軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第282話 悪対悪

寮のアパートに戻ると、勉強会をする。

夕方になり、夕食を食べると、サシャ、マルティナも合流し、夜も勉強会をした。

そして、いい時間になったので勉強会を終え、部屋に戻ると、風呂に入り、物を作っていく。

「あー、良いお風呂だった。このアパートって何気にお風呂も良いわよねー」

ゾフィーも風呂から上がってきて、ご機嫌に髪を拭く。

「そりゃ良かったな」

「うん。あんた、何作ってんの?」

「鉄をどうにかしないといけない。前々からそう思っていて、ずっと作ってたんだよ」

最近は仕事中に作業ができていなかったから止まっていた。

「ふーん……昨日言ってたやつか。あんたは本当に変わったわね。前ならそんなことしなかったでしょ」

「そうだな。前にも言ったが、俺達だけのことを考えるわけにはいかないんだ。町の皆で協力して、助け合いをしないといけない」

「嘘でしょ」

まあ、ほぼ嘘。

「あながち嘘とは言い切れないし、間違ってもいない。今までは物事を個で考えたが、こっちに来てから集で考えるようになった。それはあいつらやヘレンから学んだことでもあり、リート支部の現状を考えた時にそれが正しいと判断した」

「ふーん……本部長が嬉しそうにジークは変わったって言うわけねー」

成長だな。

人は学び、成長していくのだ。

2度の失敗で俺は学んだのだ。

「お前もちょっと手伝ってくれ。精密機械製作チームにいたんだから細かいのは得意だろ」

「まあねー……やりますか」

俺達は作業をしていく。

そして、それは夜遅くまで続き、3時くらいにはようやく作り終えた。

「こんなもんか」

「これ、大丈夫なわけ?」

「問題ない。それよりも遅くまで付き合わせて悪かったな」

明日から仕事だというのに。

「問題ないわよ。勉強や仕事に集中してたらこのくらいの時間になることなんてしょっちゅうだし」

そうか……

「寝る子は育つって言うんだがな……」

「寝るわ。おやすみ」

ゾフィーはすぐに立ち上がると、ソファーの方に行き、毛布を被る。

俺も眠そうだが、頑張って起きていたヘレンを抱えると、寝室に行き、就寝した。

翌日、ちょっと眠かったが、ゾフィーを起こし、エーリカのところに行く。

そして、朝食を食べると、準備をし、出勤した。

すでに俺とゾフィー以外は来ていたので席につき、エーリカが淹れてくれたコーヒーを飲む。

「さて……エーリカ、支部長はおられるか?」

「ええ。さっきコーヒーを持っていきましたよ。新聞を読んでおられました」

いつもの支部長だ。

「ちょっと呼んでくる」

そう言って立ち上がると、支部長の部屋に向かい、扉をノックした。

『んー?』

支部長の声だ。

「支部長、ちょっと相談がありますので来てもらえますか?」

『ああ。ちょっと待ってろ』

そのまま待っていると、コーヒーを持った支部長が出てくる。

「わざわざすみません」

謝りながらもデスクの方に向かった。

「いい。それよりもどうした?」

支部長もついてきて、コーヒーを飲みながら聞いてくる。

「今の鉄や銅の不足状況についてです。昨日、エーリカの家に行きましたが、やはり船大工の方でも足りていないようです。さらには一昨日に民間のアトリエのヴァルターが来ましたが、そちらの方でも不足が厳しいようで連日連夜の話し合いが開かれているようです」

一言で言えば、どこも足りていないのが現状だ。

「そうだろうな。町全体、いや、国全体で足りていない状況だろう。十分にあるのはジーンだけ」

そこに集中している。

「ええ。とはいえ、これは一過性のものです。支部長が言うように冬には停戦になると思いますし、本部長も動いています」

「ああ。残り数ヶ月の辛抱だろう」

支部長が頷き、コーヒーを飲む。

「ただ、私には1つ懸念点があります」

「何だ?」

「ジーンは本当に戦争のためにやっているのかということです」

「してないと思うな。利益のためだろう」

支部長も当然と言った感じだ。

「実は私、王都に行った際に軍のお偉いさんと会いました」

「知ってる。アデーレの爺さんのイグナーツ・フォン・ヨードル元帥閣下だろ?」

「ええ」

俺と支部長がちらっとアデーレを見た。

「え? そうなの? お爺様がなんで? んー? あなた、知ってた?」

アデーレが明らかに目を泳がせているサシャを見る。

「えーっと?」

「アデーレ、ヨードル元帥閣下は本部に電話をかけてきたんだ。それを繋いでくれたのが受付のサシャだ」

黙ってもらっていた。

「あー、なるほど。でも、なんでお爺様が?」

「単純に孫娘の師匠に挨拶ってところだ。急にリートに行ったし、気になったんだろう」

「ふーん……別にいいのに」

「そうは言っても気になるものだろ。ウチの師匠がお前らを飯に誘ったようなものだ」

最初に王都に行った時に皆でバイキングに行った。

「まあねー……」

アデーレは納得していない様子だ。

まあ、気持ちはわかる。

俺もあの時、そんな感情だったし。

「ジーク、元帥閣下は何と?」

支部長が聞いてくる。

「話の流れで戦争の話になりました。色々と話しましたが、元帥閣下も停戦に向いている様子でしたね」

まあ、俺が色々と進言もしたんだけど。

「ふむ……まあ、そうだろうな。軍も戦争を長引かせたくはないだろう。防衛戦とはいえ、あちこちから非難が来ているだろうしな」

「ええ。そんな状況で軍部が追加の支援を頼むでしょうか?」

俺はそんなことはしないと思う。

このままでも負けることはないって言ってたし。

「考えにくいな……戦争を早期に終結させるように動いているし、またあちこちから不満を言われるのは嫌がるだろう」

「でしょう? これはジーンの町の貴族のバルシュミーデ家が主導です」

間違いない。

「そう思えるな……お前はこの鉱石不足が戦争に関わらず、長引くと思っているのか?」

「十分にあり得ます。まあ、本部長の頑張り次第でしょうね」

アウグストの家を潰し完全に優位に立っている本部長と、王妃様という後ろ盾を持つ最大の領地貴族との戦いだ。