軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

156、弱点判明

「これはラームって呼ばれてるものだよ。知ってるかい?」

アレットの問いかけに、マルティナはすぐに頷いた。

「ラームという名前の鉱石は知っています。ただ濁った銀色と書かれていたので、ここまで綺麗だとは思いませんでした。それに硬さについては、特に何も書かれていなかった気がします」

「色については、ラームは何かと混ぜるとすぐに変わるんだよね。ただあまりにも変化の種類が多いから、それがまとめられてる本は見たことがない。ラームを扱う専門家が詳しいぐらいだね」

その話を聞いて、マルティナはやっぱり実際の経験も大切だと、改めて深く胸に刻んだ。

「アレットさんは、なぜこれがラームだと分かったのですか?」

「実はラームの色変化にはちょっとした規則性があって、こうして光を当てて動かすと……縁が少し青になるのが分かるかい? 銀に近い色でこうなるのは、ほぼ確実にラームだね」

「そうなのですね……」

確かにアレットの言う通り、角度によっては綺麗な青が浮かび上がっていた。

「あたしが見分けられるラームで良かったよ。ゴーレム全体の色は見たことないから、何か未知の素材と混ぜられてるんだろうしね。しかもあんなに硬いなんて、信じられない」

「私も驚いてます。過去の方が技術が進んでますね」

「悔しいことにね」

そんな会話をしてから顔を見合わせあった二人は、大きく頷き合う。

「でもラームなら、私たちでも対処できますよね」

「ああ、ラームはいくつかの薬品に弱いからね。その薬品をゴーレムにぶつければ、あの固さが少しはマシになるかもしれない」

「すぐに準備しましょう」

「もちろんだよ。身軽なあたしが街に戻って調達してくるから、ちょっと待ってて欲しい。マルティナはその間に、皆に説明を」

「はい。こちらは任せてください!」

そこまで話し合った二人は、さっそくそれぞれの役割を果たすために動き始めた。アレットは街に向かって全力で走り、マルティナはロランたちに護衛をしてもらいながら腹から声を出して騎士たちに作戦を伝えていく。

「薬品が届けば突破口になるかもしれません! それまで何とか耐えてください!」

最後にそう伝えると、笑顔のハルカが答えてくれた。

「マルティナ、さすがだね! 戦いは任せて!」

「うん! 気をつけてね……!」

それからしばらくは、ハルカが中心となってゴーレムとの戦いが続いた。しかしとりあえず倒さなくても良い状況になったことで、大きな怪我をする者はなく、上手く牽制しながら時間稼ぎができている。

「さすがハルカですね」

「ああ、全体を見て動いてる。本当に凄いな」

「もちろん魔法が凄すぎるんすけど、戦闘センスもあるっすね」

「本当に尊敬です……」

マルティナは深い感謝と共に、ハルカの戦いをずっと見つめていた。すると遠くから、馬が駆ける音が聞こえてくる。

「あっ、アレットさんです!」

帰りは馬を借りたようだ。アレットは巨大な鞄を背負っていて、マルティナの近くで身軽に馬から飛び降りた。鞄を後からそっと下ろし、急いで中身を取り出す。

「そこまで大きな街じゃなかったから、たくさんはなかったんだ。でも瓶で二十本は手に入った」

ラームが劣化してしまう薬品はそこまでの劇薬というわけではなく、普通の平民でも買おうと思えば買えるようなものなので、あまり時間をかけずに手に入った。

しかし、この薬品をどう使うのかは問題だ。

「これってラームに多めに……というか長めにかかっていないと、あまり効果はないですよね」

「そうだね。瓶を投げて薬品をかけるよりも、もう少し長く浸すような感じだとより効果が高くなるだろう」

「では、薬品を浸した布をゴーレムに被せてみますか?」

「それいいね!」

二人の会話を聞いていたギードが、慌てて荷物が置かれた場所に走り、大きめの布を何枚か持ってきた。

「この布はどうだ?」

「あっ、ギードさん。ありがとうございます!」

「これでいけそうだね。でもちょっと薬品の量が足りないから……薄めても大丈夫だと思うかい?」

アレットの問いかけにマルティナは少し考え込み、すぐに決断した。

「半分はこのまま、残り半分は少し薄めて使いましょう。まずはこのままで」

「分かった。それでいこう」

それからは手が空いている探検家の皆で協力して、薬品漬けの布を作り出した。それをゴーレムに被せる役は――

「私がやろう」

ソフィアンが立候補した。

「ハルカとフローランがあんなにも頑張っているのに、私は見ているだけというのも忍びなかったからね」

ソフィアンは風魔法を高度に扱える。マルティナはすぐに適任だと判断し、ソフィアンの前に布を広げた。

「では、お願いします。この薬品は直接触ると手が荒れるので気をつけてください。ハルカー! これからソフィアン様が薬品漬けの布をゴーレムに被せるから、援護をお願い!」

「分かった!」

ハルカが少し余裕なさそうに返答したところで、マルティナの護衛に徹していたロランが一歩前に出た。

「布がゴーレムに被ったら、俺が魔法で影を操って落ちないようにします」

その言葉にソフィアンはにっこりと笑みを浮かべ、マルティナは少し驚いて目を見開く。

闇魔法に関する偏見はかなり改善されてきたとはいえ、まだ完璧には程遠い上に、ここは他国なのだ。マルティナの護衛として使うのは躊躇わないとしても、ここまで大勢に注目を浴びている場でロランが自ら魔法を明かして使うことに躊躇いがなかったことを、マルティナはとても嬉しく感じた。

(ロランさんの魔法は凄いんだから、これからどんどん自信を持ってくれたらいいな)

そんなことを考えて、余計なお世話かと少し反省する。

「ロラン、よろしく頼むよ。ではやろうか」

ソフィアンのその言葉で、皆が構えた。ついに反撃だ。