軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第261話 問題?

ディルクと共に表の通りに出ると、役所に向かって歩いていく。

「猫ちゃーん、可愛いねー」

ディルクが抱えているヘレンに声をかける。

「ありがとうございます」

「おー、本当にしゃべるんだ……良いなー」

羨ましいだろ。

やらんぞ。

「使い魔だ。召喚したら何かしら出てくるし、契約したらいい」

何が出てくるかはわからない。

しかし、一般的にはその魔法使いを補佐するのが使い魔だからそういうのが出てくるらしい。

だからウチには可愛い猫が出てきたし、クリスにしてもマルティナにしてもそういう使い魔だ。

もっとも、本部長のところのカルステンは何の役に立っているのかはわからない。

まあ、なんだかんだで本部長も可愛がっているが……

「俺は魔法使いじゃないから無理っすね。それにしても協会って可愛い子が多くて羨ましいっす」

そもそも人が少ないんだがな……

「鍛冶師にも女性はいるだろ」

「いるっすけど、怖いっすわ。ハンマーや刃物を振り回す系女子です。俺もそっちみたいな大人しい系の子が良いっすわー」

まあ、鍛冶師の女性と聞くと、そういうイメージはあるな。

男社会だとそれくらいの気の強さがないとやっていけないだろう。

「魔法使いは魔法を使えるぞ。錬金術師は毒も作れる」

「怖いっすからやっぱりいいっすわ」

まあ、あいつらはそんなことしないし、なんならしょぼい魔法しか使えないがな。

「鍛冶師ってやはり日用品を作るんだよな?」

「ええ。フライパンも作りますし、必要とあらば、船の部品も作りますね」

やはりリートでは船か。

錬金術師が作るのは魔導船だが、こいつらや船大工は普通の船を作る。

「ほとんどが鉄や銅だよな?」

「そうっすね。このままだと潰れてしまうってウチの親方が嘆いてましたよ。それで俺に協会に相談してこいって」

役所に行けよ。

「ふーん……お前、何歳だ?」

「俺っすか? 16っすね。まだ見習いっす」

若いな、おい……

そりゃバカでも仕方がないわ。

「まだ1年ってところか?」

「まあ、そんなところっすね。ジークさんはいくつなんっすか?」

名乗っていないが、名前を知っているところを見ると、本当に新聞を読んでるな。

「22だ」

「へー……若いのにすごいっすね。なんか同じ人間とは思えないっすわ」

それは常々、思っている。

特にひと月前くらいのどこぞのアホを相手にした時にそう思った。

「分野が違うだけだろう」

配慮……これが真・ジークヴァルト・アレクサンダーだ。

こんな感じであいつも真・マルティナ・キルシュになってくれるだろう。

人は成長する生き物なのだ。

俺達は役所にやってくると、中に入り、受付にいるルーベルトのもとに向かう。

「よう」

「んー? ジークさんじゃないか。それに鍛冶師のディルク君」

さすがは役所だな。

ディルクも知っているらしい。

「どもっす」

ディルクが軽く頭を下げた。

「こんにちは。珍しい組み合わせだけど、どうしたの?」

「ルーベルトさん、鍛冶師業界の方が協会に相談に来た。鉄と銅がなくなって仕事にならないってさ」

ルーベルトに説明する。

「あー……そっちかぁ……鉱石を買い占めちゃったわけ?」

「民間がな。ウチはアデーレが電話で伝えた通り、銀とボーキサイトだけだ。だから鍛冶屋に分けるものもないし、どうしようもない。民間に言ってくれ」

民間が頷くかは知らない。

「お願いします」

ディルクの方も頼む。

「うーん……まあ、ウチが見誤ったせいだしねー……民間のアトリエさんに言ってはみるけど、何て言うか……」

「依頼の取り下げはできないか?」

「緊急依頼で出しちゃったからな……それに……」

何かあるな……

「まあ、民間に言ってくれよ。もしくは、鍛冶屋に補償をするとかさ」

「うん……ちょっと考えてみるよ。ディルク君、銀鉱石とボーキサイトはどう?」

ルーベルトがディルクに確認する。

「そっちは大丈夫っす。銀もアルミもあんまり使わないですし、そっちの方の鉱石は在庫がありましたから」

俺達は買占めをしなかったからな。

「了解。ジークさん、鉄鉱石や銅鉱石の方はこっちで考えてみるよ。そっちは引き続き、お願い」

「わかった。ちょっと持ってきたんだが、これでいいかの確認を頼む」

そう言って、3人娘が作った銀とアルミのインゴットをカウンターに置いた。

「ちょっと見てみるね」

ルーベルトがインゴットを確認しだす。

「ディルク、こんな感じで良いか?」

「あざっす。これで何とかなるといいっすけど」

どうかな……

今のルーベルトと俺の会話で決まったことは協会は悪くないし、関係ないってことだけだ。

「ジークさん、インゴットの方はこれでオーケーだよ。引き続き、お願い」

問題ないようだ。

じゃあ、3人娘にそのままやらせるか。

「わかった。できたら持ってくる」

「お願い」

用件が済んだのでディルクと共に役所を出た。

「ジークさん、ありがとうございました」

「いや、こちらにも関係することだから気にするな」

ウチは悪くないということが確定しただけでも来たかいがあったってもんだ。

風邪で出遅れたが、それが功を奏したわ。

何を言われるかわからん。

「今度、見学にでも来てくださいよ」

「暇だったらな。依頼があれば言えよ。ウチは仕事を募集中だから」

「親方に伝えておきます。それじゃあ!」

ディルクは手を上げると、そのまま走って去っていった。

「俺達も帰るか」

「そうですね」

俺達も協会裏の広場に戻ると、仕事を再開した。