軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第236話 いいぞ、もっと言え!

しばらく待っていると、エーリカとアデーレがおかゆを持って戻ってきたので本部長がベッドの縁に背を預けながら食べだす。

「美味いな……」

本部長がしみじみとおかゆを食べる。

「良かったですー。昼と夜の分もありますから食べてください」

「ありがとうよ……料理が上手で気も利く。良い子達がジークに付いていてくれて私も安心だ」

ホント、老けたな……

「食ったら寝てくださいよ。寝ないと回復しません」

「わかってる。お前達も行っていいぞ。せっかく遊びに来たのにうつしたら悪いしな。私はこれを食ったら薬を飲んで寝る」

そうしてくれ。

「アトリエを借りますので何かあったら呼んでください」

しかし、こういう時のための使い魔じゃないんか?

アホ鳥共め。

「そうする」

俺達はこれ以上、ここにいても本部長に悪いので部屋を出た。

「ジークさん、今日はここでやるんですか?」

エーリカが聞いてくる。

「そうだな。ちょっと来てくれ」

奥に歩いていき、奥にある扉を開ける。

そこは奥に長い30畳はありそうな部屋であり、テーブルや様々な機材が並んでいた。

さらには壁一面が本棚となっており、大量の本がある。

「ここが本部長さんのアトリエですか?」

「そうだな。ただ、ここは弟子である俺達も使っていた場所だ。ここで錬金術や勉強会なんかをしていた」

実に懐かしい。

「すごい本ね……」

アデーレが本棚を見上げる。

「かなり貴重な本ばかりだ。中には本部長が書いた本もある」

なお、上の方にある本は梯子を使わないと取れないくらいの高さにある。

そして、ハイデマリーの髪の毛アタックはあの本を取るために生まれたのだ。

それにより、ハイデマリーが上の方の届かない本を取る係になってしまったのは良い思い出だ。

「へー……ジークさんもここで勉強したの?」

「俺はほぼ自室だな。ハイデマリーとゾフィーがケンカしだすし、暇なおしゃべりガラスが邪魔してくるんだよ」

まあ、そこで俺がうるせーよって言って、またケンカになるんだけど。

「なんか想像が付くわね」

「だろうな」

あいつら、変わってないし。

「ジーク君、今日はここで仕事?」

レオノーラが聞いてくる。

「そうだな。俺はここで試験問題作りと魔石を作る。お前達は杖を作ってくれ」

「杖? なんで?」

レオノーラが首を傾げた。

「本部長が作ってみろってさ」

「えー……それって王太子殿下の杖じゃない?」

「え!? 無理ですよ!」

「さすがに私達が作ったものを納めるのはマズくないかしら?」

まあ、こんな反応だわな。

「そこまで重く感じなくていい。本部長が言うにはダメならダメで自分で作るそうだ。ちょっと腕が見たいから適当に作れってさ。どうせ暇だろとも言っていた」

「まあ、暇ですね……」

「やってるのは仕事じゃなくて試験勉強だもんね」

「やりますか……」

3人娘が席についたので本棚から杖に関する本を取り出し、作業デスクに置く。

「これが教本だ。今回は特に教えないから自分達で協力してやってみろ」

心配だけど、本部長が言うんだから仕方がない。

「これ、本部長さんからのテストですよ?」

「嫁チェック?」

「孫弟子チェックでしょ……孫弟子は怒られそうね」

うん。

「頑張ってくれ。ここにある本はいくらでも読んでいいし、素材も自由に使え。ただ器材は使うな」

「わかりました」

「やってみよっか」

「そうね。それでどうする?」

3人娘が相談を始めたので俺も自分の作業に入る。

そして、作業を始めて1時間くらい経つと、廊下を歩く音が聞こえてきた。

「んー?」

本部長は寝ているだろうし、誰だろうと思い、顔を上げると、ガチャッと扉が開いた。

「あれ? あんたら、なんでいるの?」

あ、ゾフィーだ。

「あ、ゾフィーさん、こんにちはー」

「やっほー」

「あれ? 仕事は?」

3人娘もゾフィーの方を見ると、声をかけた。

「今日は代休。そしたらマリーから電話がかかってきて、本部長が風邪を引いてるって聞いたからお見舞い」

やはりお見舞いをするのが正解のようだ。

「本部長は寝てるだろ」

「ええ。さっき寝室を覗いたら寝てた。それで奥で誰かがいる気配がしたから来たのよ。あんたら、何してんの?」

「仕事だ。この前来た時は陛下に魔剣を作ったんだが、今回は杖作りだと」

「アホねー」

皆、こう言う。

事実、そうなんだろうけど。

「あ、お茶を淹れますよ。ゾフィーさん、座ってください」

エーリカがそう言って立ち上がると、部屋から出ていった。

「う、うん……おかまいなくー……」

ゾフィーが誰もいない扉に向かってそう言いながら席につく。

「もうエーリカはおらんぞ。お前、まだ慣れないのか?」

さすがにあれだけ一緒にいたんだから慣れろよ。

「いや、あの子はちょっと……多分、マリーも苦手よ。なんか自分がみじめになる」

浄化されないだけマシだな。

「私はー?」

レオノーラが手を上げる。

「あんたは大丈夫。ほっとするわ」

「癒し系だからね」

癒し系はウチのヘレンのことを言うんだよ。

お前は賑やかし系。

「本当にほっとするわ……ジーク、クヌートに会った?」

ゾフィーがそう聞いた瞬間、レオノーラが目を逸らし、存在を消した。

「会ったぞ。あいつ、ジーンに出向してたんだな。知らんかった」

「まあ、あんたはね……帰ってきても誰かに会おうとはしないでしょ」

そんなことはない。

「今回、テレーゼはさすがに会おうと思っていたぞ」

「まあ……あれはね……いや、だいぶ元気になったわよ。この前、一緒に飲んだし」

テレーゼとゾフィーが酒を飲むのか。

「一応、クヌートが魔導石製作チームに異動になったし、もう大丈夫だと思うぞ」

「あー、そうなんだ。確かにクヌートがいれば大丈夫ね。腕は確かだし。でも、女癖が悪いし、不真面目だし、もうちょっとちゃんとすればいいのにね。ホント、バカだわー」

さすがはゾフィー……

絶望的に空気が読めない。