軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第130話 雰囲気!

エーリカと共に1階に降り、アトリエに戻ると、マルティナがヘレンにお手をして遊んでいた。

犬と間違えてないか?

「マルティナちゃん、待たせてごめんね」

エーリカが謝りながらソファーに戻ったので俺も隣に座る。

「いえ……」

「あのね、マルティナちゃんが学びたいという気持ちはよくわかった。でも、その前にちょっとお母さんと話をさせてもらえないかな?」

「お母さん?」

「うん。ほら、ウチで学ぶってなっても一応、バイト扱いになるし、給料が出るんだよ。だからお母さんの承諾がいるんだ」

「え? お金までもらえるんですか?」

マルティナが驚く。

「エーリカ、悪いが、もう一回、母校に行ってくれ」

意図がまったく伝わってない。

「はい……ちょっと私の説明が悪かったようです」

「あ、あの……」

マルティナが気まずそうな顔になっている。

「あ、気にしないで。学ぶって言っても学問だけじゃなくて実技もするからね。その働いた分の給料は払わないといけないんだよ。だからお母さんとちょっと話がしたいんだ」

「そ、そうなんですか……お母さん、病院にいますけど」

入院しているんだもんな。

「会って話ができないかな? 時間は取らせないけど……」

「あ、それはできます……今から行きますか?」

今から……

「エーリカ、さすがに今からは失礼だ」

「そうですね。マルティナちゃん、明日訪ねるからお母さんにそう伝えてくれる?」

「わかりました。でも、私は明日、学校なんで……」

今日は休みだけど、明日は普通に学校か。

「私達だけで行くから大丈夫」

「わかりました。じゃあ、お母さんに伝えておきます」

「お願い」

「はい。じゃあ、私はこれで失礼します」

マルティナはそう言って、ヘレンを抱えたまま立ち上がった。

「悪いが、ヘレンを返してくれるか?」

持って帰ろうとするな。

「あ、すみません。猫さん、ばいばい」

「にゃー」

マルティナがヘレンを離すと、ヘレンが一鳴きし、すぐに俺のところに来る。

その間にエーリカも立ち上がり、マルティナと共に出ていった。

そして、ちょっとすると、エーリカが戻ってくる。

「ジークさん、私、ちょっと学校に行って、先生と話してきます」

「頼むわ。あんな感じの生徒が何人も来られても困る」

「ですよね。じゃあ、ちょっと出てきます」

エーリカは苦笑いを浮かべ、再び、支部から出ていった。

すると、レオノーラとアデーレがこちらにやってきて、ソファーに腰かける。

「話は聞いていたけど、何なのかな、あれ?」

「ウチを塾か学校と勘違いしているのかしら?」

2人も複雑な表情だ。

「前にエーリカに頼んで、ウチに興味がある生徒がいないかどうかを学校の先生に頼んでもらったんだよ。囲い込みだ」

「あー、前に言ってた青田買い?」

「師弟関係のやつね……なるほど。そういうこと……」

さすがにアデーレは知っているらしい。

「それが上手く伝わってなかったみたいだな。おかげでウチに就職する気のない若者が来たわけだ。金を払って技術や知識を教えないといけない若者がな……」

「それは中々だね」

「ないわね」

そんなことをする組織はすぐに潰れる。

「でも、ちょっと気になるから明日、エーリカとお母さんと話してくるわ」

「断ってもらうわけ?」

レオノーラが聞いてくる。

「話次第ではな。それと店っていうのがな……冷酷な貴族は話を聞いてどう思った?」

「私は慈愛に満ちていると自負しているけど、時間の問題じゃない?」

「私は小心者と自負しているけど、もって数ヶ月ね」

辛辣だわー。

「まあ、そうだろうな。その辺の確認も踏まえてだ」

「任せる」

「私もちょっと判断が付かないわ」

俺もそうだわ。

「よし、仕事をするか」

そう言うと、レオノーラとアデーレがじーっと俺を見てきた。

「……レオノーラ、今週末の夜は空いているか?」

意図がわかったので誘うことにした。

「空いてるよ。その日はずっとね」

「そうか……サイドホテルのレストランを取ったから行こうか」

「喜んでお受けします」

レオノーラが帽子を取り、恭しく頭を下げた。

「アデーレ」

「あ、ちょっと待って。レオノーラ、トイレに行ってきて」

ん?

「君、そういうのが好きだね」

レオノーラはそう言いながらも立ち上がった。

「あなたもでしょ」

「君ほどじゃないよ」

レオノーラが呆れながらもアトリエを出ていった。

そして、アデーレがじーっと見てくる。

さあ、誘えっていう言葉が聞こえてきた気がした。

「アデーレ、来週末空いているか?」

飲む2人は週末にすることにしたのだ。

「たまたま空いてますね」

今日以外ならずっと空いてるだろ。

「また同じところで悪いが、サイドホテルのレストランに行こうか」

「お誘いありがとうございます。喜んでお受けします」

アデーレが姿勢を正して、うやうやしく頭を下げた。

「終わったー?」

レオノーラがタイミングよく戻ってきた。

「なあ、これの何が良いの? 普通に行けばいいだろ」

なんでこんな演出をしないといけないんだ?

「「雰囲気」」

好きだねー……

「その雰囲気を崩さないように潰れるなよ?」

背負って帰るのは嫌だわ。

「しないよー」

「さすがに控えるわよ」

まあ、さすがに大丈夫か。

「後はエーリカか。あいつは明後日だから早めに誘わないとな」

「今日の夕食は30分ほど遅れていくから」

「そうしましょうかね」

その間に誘えってことか……

全員受かったんだから別に外さんでもいいだろうに……