軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第205話 弟子のせいでタイプライターを作った ★

「ふむ、見よ、クラウディア」

あー、うぜ。

「はい。我ながら素晴らしい剣だと思います」

「うむ。実に素晴らしい」

私は陛下のお茶会に呼ばれ、城の一室で陛下とお茶を飲んでいる。

実に名誉なことだが、忙しいし、時間の無駄だからやめてほしいと思っている。

何が無駄って何の生産性もない会話しかしてないからだ。

「雷の魔剣は世界中を見ても10本もないでしょうからね。しかも、そこまでの質の魔剣を私は見たことがありません」

魔剣なんて知らねーし。

そんなおもちゃを欲しがるのは軍人や権力者なんかの金持ち連中だけだ。

「余もそう思う。して、この剣を作ったのはお前と弟子のアレクサンダー3級国家錬金術師だったな?」

「ええ。私は魔剣を作ることを得意としておりませんでしたので弟子に協力を頼みました」

得意じゃないどころか作ったことないけどな。

そんなもんを作っても時間の無駄だし。

「アレクサンダー3級国家錬金術師は特別優秀と聞いていたが、実に素晴らしいな。余も会ったことがあるが、常人とは違う雰囲気があるなと思っていた。やはり卓越した才を持った男だったか……」

3級の資格証を渡した時だろうな。

3級以上の金のネックレスは陛下が直接渡されることになっている。

「そんな感じでしたか?」

「うむ。普通なら緊張したり、顔が青ざめたりする。しかし、アレクサンダー3級国家錬金術師はまったく表情も変わらなかったし、淡々としていた。素晴らしい胆力だな」

いや、多分というか絶対に興味がないからだと思う。

今の私と同じで早く帰って仕事がしたいって思っていたと思う。

「ちょっと変わった男ですからね。それに人格面では苦労しました」

ようやく変わってくれたと思ったら遠くに行っちゃったし……

いや、私が送ったんだけど。

「そんなもの圧倒的な才の前には小さきことだ。例の筆跡を判定する機械も暗部連中が絶賛しておったぞ」

あの余計な機械な……

「そうですね。色々と作るのが趣味みたいですので」

昔から猫のために色んなものを作っていた。

「実に良い趣味だ。時にクラウディア。最近、お前から上がってくる書類がお前の字ではないようだぞ?」

「そうですか?」

「うむ。同じ単語でも形がまったく同じだし、綺麗すぎる」

そりゃバカがあんなのを作ったら対策するに決まっている。

私はバカじゃないんだ。

「他意はないですが、最近、文字を書くのに疲れましてね。自動で文字を書く機械を作ったんですよ」

うん、他意はない。

「そうか……実は余も他意はないが、歳のせいで文字を書くと腕が痛くなるのだ」

はいはい。

「それはいけません。陛下に何かがあってはいけませんし、もう一つ作って献上いたしましょう」

「うむ。お前ら一門は実に忠義心が厚いな」

ホント、余計な機械を作りやがって。

大臣なんか自分で書類を書かなくなったと聞くぞ。

「当然のことです」

「それでアレクサンダー3級国家錬金術師はいつ王都に戻ってくるのだ?」

ハァ……

「ジークは戻ってこないと思います。一時的にリートに送ったんですけど、あっちが良いそうです」

「王都よりリートか?」

「あっちで弟子というか女を見つけたようですね」

けっ。

「なるほど。まあ、そういうこともあるか。リートは多くの資源が採れるし、国としては重要な都市ではある。そこに有能な人間を置いておくのもありか」

「まあ、そうかもしれませんね。それに王都の本部にも優秀な人間は多くいます」

「そうだな。お前の弟子は皆、優秀と聞く。アレクサンダー3級国家錬金術師も弟子がいるなら結構なことだ。優秀な人間は大変貴重だが、その人間が後継を育て、この国の錬金術師業界がさらなる発展を遂げていくことこそが協会の意義だ」

そうなんだけどね。

でも、どうしても人材不足だ。

「陛下、北の戦況はどうでしょう?」

「依然として膠着状態だ。錬金術師協会が人材を派遣してくれると助かるんだがな」

「それは断固として拒否します。そんなことをすれば協会が終わります。昨今の錬金術師は戦場に行きたくないから錬金術師になったような女ばかりです。これを戦地に送り込んでも悲惨なことになるだけですし、何よりもほとんどの錬金術師が他国に逃げるでしょう」

この国で資格を取るような錬金術師なら他国が大金を出しても迎え入れてくれる。

「わかっておる。錬金術師はこの国の要だ。しかし、あまりにも人手不足だ」

「それはウチもです。武器、魔石、薬、さらには飛空艇まで我々が作っているんですよ」

「ハァ……協会はいつまで経ってもそこだけは譲らんのだな。前任の本部長もその前もそう言っていた」

当たり前だ。

魔法使いとはいえ、戦うすべを知らない技術屋が戦争で何の役に立つ?

「我々は剣士ではなく、鍛冶屋です」

「そうだな……まあいい。この辺りは元帥と大臣と相談する。話を戻すが、アレクサンダー3級国家錬金術師を一時的にでもいいから呼べんか?」

ん?

「何かあるんですか?」

「仕事を頼みたいのだ」

仕事ねー。

すごいな。

陛下のご指名の依頼だ。

「どの様な依頼でしょう?」

どうせしょうもない依頼なんだろうな。