軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第206話 ファミリー!

今日は休みの日なのでエーリカの家に集まり、鑑定士の試験に向けた練習をしていた。

「Dですかね?」

「Eよ」

「Cだと思うよ」

うーん……

「答えはCだな。レオノーラが正解」

そう言うと、エーリカとアデーレが顔を見合わせる。

「無理じゃないですかね?」

「無理無理。試験は来週なのにこの段階でしょ? どう考えても1週間でわかるようにはならないわ」

そうだろうな。

というか、このひと月でほとんど伸びてない。

錬金術の方は順調なんだが、鑑定の方が本当に弱い2人だ。

「はっきり言うが、無理だな。でも、そんなことは最初からわかっていた」

「まあ、そうですよね」

「こればっかりはすぐに結果を出すんじゃなくて、時間をかけようってことだったものね」

うん。

無理だ。

マルティナが物理で100点を取るようなものであり、いつかはできるが、それはまだ先の話なのだ。

「焦ることはない。お前らはまだ20代前半で十分に若い。別に支部の仕事を考えれば鑑定は必須ではないし、ゆっくりやってくれ」

できない者に求めるのは愚か者のすることだ。

できるように教えてくことが大事なんだ。

「エーリカさん、一応、試験は受ける?」

「ええ。受けてはみましょう。試験がどういうものかを知りたいです」

「それもそうね。ジークさん、王都に行くとなると、最低でも1泊はするし、翌日は休みになるけどいいかしら?」

王都まで遠いし、移動は飛空艇になるが、リートから王都への便はそんなに多くない。

試験は休日にあるとはいえ、試験が終わった後では戻ってくる便がないのだ。

「いいぞ。仕事の方はそれを考慮して納期に余裕があるものばかりだし、1日とは言わず、数日は遊んでもいい」

ちゃんとそうなるように調整している。

まあ、そもそも4人しかいないからギリギリになるような工程は組まない。

誰か1人が風邪を引いたら崩れるような工程は工程と呼ばないのだ。

「どうする?」

「王都はこの前行きましたしねー」

「普通でいいんじゃない?」

まあ、普通でいいだろうな。

「一応、前日と翌日は休みにしとけ。ギリギリは良くない」

「じゃあ、そんな感じで申請しとくわ」

「そうしましょう」

「ジーク君は? 行くの?」

なんで?

「俺は試験を受けないから行かない」

やっぱり誰もいないのは良くないと思う。

「えー、一緒に行こうよー。アデーレが飛空艇でガタガタ震えだすよ」

「震えないわよ。目を閉じて実家の山々を思えばいいだけよ」

あー、この高所恐怖症女にはヘレンが必要か。

しかし、怖いものが多い女だわ。

「あのー、前の本部長さんの電話が気になりますけど……」

テーブルの上にいるヘレンが前足で俺の腕をつついてくる。

「電話? 本部長と電話なんかしたっけ?」

「ちょっと前です。ほら、ジーク様が電話を購入された時に電話したじゃないですか」

あー、したな。

迷惑だからアデーレやレオノーラに電話をするなっていうのを伝えたんだ。

そして……

「陛下がどうのこうのって言ってたな……」

ガチャ切りしたけど。

「陛下!?」

「陛下ってすごくない?」

「ええ。ジークさん、陛下って?」

アデーレが聞いてくる。

「いや、なんか陛下が会いたいとかなんとか言っていたような?」

「ん? なんでそんなに歯切れが悪いの?」

アデーレが首を傾げた。

「途中で電話を切ったから詳細を聞いてないんだ」

「んん? どういうこと?」

アデーレが怪訝な顔になり、さらに首を傾げたので長い髪が垂れている。

幽霊みたいだ。

「そのまんまだ。嫌な予感がしたからガチャ切りした」

「あの、陛下の用件ですよね?」

「ジーク君、さすがにマズくない?」

「貴族の私からしたら信じられないことをしているんだけど?」

うーん……

「でも、その後、本部長から電話がないし、別にたいしたことじゃなかったんだろ」

大事な用ならすぐに電話がかかってくるはずだ。

「いや、それでも……」

「陛下だよね? この国のトップだよ?」

「そうよ。今からでも電話したら?」

めんどい。

「別にいいだろ。それよりも来週、俺も王都に行くのか? お前らが試験を受けている間、俺は何をすればいいんだ?」

そう聞くと、3人娘が顔を見合わせる。

「休みですよね? お母さんに会ってきたらどうでしょう?」

「一門の人でもいいしね」

「何かあるでしょ」

ねーな。

あとお母さんって誰だよ。

「ヘレン、どう思う? こいつらの圧が強いぞ」

困った時はヘレンだ。

「一緒に行かれればいいんじゃないですか? 御三方も寂しいし、不安なんですよ」

「寂しい? たかが2、3日だぞ。それに不安なんかないだろ。100パーセント落ちるんだから」

エーリカとアデーレは受かんねーよ。

「ずき、ずき」

「そうなんだろうけど、直で言われるとショック」

「ジークくーん、もうちょっと言葉を弱めよう」

はいはい。

でも、絶対に落ちるし、逆にこのレベルで偶然で受かってもらっても困るわ。

「まあまあ。お弟子さんですし、一緒の職場で働く仲間じゃないですか。ジーク様は1人に慣れていますし、そっちの方が集中できると思ってらっしゃると思いますが、色んな人がいますよ。御三方は見てほしいし、ついてきてほしいと思う方々なのです」

「ウチの一門にそんな奴はおらんかったぞ」

皆、勝手にやっていた。

「いや、どうでしょう? 多分、本当はそうだったけど、本部長さんがあんな人なんで期待してないだけだと思います。この前のゾフィーさんも悩んでいたでしょう? 本当はああいう時に寄り添ってあげられるのが師です。本部長さんは本部長さんのやり方があると思いますが、ジーク様はジーク様のやり方でお弟子さん達を支えましょう」

うーん、本部長はなー……

俺が言うのもなんだけど、あの人、自分本位で突っ走ってきた人だからな。

「一緒に王都に行くのが俺のやり方か?」

「ファミリーです」

ファミリーねー……

「まあ、行ってもいいけど、支部長に相談だな。空けることになるわけだし」

緊急の用事に対応できないし。

「やった。ジークさんも来るんだ。私、あれから王都のことを調べたんですけど、西の方に大きな凱旋門があるんですよね? 見たいなー」

「私も調べたんだけど、王都ではこのチョコレートのケーキが流行ってるらしいんだよ。一緒に行こうよー」

「ジークさん、ちょっとこの楽器のお店に付き合ってくれない? 一人で行くのが怖くて」

3人娘が王都の雑誌を取り出して、広げだした。

「……これ、師弟か?」

「どう見ても師弟です。ファミリーですね」

ファミリー……家族旅行ですかね?