軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

宝探し?

林に到着すると、白狼君達は帰っていった。

荷車をゴロゴロ引きながら先に進むと、ん? 誰かがいる気配がする。

近づくと、顔見知りの冒険者のおじさん達だった。

わたしを見ると慌てた感じに近寄ってくる。

ん?

どうしたんだろう?

「サリーちゃん、ごめん!

組合長から、サリーちゃんが来たらここで足止めするように言われてるんだ」

「え?

どうして?」

おじさんの一人が町に駆けて行くのを見つつ訊ねるも、冒険者のおじさん達は困った顔をしながら「詳細は組合長に聞いてくれ」と言う。

えぇ~!

「ただ、ちょっとな。

町が面倒なことになっててな」

「面倒なこと?」

「ああ……」

冒険者のおじさん達の顔が渋いものになる。

しばらく、持ってきていたドライフルーツを皆と食べつつ待っていると、マッチョ系組合長が駆けてくるのが見えた。

そして、側まで来ると、冒険者のおじさん達を町に帰らせる。

その背を眺めつつ、アーロンさんは顔を顰めながら言う。

「少々やっかいなことになった」

「また、領主様?」

「ああ、そうだ」

一体今度は何なの!?

うんざりした顔をすると、それを見たアーロンさんは困った顔をする。

「お前も見かけただろうが、変な宗教団体が町にいるんだが……。

最近、どうも領主様がそれにご執心なんだ」

「え?

宗教にハマっているって事?」

わたしの問いに、アーロンさんはため息を吐きながら首を横に振る。

「もっと、俗物的なことだ。

領主様が言うには、その宗教団体はとてつもないお宝の 在処(ありか) を知っていて、更に言えば、それはこの町付近にある――そう思われているようだ」

「え?

お宝?」

脳裏に金銀財宝が浮かぶ。

「そんなもの、本当にあるの?」

訊ねると、アーロンさんは苦笑する。

「知らん。

この町のじいさん方に確認したが、そんな話し聞いたことがない、とのことだ。

ただ、その宗教団体が持っていた地図が黄金色の何かで出来ていたことで、領主様は俄然、信じているようだ」

「はぁ?

いや、正直、あの宗教団体って胡散臭いし、そんな人たちが持つ宝の地図なんて輪をかけて怪しいと思うけどなぁ」

わたしの 言(げん) にアーロンさんは頷く。

「わしもそう思う。

じゃが、領主様は絶対に見つけると息巻いていてな。

……例のワイバーンの羽根の汚名をすすげと、冒険者組合にまで動員をかけたんだ」

「うわぁ~」

領主様の下らないお宝探しに付き合わされるなんて、冒険者組合も災難だなぁ~

「わたしも手伝った方が良い?」

訊ねると、アーロンさんは首を横に振る。

「いや、お前には関わらせたくない。

というより、しばらく町には近寄らない方が良いかもしれない。

どうしても、必要な場合も――」

アーロンさんはわたしの背後にある荷車に視線を向ける。

「獲物を積んだ 荷車(それ) は町に入れない方が良い。

……因みに、中身は?」

「 弱(じゃく) クマさん」

「くぅ!」と悔しそうに見つつ、続ける。

「門には騎士が詰めていて、その宝物とやらを隠し持っていないか中身を改めている。

仮に町に入る用事がある場合も、獲物を持たず――というより、出来るだけ荷物を持たずに入った方が良いぞ」

そういう、アーロンさんにわたしは「うん」と頷くしかなかった。

――

荷車を引きつつ、我が 家(国) に到着する。

手芸妖精のおばあちゃん達がすーっと集まってきたので「ごめん、今日は買えなかった」と謝ると、おばあちゃん達は少し困った顔をした。

「明日買ってくるよ」と続けると、おばあちゃんは〝よろしくね!〟と言うように身振り手振りをした後、離れていった。

う~ん、ちょっと困ったなぁ。

荷車をゴロゴロ引きながら、家に近づくと、玄関が開き、イメルダちゃんが出てきた。

その上空には龍のジン君がくるくる飛んでいる。

「サリーさん、お帰り。

あら、クマ?

町で売らなかったの?」

「うん、ちょっと色々あって」

あれから、町に入らず、弱クマさんを持って家に戻ってきた。

アーロンさんが「町に用があるなら、荷車を見張っててやるから、行ってきて良いぞ?」と言ってくれたけど、そのために面倒なことになると嫌なので、丁重にお断りをした。

弱クマさんに関しては、白狼君にあげようとも思ったけど、彼らは大カラス君の元に行っているようで、結局帰りは出会わなかった。

まあ、冷凍にすれば問題は無いので、弱クマさんに関しては良いんだけど……。

領主様の件が長引くと、少々、困ってしまうなぁ。

「事情は後で話すよ」とイメルダちゃんに断り、取りあえずは弱クマさんを移動させる。

久しぶりの解体に手こずりつつ、お肉を氷付けにした後、食料庫に入れる。

荷車を片付けた後、家の中に入る。

シャーロットちゃんは……いない。

近寄ってきた妖精メイドのサクラちゃんに訊ねると、ニッコリとしたメイドちゃんは天井を指さした。

……シャーロットちゃん、ずいぶん気に入ってるみたいだけど、本当に、どんな状態になってるの!?

今は都合が良いけど!

近寄ってきたケルちゃんを「ただいまぁ~!」と撫でて上げつつ、帽子をサクラちゃんに渡す。

そして、イメルダちゃんを誘って、ゴロゴロルームに入った。

部屋の奥に座り、刺繍をしているヴェロニカお母さんが顔を上げ「あら、お帰り」とこちらにニッコリと微笑んでくれる。

「ただいまぁ~」

と言いつつ近寄ると、側にいたエリザベスちゃんが嬉しそうに手を伸ばしてくる。

「ただいまぁ~エリザベスちゃん!」と抱き上げると、一番小さい妹ちゃんは「あぁ~!」と嬉しそうにする。

可愛い!

ヴェロニカお母さんの側に座ると、エリザベスちゃんを膝に置く。

イメルダちゃんもヴェロニカお母さんの逆側に座った。

わたしが町での話をすると、イメルダちゃんは呆れた顔で、ヴェロニカお母さんはニコニコ顔を困らせながら話を聞いていた。

そして、最後まで聞き終えると、ヴェロニカお母さんは苦笑しながら言った。

「そうね、組合長さんがおっしゃる通り、しばらくは町に獲物を持っていくのは避けた方が良いわね」

イメルダちゃんもそれに頷く。

ヴェロニカお母さんは少し思案するように続ける。

「あと、あの荷車だけど、物作りのおじいちゃん達が改造しているわよね。

あれも、極力持っていかない方が良いわ。

魔石がはめられていて、その辺りに詳しい人が見ればかなり良いものだと分かるはずだから」

「あ、やっぱりそうなのね」

あの荷車、獲物をのせるのを抜きにしても、荷物を運ぶのに便利だから使えなくなるとちょっと困るなぁ。

やっぱり、籠を背負っていくしかないかなぁ?

それとも、木だけで出来たものを作って貰うか……。

そんなことを考えていると、イメルダちゃんが訊ねてくる。

「まあ、お金もそこそこあるのだし、そこまで気にする必要は無くないかしら?」

「まあ、そうだけど……ね」

それに、現金を得る方法はまだある。

冒険者への治療もそうだし、ヴェロニカお母さんの刺繍もそこそこな値段で買い取って貰えている。

そもそも、我が 家(国) は、そこまでお金を必要としていない。

わたしの植物育成魔法があれば、食べ物は大丈夫だ。

雑貨もある程度のものは、物作り妖精のおじいちゃん達がいれば作ってくれる。

怪我や病気も、大体わたしの魔法で対応できる。

だから、無理にお金を求める必要は無いのだ。

とはいえ、将来について考えると少々不安ではある。

イメルダちゃん達についてだ。

このまま、我が 家(国) にいても良いのか?

少々悩ましい問題だ。

無論、わたしとしてはずっと一緒にいたいぐらいだけど、この狭い場所でわたし達以外と交流もなく過ごしても良いものなのか?

ひょっとしたら、別の土地――それこそ他国とかに移した方が良いのではないか?

その方が、妹ちゃん達の将来のために良いのではないか?

などと考えてしまうのだ。

そうでなくても、例えば学校とかにも行かせた方が良いのでは?

などということもある。

それに、所詮、わたしは前世中学生止まり、今世半野生児……。

妹ちゃん達のことを抜きにしても、わたしでは想像も付かない様なことで、お金が必要になることもあるかもしれない。

そう考えると、出来ればお金は貯めておきたい――そう思ってしまうのだ。

まあ、イメルダちゃん達に気を遣わせるのは本意では無いので、それについては明言しないけどね。

そんなことを考えていると、ヴェロニカお母さんがちらりとこちらを見る。

そして、ニッコリ微笑みながら言った。

「まあ、今のところは様子を見るというので良いんじゃない?

宝探しなどという、くだらない事、すぐに飽きると思うし」

「そうだよね」

わたしが頷くと、イメルダちゃんもそれに合わせて「そりゃ、そうよね」と同意した。