軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第256話 上司との関係は大事

3人に教えながら仕事をしていくと、夕方になる。

「さて、緊急依頼とはいえ、残業はせずに帰るか」

「そうですね。ジークさんも今日はゆっくりされた方が良いと思います」

「うん。そうしよっか」

「ええ。本当は今日も休んだ方が良いくらいだからね」

さすがに3人が残業したくないからこう言っているわけではないことはもうわかっている。

「ああ。帰ろう」

俺達は片付けをし、支部をあとにすると、裏の寮に帰る。

そして、エーリカが夕食を作り、それをアデーレが眺めている、もとい、手伝っている中、俺とレオノーラは王都で買った【職場での人間関係 ~上司編~】を一緒に読んでいた。

「さすが支部長、助かります」

「頼りになるねー」

うーん……

「アデーレー、どーお?」

レオノーラがキッチンにいるアデーレに聞く。

「ジークさんは違和感がすごいわね。レオノーラはジークさんに言ってそう」

ダメか。

「褒めろとか、頼りにしろ的なことが書いてあるんだが、ウチの上司は仕事しないからな」

「そもそも錬金術師じゃないからね」

口も出さずに責任を取ってくれる良い上司ではあるんだが……

「威厳のある上司……これじゃないか?」

上司にも色々なタイプがある。

「元軍人だしね。何、何? 多くの言葉はいらないから頼りにしているオーラを出せばいいんだって」

おーら?

「いきなり上級者向けなことを言いだしたな」

俺、不機嫌オーラを出すのは得意だが、そういうのは無理だぞ。

「ちょっと難しいねー。あ、でも、これは? 『また今度、飲みに連れていってくださいよー』」

ほうほう?

「意外にもそういうタイプは誘うことはないが、誘われると嬉しいらしいな」

そう書いてある。

「誘ってみる?」

「支部長、禁酒中だろ」

いつもお茶を飲んでいる。

「でも、ご飯も美味しいじゃん。明後日は休みだし、明日誘ってみようよ」

うーん……

「エーリカ、アデーレ、どう思う?」

「良いんじゃないですかー?」

「あなた達、本当にそのシリーズ好きよね……私も構わないわよ」

行く流れだな。

「じゃあ、明日、誘ってみろよ」

「ジーク君が誘ってよ」

「なんで?」

「私達が誘ったら不倫のお誘いみたいじゃないかー」

ねーよ。

「ジーク様、やはりジーク様が誘われた方が良いのでは? 夏の慰労会ですよ」

ヘレンがアドバイスをしてくる。

ヘレンがそう言うならそうなんだろう。

「まあ、こいつらが支部長を飲みに誘う姿を想像できないしな」

「ですです」

ヘレンがうんうんと頷く。

「でも、向こうに用事があったらダメだからな」

「わかってるよー」

俺とレオノーラがその後も本を読んでいくと、エーリカとアデーレが料理を持ってきてくれたので皆で食べる。

「ジークさん、食欲はどうですか? 今日は魚料理にしてみたんですが」

今日はヘレンの大好物のアクアパッツァだ。

「普通にあるぞ。やはりリートは海産物が美味いし、エーリカの料理は良いな……あ、アデーレも」

「ありがとうございます」

「取ってつけたように言わなくていいわよ。実際、ほぼ見てただけだしね」

いやいや、盛り付けてただろ。

綺麗なもんだぞ。

「ちょっと仕事の話をするが、どんな感じだ?」

キュアポーションは終わったので明日、納品する予定。

「銀もアルミもなんとかなりそうですね」

「工程が違うだけで難しくはないね」

「ステンレス鋼……レオノーラの気持ちがちょっとわかったかな」

まあ、ステンレス鋼はバランスの調整とかが難しいからな。

「来週中を目途として、自分達で終わりそうか?」

そう聞くと、3人が顔を見合わせる。

「できると思います」

「多分ね。アデーレはどうかな?」

「依頼のあったメスの分はできると思う。メスを作るのはちょっと無理だけどね。私、刃物がダメだから」

知ってる。

「メスは俺が作る。となると、来週中には緊急依頼はなんとかなりそうだな」

「そだねー。でもさー、インゴットを他所の町に送るって何だろうね。そりゃこの町にも鉱山はあるけど、そんなに大きくないよ?」

レオノーラが首を傾げる。

「戦時中だからな。武器とかじゃないか?」

「何か動きはあるってことかな?」

どうだろう?

アデーレの爺さんとの話ではそういう動きはしないと思うんだが。

「わからん。近くの町で足りないっていうのもあるからな」

「まあねー」

俺達は話をしながら夕食を食べていき、夕食後もお茶を飲みながら他愛のない話をしていく。

そして、お茶を飲み終わり、いつもなら勉強会をする時間となった。

「すまんが、今日は念のため、早めに休もうと思う。勉強会は明後日以降だな」

明日は支部長を誘って、飲みに行く。

多分、支部長がダメでも行くことにはなるだろうから勉強会はない。

「わかりました。ゆっくり休んでください」

「さすがにねー。まあ、私達だけでも勉強会はするよ」

「王都の疲れもあるでしょうしね。おやすみなさい」

「ああ。また明日な」

そう言って立ち上がると、エーリカの部屋を出て、自分の部屋に戻る。

そして、風呂に入ると、寝室に行き、この日はヘレンの言いつけを守って早めに就寝した。