軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第216話 大変そうな元同級生

街中を歩いていき、本部までやってくる。

見上げると、5階建てで大きい建物だと思う。

「改めて見てもさすがは本部だなと思うな」

「リート支部と比べてどうですか?」

ヘレンが聞いてくる。

「新築の方が良い」

そう簡潔に答え、中に入った。

そして、受付に向かったのだが、受付嬢の他にもう1人女性がいた。

「あ、ジーク先輩、こんにちは」

受付のサシャがこちらに気付き、声をかけてきた。

「あ、ホントだ。ジーク君じゃないの。久しぶり」

もう1人の女性は元同級生のマルタだった。

「ああ。2人共、元気そうで何より。サシャ、本部長に聞いているかもしれないが、仕事だ」

ちゃんと挨拶を返してからサシャに用件を伝えた。

「ええ。聞いております。今回は御一人で来たんですか?」

「いや、3人娘も一緒だ。あいつらは明日の鑑定士の試験を受けるんだよ」

この様子ではサシャは受けないっぽいな。

まあ、こいつは先に10級か。

「へー……鑑定士まで受けるんですね。ジーク先輩のことだから資格を取らせまくるんだろうと思っていましたが、やっぱりですね」

サシャがマルタを見る。

「でしょうねー。しかし、鑑定士か。考えたこともなかったな」

「私もです」

2人が頷き合った。

「鑑定ができると便利だぞ。必ず錬金術でも役に立つ」

「確かにそう思いますが、まずは10級です」

「私は来月も受けられそうにないかな」

魔導石製作チームはまだ激務らしい。

「マルタって資格は持っているのか?」

「一応、10級。でも、どうしても勉強する時間が取れなくてね。朝から晩まで働いてからの勉強はきつい」

腕は確実に上がっているだろうから実技は大丈夫だと思うが、筆記は勉強しかないからな。

「リートがおすすめだぞ。今月の残業時間ゼロだ」

先月は船の仕事でちょっとやった。

「羨ましい限りだけど、やっぱり王都の本部が良いわね。あ、でも、まとまった休みが取れたらアデーレを訪ねて遊びに行こうかと思っている。テレーゼさんがすごく良いところだったって言ってたし」

鬱が治る素晴らしい町だからな。

「あいつ、元気か?」

そこが心配。

「元気だよ。終業時間になると、ハイデマリーさんがやってきて、髪の毛で強制退場させてる。あの人、本当に怖いね」

本部長の命令だろうな。

ちょっと気になるし、顔を出してみるかな?

「髪の毛が伸びるやつな。キモいよな。あ、そうだ。そういうわけでアデーレも来てるから飯でも行ったらどうだ? 仕事を手伝う……手伝うからここにも来ると思うから誘ってみろよ」

多分、勉強しているか駄弁っているだけだと思う。

「良いわね。ジーク君も来る?」

「行かない。学校の話題になったら気まずいし」

知らねーもん。

「そうね……サシャも来る?」

「いいんですか? 先輩方で行かれた方が良いと思いますけど」

「せっかくだしね。行こうよ」

「でしたらご一緒したいです。アデーレ先輩に色々聞きたいですし」

何を聞くんだろ?

リートのことかな?

「マルタ、サシャが魔法学校の後輩って知ってるのか?」

前にアデーレがマルタは知らないって言ってた。

「この前聞いた。全然知らなかった」

「俺は知ってたぞ」

アデーレに聞いたし、お前より早かった。

「同級生のことは知らないのに?」

「お前は1年の時に同じクラスだった」

「アデーレに聞いたわけね」

わかるらしい。

「まあな……サシャ、一応、聞いてみるけど、リートに異動届けを出す気ないか?」

サシャに確認してみる。

「リートですか? うーん、遠いですからね……」

皆、そこを気にするんよな。

「ジーク君、一応って?」

一応という言葉に引っかかったマルタが聞いてくる。

「本部長にサシャまで引き抜いたら受付嬢好きの男という称号が与えられるって言われたから微妙に前向きじゃない」

非常に不名誉だ。

ある意味、左遷野郎よりも不名誉。

「あー、私、絶対に言うわ」

お前とリーゼロッテとハイデマリーとゾフィーは言いそうだな。

いや、多いな……

「なんか当人になると嫌ですね……アデーレ先輩も彼氏を追ってリートに行ったんだって結構言われてましたから」

人間はなんでそういう話に繋げたがるのかねー?

俺にはわからん。

「つまらん話だ。アデーレはちゃんと結果を出した」

「8級だもんね。すごいわ」

「あの若さで8級は尊敬します」

俺、同い年で3級だけどな。

尊敬はいらないからどうでもいいけど。

「何にせよ、お前らも頑張れ。資格がすべてとは言わんが、わかりやすい指標の一つだからな」

「まあねー」

「それが難しいんですけどね」

俺も成長したもんだ。

『あの程度でか?』と口に出さない。

「マルタ、テレーゼの弟子のリーゼロッテは何級なんだ?」

前から気になっていたことを聞いてみる。

「あの子? あの子は9級よ。まだ19才なのに天才よね」

言うだけの実力があったのか。

しかし、19歳かよ。

「あいつ、19歳か? チビだなー」

ゾフィーと変わらんだろ。

あ、でも、ゾフィーも20歳だった。

「ひどいこと言うわね」

「あいつはもっとひどいからセーフだ」

あいつも大概、口が悪い。

「まあね。でも、師匠が師匠だから自分が言うようにしてるだけよ。あの子自身は優しい子だから」

師匠の代わりに本音を言う係だもんな。

「バランスの取れた師弟で良いね。リーゼロッテも休ませろよ。師匠想いで潰れるぞ」

「わかってる。資格や実力はともかく、一番若い子だし、ウチのリーダーが気を遣っている」

うーん、負の連鎖だ。

「そして、そのコリンナ先輩も倒れるわけだ。お前ら、マジで本部長に訴えた方が良いぞ」

「この状況じゃあね……」

マルタもヤバそうだ。

「まあ、これから本部長に会うし、一言言っておいてやる。サシャ、本部長のところに行く」

「はい。5階の本部長室におられますのでどうぞ」

「わかった。じゃあ、頑張れよ」

2人と別れると、階段を昇っていき、本部長室に向かった。