れた。

今日は早く宿屋に帰って寝たいところだ。

鉱山から宿屋に向けて歩いていると好奇な目で見られるが、構うこともせずに宿屋に向かう。

宿屋に入ると、ジェイドさんたちとバカレンジャーたちがいた。

「ユナ、遅かったな」

「ユナちゃんなら、大丈夫だと思ったけど、遅かったから心配したよ」

そりゃ、坑道の中を掃除していたからね。

「ゴーレムを倒していたら遅くなって」

「倒しても明日には復活するから無駄」

セニアさんが身も蓋もないことを言う。

「ジェイドさん、そのことでお願いがあるんだけど」

「なんだい」

「一番奥にいるゴーレムと他のゴーレム全て倒したから、明日、確認をお願いしてもいい?」

「……すまない。なんて言ったんだい?」

「一番奥のゴーレムを倒したから……」

「……ユナちゃん、冗談だよね?」

「一応、倒したよ。でも、復活するか、しないかは分からないけど」

それは明日にならないと知ることはできない。

「おい、そこのペット。嘘をつくんじぁねえ! 俺たちが5人がかりで倒せないゴーレムを、ペットのお前さんが1人で倒したって言うのか。笑わせるな」

バカレッドがわたしたちの会話を盗み聞きをしていたのか、ビールを持ったまま、こちらにやってくる。

わたしはミスリルゴーレムを討伐したあと、坑道の中を掃除するついでに、電撃魔法の強弱の練習をした。

さっそく、その効果を確かめるために、クマさんパペットに電撃弱を作り、バカレッドに軽く触る。

「うぎゃ」

バカレッドは変な声を出すと倒れてしまった。

「バーボルド!?」

いきなり、倒れたバカレッドに仲間が駆け付ける。

バカレッドの名前を呼ぶが反応がない。

気を失っているけど、生きているよね?

う~ん。まだ、少し強かったかな? もう少し練習が必要だね。

まあ、生きているし、人のことを散々ペットと言ってバカにしたことだし、これぐらいいいよね。

とりあえず、誤魔化すために、

「酔っぱらって、倒れたんじゃない?」

と言って、バカレッドが持っていたビールが入っていたジョッキを指す。

ビールは床に溢れている。飲みかけだったため、そんなに大きな被害にはなっていない。

「バーボルドがこの程度のお酒で酔うはずは……」

「でも、寝ているし」

全員、わたしがなにかをしたと思っているらしいけど、証拠は無いし、なにをしたかも分かっていない。

バカレッドの仲間はそれ以上なにも言わずに、巨躯のバカレッドを部屋に運んでいく。

わたしは空いている席に座り、女将さんに食事を頼む。

「ユナちゃん。本当になにもしていないの?」

わたしは首を傾げて意味が分からないよってポーズをとってみる。

「うん、ユナちゃんはなにもしていないよね。バーボルドが酔っ払って倒れたんだよね」

メルさんが1人で頷いている。

「それで、ユナ。さっきのことは本当なのか?」

「さっき?」

「ゴーレムの件だ」

「ああ、そのことね。信じるか、信じないかは自由だけど、奥にいたゴーレムを含めて全部倒したから、復活しなければ終了だと思うよ」

「本当なのね」

「ってことはユナに先を越されたわけか」

先を越されたって、倒すつもりはなかったんじゃ。

「実はね。昨日のバーボルドたちと酒飲みで意気投合しちゃって。共同で奥にいるゴーレムを倒すことにしたのよ。国に手柄を持っていかれるなら、わたしたちで半分に分けようって話になったの」

「それで、今日は休んで、明日、討伐に行く予定だったんだ」

「それをわたしが倒しちゃったと」

そんなこと知らないよ。

全員、諦めていたじゃん。

「それにしても、よく倒せたな」

「まあ、いろいろと方法あるからね」

「う~、ユナちゃんの戦うところ見たかった」

一緒にいたら、転移門は使わなかったけどね。

「ユナ、悪いがゴーレムを見せてもらえないか。持っているんだろ」

う~ん、近くで見てもミスリルって分からないよね。

わたしは仕方なく外に出てミスリルゴーレムを出す。

「うわぁ、酷い」

崩れ落ちているミスリルゴーレムの姿がある。

「よく、バーボルドたちが倒せなかったゴーレムを、こんな酷い状況までできたな」

「クマ 力(ちから) 、凄い」

「力が凄いからって、こんな状態にできるか」

ジェイドさんがもっと詳しく調べようとしたとき、宿の中から女将さんの声が聞こえる。どうやら、食事ができたらしい。

わたしは女将さんに返事をして、ミスリルゴーレムを仕舞う。詳しく調べられたくなかったのでナイスタイミングだった。

いかにもって感じで宿屋の中に入る。

「でも、ユナがあのゴーレムを倒してくれたってことは、鉱山に現れたゴーレムに、なにかしら反応があるかもしれないな」

「そうね。なら、明日は確認ね」

「どっちにしろ、バーボルドたちと潜る予定だった」

「だな。もし、ゴーレムが現れれば、そのまま一番奥まで行けばいいし、ゴーレムがいなかったら、坑道の探索だな」

食後、部屋に戻ってきたわたしは、ミスリルゴーレムと戦った場所のことを考える。

人が来ないとは言え、あまりクマの転移門を放置したくない。

疲れているから、寝たいけど、明日の昼間にミリーラの町に行くと、ミリーラの町の住人に気付かれる。そうなると、面倒なことになる。

やっぱり、今から行かないとダメかな。

明日の夜でもいいけど。もしものことがある。

気持ちを入れ換えてクマの転移門を設置する。そして、ミリーラの町のクマハウスに転移した。

外を見るとすでに夜。暗闇に隠れて移動するには丁度いい。

まして、わたしの格好は黒! くまの格好だけどね

暗殺者のように闇に紛れるように、外に飛び出す。

前回同様、人に見つからないように町の外に出る。こういうとき、出口の近くにクマハウスがあるから便利だ。もし、町の中央にあったら、夜とは言え、隠れて移動するのは難しかった。

町を出て、少し離れたら、くまきゅうを召喚して転移門がある場所まで走らせる。

クマの転移門を回収すると、すぐにミリーラの町に戻る。

宿屋に戻ったら、白クマに着替えて、ベッドにダイブだ。

もちろん、くまゆるとくまきゅうは召喚しておくよ。

翌日、ジェイドさんたちとバカレンジャーは鉱山に向かった。

わたしは昨日の疲れがあるからと、嘘を吐いて残ることにした。

ちなみに、バカレッドは昨日の事を覚えていなかった。自分も酔っぱらって寝てしまったと思い込んでいるみたいだ。うん、バカで良かった。

わたしは朝食を終え部屋に戻ると二度寝をするためにベッドに倒れる。

昨日は頑張ったから、今日くらいはのんびり過ごそう。

王都にいるフィナも数日間、王都を楽しんでいると思うし、いいよね。

エレローラさんにはフィナをお城見物に連れて行ってもらうことを頼んだ。前回はフローラ姫に捕まって、ちゃんとお城の中を見れなかったからね。だから、喜んでもらえればいいけど。

まあ、クマフォンで確認したら、綺麗な服を着たり、良い部屋に寝泊まりさせてもらったりして、楽しんでいるみたいだ。

それにちゃんとエレローラさんはお城を案内してくれたみたいだ。仲良く、フローラ姫や国王とも食事ができたみたいだし、お昼を渡しておいて、正解だったね。

それから、シアにも王都見物を頼んだ。前回は誕生祭だったけど、普通の王都も雰囲気が違うから楽しめるはず。

フィナには迷惑をかけたからね。

十分に楽しんでもらわないと。

昼食前には起きて、食事を食べているとジェイドさんたちとバカレンジャーが戻ってきた。

「早かったね」

スープを飲みながら尋ねる。

「ああ、ゴーレムが1体もいなかったからな。だから、坑道の中を歩いただけだ」

「信じられない。あんだけいたゴーレムが1体もいないなんて」

あのミスリルゴーレムのせいか、クマモナイトのせいか、理由は分からないけど。どうやら、復活はしていないみたいだ。

「本当にこのペットが1人であのゴーレムを倒したのか」

バカレッドがわたしを見る。

もう1回、電撃でも喰らわせてあげようか。

「おまえも、あの部屋にゴーレムがいなかったことは確認しただろう」

「だからと言って、俺たち5人がかりでも倒せなかったゴーレムを」

「何度もユナのことを説明はしただろう」

「タイガーウルフ、ブラックバイパー、ゴブリンキングを1人で討伐だろ」

「まあ、普通は信じられないよね」

バカレッドの言葉にメルさんが賛同する。

周りを見ると、メルさんだけじゃなく、全員が頷いている。

まあ、それはいいけど。

「それで、これで依頼完了でいいの?」

なら、今日にでも帰るけど。

「とりあえず、鉱山の責任者に報告だな。それから、どうするか相談だな」

それはそうか、一応鉱山にも責任者いるよね。

存在そのものを忘れていたよ。

でも、報告は面倒そうだ。

「ユナ、報告に行くか?」

「面倒なんで、ジェイドさん、お願い」

ダメ元で、一応、頼んでみる。

「おまえな~……、まあ、報告だけなら俺の方でしておく。バーボルドも来い」

おお、頼んでみるものだ。

ジェイドさんに感謝だね。

「なんで、俺様まで」

「俺たちだけよりも、おまえたちもいた方が信じてもらえるだろ」

「なら、倒したそのペットを連れていけばいいだろう」

「おまえ、ユナが依頼完了しましたと言ってきたら、信じるか」

バカレッドがわたしを見る。

そして、一言。

「……信じないな」

「だから、お前も来るんだよ」

「仕方ねえな」

なんか、悪口言われていない?

気のせいじゃないよね。

まあ、面倒な報告をしてくれるから、許すけど。

ジェイドさんとバカレンジャーは鉱山の責任者のところに行くことになり、わたしはくまゆるとくまきゅうを召喚してゴロ寝をする。

しばらくすると外が騒がしい、窓を開いて外を見ると、ジェイドさんたちとバカレンジャーが街の人に囲まれていた。

聞こえてくる声は感謝の声だ。

みんな、ジェイドさんたちとバカレンジャーに感謝の言葉を贈っている。

ジェイドさんたちは困った顔をしているが、バカレンジャーは手を振っている。

どうにか、宿屋に入ってくるジェイドさんたち。さすがに住人たちは宿屋までは入ってこない。

何事かと思い、1階の食堂に向かう。

「なにか、あったの?」

「ユナか……」

「それがね。わたしたちが鉱山のゴーレムを討伐したことになっちゃっているの」

ジェイドさんたちの説明によると次の通りだ。

朝一で、鉱山に向かう9人の姿を見る。

9人が戻ってくる姿を見る。

9人が鉱山の責任者に報告に行くところを見る。

鉱山の責任者が9人にお礼を述べる姿を見る。

鉱山のゴーレムが現れなくなったことが広まる。

うん、話の流れがよくわかるね。

「それで、わたしたちがゴーレム討伐したことになっちゃったの」

「しかも、このバカが手なんて振るから」

「うるせぇ、みんなが礼を言うから、手を振っただけだろ」

「ユナちゃんが倒したって説明しようとしたんだけど」

「誰も話を聞こうとしない」

「すまない」

ジェイドさんが頭を下げる。

う~ん、考えてみるが、わたしのデメリットはない?

さっきのジェイドさんたちみたいに囲まれたくないし、名声が欲しいわけでもないから、とくに困ることはない。

でも、ギルドの討伐記録は欲しいかな。

そのことを伝えると、

「もちろんだ。ちゃんと報告するよ。バーボルドもいいよな」

「当たり前だ。他人の手柄を横取りなんて、セコイ真似はしない」

「よく言うよ。さっきは手を振っていたくせに」

「あれは、俺様のことを呼んだから手を振っただけだ」

とりあえず、これで終了なら、今日は遅いから明日にでも帰るかな。フィナも待っているし。

そのことを伝えると。

「それなんだが、一応様子を見ることになった」

「……?」

「1日経っても出現はしなかったのは初めてだけど。明日、明後日は分からないでしょう」

「それで、10日間ほど残ることになった」

「えっ」

10日間も、そんなにいることはできない。

「それ、本当?」

「でも、ユナは帰ってもいいぞ」

その言葉を聞いて安堵する。

さすがにフィナを10日間もエレローラさんに預けるわけにはいかない。

「だから、ユナには冒険者ギルドに行ってもらい、現状報告を頼みたい」

「でも、もし、あのゴーレムが復活したらどうするの?」

「どうもしないさ。復活したら、国に任せる。あのゴーレムを倒せても復活するようだったら、俺たちじゃお手上げさ」

手を上げてみせるジェイドさん。

「うん、分かった。それじゃ、わたしは明日、王都に帰るね」