軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第68話 掲示板のお知らせ

商人ギルドにルクスたち五人がぞろぞろと入ってきたので、ギルドにいる商人や職員たちは興味本位でルクスたちに視線を向けた。子供が先頭にいるのも、奇妙に見えたのだろう。

一人の職員がルクスに気が付いて声を掛けてきた。

「お久しぶりですね、ルクス様」

ルクスに声を掛けたのは、ルクスの屋敷を売ってくれた不動産部のアルノー・バルテルだ。

「久しぶりですね、バルテルさん」

「!名前を覚えていてくれたんですね、ありがとうございます」

「実は、バルテルさんに不動産を紹介して欲しいんだけど……」

「勿論です。奥の会議室でお伺いしますね」

ルクスたちはアルノーに案内されて、会議室にやってきた。

全員が席についたのを見計らって、バルテルはルクスの対面の席につき、口を開いた。

「初めましての方もいらっしゃるようですので、まずは、自己紹介をさせていただきます。私、物件などを取り扱っております不動産部《《部長》》のアルノー・バルテルと申します」

「部長?バルテルさん、部長になったんですね」

「はい、お陰様で部長になれました。……早速ではございますが、ルクス様、今回はどのような物件をお求めでしょうか?」

「実は、先日クランを立ち上げまして、今後のことを考えまして、新しいクランの屋敷を購入したいんです」

「何人くらいの住まいを予定されてますか?」

「五十人くらいですね」

「全員個室になさいますか?」

「できれば個室が良いですね。あと、全員入れる大きな食堂が欲しいです。訓練場もあると便利ですね」

「貴族の邸宅は除外されますよね」

「はい。できれば貴族街以外の街の物件が良いです」

「そうですね……先日捕まった前神殿長の別邸が商人街にございまして空いております、その隣の屋敷も空き家なんです。もし、良ければ、二つの屋敷を取り壊して、新しい屋敷を作りませんか?」

ルクスは目を丸くした。そして、横に座るベネディクトゥスたちに顔を向けた。

ベネディクトゥスたちは笑みを浮かべ頷いた。

ルクスはアルノーの方に向いた。

「良いですね。おいくらですか?」

「取り壊し費用と、建築費用などで、恐らくは大金貨五十枚は掛かると思います」

「では……」

ルクスはアイテムポーチから取り出した革袋から大金貨五十枚ほどを出し、アルノーの前に置いた。

「こちらを自由に使ってください。あと、取り壊しが終わりましたら、教えて欲しいです」

「かしこまりました。取り壊しが終わりましたら、職人街の十番地七号あてに使いをやります」

「ありがとうございます。因みに、どれくらいで取り壊せますか?」

「早くて一ヶ月ですね。なるべく早くするよう、依頼できますが……」

「通常通りで大丈夫です。事故がないようにお願いします」

「ありがとうございます」

「では、よろしくお願いしますね、バルテルさん」

「はい、お任せください。ルクス様」

ルクスとアルノーはしっかり握手を交わした。

勝月(ネツァク) 三日、職人街の広場にある掲示板に人が群がっているのを、ルクスは見つけた。

群衆の中で、遠巻きに見ている一人の男性にルクスは声を掛けた。

「何かあったんですか?」

「ああ、掲示板に王国からのお知らせが貼ってあってね。隣国に宣戦布告されたから戦争するらしいよ」

「開戦したってことですか?もっと大々的にお触れがあるんでしょうか?」

「んー、戦争は国王様が決めることだし、戦うのは俺たちじゃなくて王国の軍だからね……凱旋なら大々的にやるかもしれないね」

「そうなんですか……ありがとうございます」

あとでグラジュスの影に探って貰おうと思いつつ、ルクスは屋敷に戻った。

談話室で寛いでいるベネディクトゥスに声を掛ける。

「ベネディクトゥス」

「なんですか?ルクス様」

「グラジュスの影に依頼をして欲しいんだけど」

「依頼内容は」

「隣国が戦争を仕掛けてきたんだって、詳しい情報が欲しいから隣国の内情を探るのと、これから起こる戦争についても調べて報告して欲しい。大金貨五十枚で足りるかな?」

「大丈夫でしょう。しかし、戦争ですか……」

「どうかした?」

「私が貴族の頃、隣国には戦争を仕掛けてくるような度胸がある国はなかったんです。もしかしたら、代替わりで好戦的な方が王になったのかもしれませんね」

「へぇ……」

「私はグラジュスの影に接触しますので、これで失礼します」

「うん、ありがとう、ベネディクトゥス」

ルクスはベネディクトゥスが部屋を出るのを見送りつつ、座った。

(戦争を仕掛けてくるような度胸がある国はなかった、か……世界がシナリオに沿って動いているからなのか、それとも……)

ルクスが思案していたとき、玄関の呼び鈴が鳴った。

談話室は比較的、玄関に近いので、ルクスは立ち上がって玄関に向かった。

「はいはーい」

扉の向こうには、鍛冶師のドニがいた。

「あ、ドニさん」

「よう、坊主、出来上がったから知らせに来た。あとは紋章を刻むだけなんだが……」

「紋章ならできてます」

「紋章の写しはあるか?」

「あ、ないですね」

「そうか、じゃあ、原本から俺が写しを作る」

「良いんですか?じゃあ、中へどうぞ」

「おう、邪魔するぞ」

ルクスはドニを迎え入れ、談話室に案内した。

「これが、原本です。白紙の羊皮紙とインク壺、羽ペンも置いておきますね」

「すまねぇな。ちょっくら作業するわ」

ドニは原本を見つつ、白紙の羊皮紙に書き込んでいった。

そして、あっという間に書き上げた。

「よし、できたぞ」

「ありがとうございます」

「この写しを元に紋章を刻んでおく。今日の夕方には納品できるだろう」

「はい、お待ちしてます」

「じゃあ、俺は行くわ」

「送りますよ、ドニさん」

「大丈夫だ、玄関くらい分かる。じゃあな、坊主」

「はい、また」

ルクスは笑みを浮かべ、こちらに背を向け、片腕を挙げて出て行くドニを見送った。