軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第67話 別れ、祝宴、そして会議

冒険者ギルドが一風変わった雰囲気になってから一ヶ月後の 冠月(ケテル) (八月に相当)二十一日。

セット装備の貸し出し効果は目に見えて出るようになった。

冒険者たちは今までのランクから一つ二つは上がるパーティーが多く出た。

クランに加わった自由気ままは 緋金級(ヒヒイロカネランク) のパーティーになったし、風任せは 魔銀級(ミスリルランク) パーティーに、人それぞれは 金級(ゴールドランク) パーティーに一気に駆け上がった。

クラン自体はまだ活動を開始したばかりだが、クランメンバーの等級がかなり上がったことが評価され、 金級(ゴールドランク) クランとなった。

金級(ゴールドランク) クラン認定証を冒険者ギルドから貰い、ルクスは屋敷のエントランスホールに飾ったが、意味があるかは不明だ。信頼できるクランだと噂が広がれば、入団したいという冒険者も増えるだろう。

ルクスたちはと言えば、 金剛級(アダマンタイトランク) パーティーになった。

ルクス自身は 幻金級(オリハルコンランク) 、それ以外の黄金の導のメンバーが 金剛級(アダマンタイトランク) に上がった。

そして、ルクスのジョブが二次の剣豪になった。

剣豪になったことで、魔法剣というスキルが使えるようになり、嬉しそうなルクスだった。

ダンジョン深くまで潜れるようになったので、星の飴もたくさんドロップし、ルクスたちは星十個分、限界突破もできているが、実感するのは、まだ先のことだろう。

レベルやランクの上がった冒険者の中で、セット装備を買い取ることができた一部の冒険者パーティーは、もっと良い狩場を求めて王国の迷宮都市に向かう者まで出た。

王都の冒険者ギルドに新しい風が吹いていた。

ルクスの屋敷の前には、王城からシルウェステルとレヴァナを迎えに来た豪奢な馬車が停まっていた。

「シルウェステル君、またね」

「ルクス君……。うん、また、絶対会おう」

シルウェステルは涙ぐんでいた。

「レヴァナちゃん、また会いましょうね」

「レヴァナちゃん……、またね!」

「ラエティティアちゃん、クラーラちゃん、ありがとう、また会いましょう」

レヴァナも泣きそうだ。

「またな、シルウェステルとレヴァナさん」

「僕のこと忘れないでね~、シルウェステル君とレヴァナさん」

アランとバートも二人に手を振る。

二人は馬車に乗り込んで、黄金の導が見えなくなるまで、手を振り続けた。

黄金の導たちも馬車が見えなくなるまで見送った。

屋敷に入ったルクスたちはそれぞれ自室に戻るふりをして、ルクスとラエティティアとバートは談話室にやってきた。

「ベネディクトゥス、準備できてる?」

「ええ、ルクス様」

「じゃあ、お昼ご飯に合わせて、《《やろうか》》」

「仰せのままに」

ルクスたちは何か企んでいるような笑みを浮かべ、食堂に向かった。

一方その頃、クラーラの部屋にはアデリナがやってきていた。

「え?今から着替えるの?」

「そう、ヘレナさんからお願いされたのよ、是非新しいドレスを着て欲しいって」

「ふぅん?分かった。じゃあ、ちょっと待っててね」

クラーラはアデリナに渡された桜色の花が散りばめられた白いドレスを見て、微笑んだ。

「綺麗なドレス……ヘレナさんに感謝だね」

クラーラは呟きつつ、ドレスに着替えた。

暫くして着替えたクラーラは、扉を開けた。

そこにいたのは、白いタキシードを纏ったアランだった。

クラーラとコンセプトが一緒なのだろう、桜色のシャツとハンカチーフがアクセントになっている。

「アラン……かっこいい」

惚れた欲目というか、フィルターが掛かって見えるクラーラには、アランが超絶カッコよく見えた。

クラーラは勿論ドレスが似合っていて可愛らしい。

「クラーラもきれい、だ」

アランは真っ赤になりつつ、クラーラを褒めた。

クラーラにもその熱が伝染したのか、頬を染めた。

「ありがとう、アラン」

「行こうぜ、みんな待ってるって」

「え?」

アランはクラーラの手を優しく掴んで、先導した。

「待ってるって、どうして?」

「開けば分かるよ。さ、クラーラ」

開けて?とアランは優しい笑みをクラーラに向けた。クラーラは、その笑顔にときめきつつ、扉を開けた。

「「クラーラ、アラン、お誕生日おめでとう!!」」

歓声が響いた。そして、ラエティティアがクラーラに、ルクスがアランに花束とプレゼントを渡した。

「あ、私、今日誕生日?アランも?」

「俺は 冠月(ケテル) 十一日産まれなんだ」

「そっか……アランも知ってたんだね?」

「うん、ごめん」

「いいよ。誕生日を祝うために黙っててくれたんだよね?ありがとう、アラン」

「クラーラ……」

じぃん、ときたアランは涙ぐんだ。

「さ、クラーラ、今日はヴォルフが張り切ってご馳走を作ってくれたのよ?食べましょう」

アデリナがそう言ってクラーラを席に導いた。

「……楽しむと良い」

寡黙なヴォルフは言葉少なだが、優しい表情でクラーラを見守っている。アデリナも同じくだ。

「うん、ありがとう、お母さん、お父さん」

「さ、食べようぜ、クラーラ」

「うん」

クラーラとアランはお誕生日席について、食事を食べ始めた。

和やかな食卓で、楽しい時間は過ぎていった。

三日後のお昼ご飯後、ルクスの屋敷の談話室にて。

「第一回、自由の翼クラン会議~」

ルクスは棒読みで和紙のメモに書かれた文字を読み上げた。

「「わー」」

ぱちぱちぱち、と大人組とラエティティアとクラーラが拍手した。

「いきなり、談話室にみんなを集めてどうしたんだよ?ルクス」

アランは怪訝そうな表情でルクスに問う。

ここには、自由気まま・風任せ・五人組のパーティーも集まっていた。彼らもクランメンバーなので、この拠点に住んでいるのだ。

「クランの今後について話そうと思ってね」

「今後?」

「ああ、今、この屋敷には五パーティーいる。黄金の導と追い風、自由気まま・風任せ・五人組。総勢二十四人と小妖精二人……食堂に入りきらないから食事は別々にしているけど、非効率だと思うんだ。だから、新しくクランの屋敷を買おうと思う」

「「おおー」」

「それに伴って、人を雇うか、奴隷を購入するつもり。ベネディクトゥス、大金貨三百枚くらいあれば大丈夫だよね?」

「この屋敷が大金貨五枚ほどでしたので、問題ないかと。屋敷を購入したら、残りの大金貨を一年間の人件費、維持費、食費、消耗品、武具などの費用に回せば良いでしょう」

「うん」

ベネディクトゥスとルクスは無駄遣いをするつもりはないが、クランの規模が大きくなればなるほど、お金が掛かると分かっていた。だから、最初から余裕をもった予算にした。

「じゃあ、俺と、ベネディクトゥス、自由気ままのリーダー、エドヴィンと風任せのリーダー、フランツと人それぞれのリーダー、アガーテの計五名で屋敷を購入しに行こう」

人それぞれのリーダーはアガーテという戦士の女性だ。戦士というジョブは特殊で、自身が武器として扱っているもののスキルを覚えるジョブだ。彼女は斧を主に扱うので、斧術というスキルがある。

「え、今ですか?」

エドヴィンは思わず声を上げた。

「今でしょ!」

「はい、行きましょう、ルクス様、皆さん」

ベネディクトゥスはそう言って立ち上がり、ルクスたちを急かして、屋敷から追い立てた。

五名揃ったところで、ルクスは声を上げた。

「じゃあ、しゅっぱーつ」

おー、という声がまばらに聞こえたのを確認し、ルクスは先頭を歩き始めた。