作品タイトル不明
109 残響
――それは、彼女と出会う数時間前のこと。
華は既に高校に行き、俺は出かけるための準備を行なっていた。
今日は隔絶の魔塔に行き、ダンジョン内転移で再び入ることができるか実験するつもりなのだ。
仮にその試みが成功した場合、また数日間にも及ぶ戦いに身を投じることになる。
入念な準備は必須だ。
その最中、テレビでは大々的にとあるニュースが報じられていた。
『先日、世界中を震撼させた、最年少でレベル10万超えを達成した冒険者についてですが、歴代のSランク到達記録を大幅に塗り替えるものであり――』
ここ数日、ずっと流れている聞き飽きたニュースだった。
ぷつんとテレビを消し、素早く準備を終える。
今の俺には、他人の動向に意識を割く余裕は存在しない。
それよりも、一刻も早く俺自身が強くならないといけないのだ。
「よし、行くか」
気合を入れ、俺は隔絶の魔塔に向けて出発した。
――だけど、なぜだろうか。
道中、ニュースで流れていた音声が妙に耳から離れなかった。
数時間後、俺は知ることになる。
――――その 理由(ワケ) と、彼女の存在を。