軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第197話 逆境に強いのは大事

「ウチはそれが顕著だったわけだ。ほぼ新人の2人だからな。そんな状況だったからこの町は民間が強い。当然、この町の大きな仕事である船製造も民間だったわけだ」

「まあ、当然よね。エーリカとレオノーラの能力以前の問題だわ。2人で船製造は無理」

しかも、経験がないと来たもんだ。

「だからこそ、この大きな仕事も民間が独占し、民間が提示する価格で進んでいた。でも、この度、4人になったウチにも仕事が回ってきたために価格調整が起き、民間は損害を被ったわけだ」

「いや、損害って……ウチが提示する価格はちゃんと計算して出した受注額よ?」

その通り。

ちゃんとそれで儲けは出るはずなんだ。

「今までそれで儲けてた奴らはそうは思わん。多分、ぼったくった額で予想収支をしているから大幅のマイナスになる」

「まあ、民間は稼いでナンボでしょうしね。それで逆恨み?」

「恨みというか、ウチの失敗を狙っているんだ。そうすれば、また依頼があった時にウチには回ってこないからな」

「ウチが失敗って……協会も舐められたもんねー」

悲しいことにそれがこの町の支部の評価だ。

「しょうもない嫌がらせだ」

「……え? もしかして、私が悪かったりする?」

ん?

「なんで?」

「いや、昨日、言い争いになっちゃったし……」

あー、あの2人か。

「どうかねー? どっちみち、やられてたと思うからそれはないんじゃないか? そういう感情で動く……奴もいるな……」

アウグストとか。

「……ごめん」

ゾフィーが俯いた。

「先輩達はそういうことはしないと思いますけど……」

「言動を考えるとそうだね。プライドが高そうだったし」

「まあ、王都の錬金術師は技術がないって豪語しておいて、これはないでしょう。それにあの人達って跡取りかもしれないけど、そこまでする力はないと思うわ」

3人娘がゾフィーを庇う。

「ああ……なんて温かい子達なんだろう。ジークが浄化されるわけだわ」

お前もされろ。

「部材を買い占めても赤字な気がするんだけどなー……まあ、今後のために取っておくのかね?」

「じゃない?」

ゾフィーが同意する。

「うーん……まあ、こうなったら仕方がない。部材を別の町の支部から送ってもらうか」

「送ってくれますかね?」

エーリカが聞いてくる。

「わからんが、港町の支部に片っ端から電話してみよう。それでダメなら完成したエンジンを仕入れるしかないな」

「どちらにせよ、赤字になりそうですね……」

どうだろ?

元の受注額が良いから赤字ってことはないような気がする。

「ジーク君、この依頼って期限はないわけでしょ? だったらユリアーナに事情を説明して待ってもらえば?」

レオノーラの言っていることは正しいし、それが最適解だ。

「いや……マイナスになったとしても別で補えばいい。前にも言ったが、今はそういうことよりもスキルアップを目指す時だ。それにゾフィーはいつまでもリートにいない。そして、それはマルティナもだ。できたらマルティナがこの町にいるうちに完成させたい」

このくらいならいくらでも取り戻せるし、多少の赤字は大丈夫だろう。

「わかった。じゃあ、そうしようか。マルティナのためだもんね」

「ジークさん、なんだかんだでマルティナさんのことを考えているのね……」

貴族令嬢2人が感動している。

「では、支部に戻って連絡してみ――」

「ちょーっと待ちなさい!」

ゾフィーがエーリカの言葉をさえぎって、止めてきた。

「どうした? お前が電話してくれるのか?」

助かる。

俺、頭を下げるのが嫌いだし。

「そんなことはしない! というか、電話しなくてもいいわ! このゾフィー様が失敗なんてありえない! 私が作りましょう!」

んー?

「部材から作るってことか?」

「その通り! 仕組みはわかっているし、精密機械製作チームの自称エースであるこのゾフィー様が作ってみせるわ!」

一応、自称を付けたか……

「できるか?」

「できる! 部材を買い占めようと鉄鉱石や銅鉱石は買い占めることはできないわ! 私に任せなさい!」

そこから作る……ゾフィーの実力……時間……

無理だな。

間に合わん。

手伝うしかないな。

「素材の錬成は俺がやる。お前はそれでパーツを錬成して、部材を作れ」

やるか……

ゾフィーの提案自体は悪くないし、多少、残業すればできることだ。

それに一から作った方が遥かに安上がりだ。

何しろ、人件費にしてもゾフィーは本部の所属だから支部の支出にはならない。

「あ、そうね……私、遅かったわ」

うん。

「私達はどうしましょうか?」

エーリカが聞いてくる。

「お前らは変わらず、木材の加工だ。俺は手伝ってやれんから3人だけで…………一応、マルティナも入れて、4人でやってくれ」

あいつを頭数に入れないと意味なかったわ。

まあ、エルネスティーネが指導してくれるだろう。

「わかりました!」

「よーし、やる気が出てきたぞー」

「妨害なんかに負けないでいきましょう」

3人娘のモチベーションも高いようだ。

そう考えると、良い妨害だったかもしれない。

絶対に良い経験になるし。

「そういうわけで俺とゾフィーは素材を買ってくる。行くぞ、ゾフィー」

「ええ!」

方針が決まったので俺とゾフィーは市場に向かった。