軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

123、ハーディ王国調査団との顔合わせ

朝食を終えて数十分後。マルティナたちは指定された会議室に集まっていた。

さっそくハーディ王国側の調査団と顔合わせをして、今後の予定について話し合うことになっていたのだが……会議室に集まっていたハーディ王国側の面々は、見るからにマルティナたちを歓迎していない。

嫌そうな表情でマルティナたちを見ては、わざとらしく溜息を吐く者までいる。

(なんでこんなに歓迎されてないの……?)

不安に思いながらもマルティナは席に着き、アレットと顔を見合わせた。この調査団のトップは外交官の者たちだが、実際に調査をするのはマルティナやアレットが中心であるため、実務面で前に出るのはその二人と決まっていたのだ。

「えっと、ラクサリア王国から来ましたマルティナです。この度は共同探索、よろしくお願いします」

「あたしはアレット。ラクサリア王国の探検家だ。よろしくね」

まずは二人が挨拶をすると、ハーディ王国側の調査団のリーダーであろう男が、面倒くさそうに口を開いた。

「俺は迷いの古代遺跡の調査でリーダーを務めることになったギードだ。遺跡探検家をしてる。……陛下からの要請だからお前たちを受け入れるが、俺たちは他国の協力なんか必要ないんだ。特に官吏なんて素人、いても役に立つわけがない。まあ、あんたらも上からの指示で来るしかなかったんだろ? とりあえず大人しくしていてくれ。邪魔だけはしないでほしい」

あんまりなその言葉に唖然としていると、他のメンバーも口を開く。

「やっと調査を再開できるんだ。また調査中止なんて事態にならないようにしてくれ」

「私たちの功績を半分奪われるのは癪ですが、まあそれは諦めましょう」

一緒に調査を進めていこうという前向きさがないどころか、マルティナたちのことを完全に邪魔者扱いだ。これにはラクサリア王国側の皆が眉間に皺を寄せ、不満や怒りを露わにする。

そんな中で一番に口を開いたのはアレットだ。

「あたしたちを役立たずだと思ってるみたいだけどね、あんたたちは今まで長い時間があって、なんの成果も出せてないんじゃなかった? 役立たずなのはそっちかもしれないねぇ〜」

煽るように良い笑顔で言ったアレットに、ハーディ王国側の探検家たちが青筋を立てる。

「お前……っ」

「ちょっとアレットさん! 皆さんすみません……!」

一触即発の雰囲気になったところで、マルティナが慌ててアレットを止めてなんとか最悪の事態は免れた。しかし状況は最悪のままだ。このままでは協力なんてできそうにない。

「とにかく、迷いの古代遺跡には五日後に出発する予定だ。それまでは好きにしててくれ。余計なことはしないように」

ギードはそれだけ言うと、足早に部屋を出て行ってしまった。会議室内にはラクサリア王国の者たちだけになり、皆が怒りを露わにする。

「なんだあれは。すぐ上に報告すべきだろう」

シルヴァンの言葉を契機に、ハーディ国王に告げ口しようという意見が一気に盛り上がった。しかしマルティナはその意見にあまり賛成できず、眉尻を下げる。

「マルティナはどうすべきだと思う?」

ロランがマルティナに水を向けてくれて、全員の視線が集まった。

「私は……上から強制しても、根本的な解決にはならないと思うんです。できれば積極的に協力してもらえたらいいんですけど……」

そう言いつつも、それが理想論だとはマルティナにも分かっていた。しかし強制的に協力関係を築いても、良い結果が生まれないこともまた事実だろう。

「――少し時間をもらってもいいでしょうか。まだここに来たばかりですし、落ち着いて考えたいです。報告するのはそれまで待ってもらえませんか?」

一度上に報告をしてしまえば、さらに溝が深まってしまう。そう考えたマルティナは、外交官と官吏の皆に頭を下げた。

すると皆は顔を見合わせてから、気が抜けたような笑みを浮かべる。

「分かりました。もう少し様子を見ましょう」

「マルティナさんは、本当にお優しいですね」

「しかしあの態度に変化がないようであれば、迷いの古代遺跡に向かう前に報告をいたします」

外交官たちの言葉の後に、ナディアとシルヴァンら官吏も口を開いた。

「わたくしたちも対策を考えるわ」

「対応が甘いと言わざるを得ないが、確かに押さえつけるばかりでは上手くいかないことも確かだ。ここはマルティナの意見を採用しよう」

そんな皆の決定を聞いて、マルティナは頬を緩めてもう一度頭を下げる。

「皆様、ありがとうございます」

決意を宿した瞳で顔を上げたマルティナの背中を、アレットが軽く叩いた。

「マルティナは本当に優しいね。ただ仕事相手とは良好な関係を維持すべきなのは確かだ。あんな奴らの機嫌を取るのは癪だけど、何かあたしも考えるかね〜」

「アレットさん、ぜひお願いします」

そうしてハーディ王国側の調査団とどうすれば協力関係を築けるのか、しばらく考えることになった。

「じゃあ、とりあえずこの場は解散とするか? 部屋に篭っててもいい考えは浮かばないだろ」

ロランのその言葉に、皆が同意する。

「そうですね。では皆さん、また夕方にでも集まるのでいいでしょうか?」

「はい。それで構いません」

「会議室の手配はわたくしたちがしておくわ」

夕方の予定を決めたところで、マルティナたちラクサリア王国の調査団も、会議室を後にした。