軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

蜂蜜騒動!?

いつものように、ケルちゃんが元気よく飛びかかってきたので、抱き留め、ゴロリと転がし、もふもふを堪能する。

ふふふ、気持ちが良い!

そして、外に出して上げる。

う~ん、今日も良い天気!

ここ最近、晴天続きだ。

少しずつ、気温も上がってきている気がする。

ここらへんの夏は暑いのかな?

いや、その前に梅雨とか有るのかな?

その辺りを赤鷲の団のアナさん辺りに確認しておかなくては。

中に戻って、洗顔をしていると、いつものようにスライムのルルリンが肩に下りてきて、町に連れて行けとアピールをしてくる。

「はいはい、魔道具が来たらね」

と真っ白なぽよぽよボディーをペチペチ叩きつつ、髪を結う。

合流してきた妖精メイドのサクラちゃんを逆側の肩に乗せ、飼育小屋に向かう。

いつも通り騒々しい、オスの赤鶏君をやり過ごし、卵を頂きつつ餌をあげる。

続けて、山羊さんから乳を頂く。

はいはい、すぐに外に出して上げるから。

元気いっぱい外に出て行く山羊さんを見送っていると、結界の近くに近づいてくる気配を感じる。

ん?

視線を向けると、いつもの兵隊蜂さんが壺を持って飛んできた。

どうしたの?

え?

くれるの?

あ、イメルダちゃんが約束していた蜂蜜ね。

ありがとう!

兵隊蜂さんの背を見送りつつ思う。

蜂蜜、思っていたより多い!

これ、二キロぐらいにはなるんじゃない?

それを、週に一回とか……。

蜂蜜って、そんなに使うかなぁ?

ちょっと、減らして貰った方が良い気がする。

なんて考えていると、妖精ちゃん達がすーっと近寄ってきて、”我らがお持ちします”という様に身振り手振りをする。

いや、君たちに渡すと、帰ってこないでしょう!?

そんな事は無い?

そんなの、絶対に嘘!

ええい、近寄らない!

あっちに行って!

妖精ちゃん達を手で追い払いつつ、 中央の部屋(食堂) に戻る。

テーブルを拭いていたイメルダちゃんが、沢山の妖精ちゃんに纏わり付かれているわたしを見て、目を丸くした。

「兵隊蜂さんが持ってきてくれた」

と壺の中身を見せて上げると、呆れつつも納得したように頷いた。

そして、少し難しそうな顔をする。

「こうしてみると、多いわね。

一週間ではとても使い切れなさそう」

「だよね。

まあ、腐るものでも無いし、良いと言えば良いんだけどね。

これで保存食とかも、確か作れたはずだし」

「それは良いわね」

と”それを我らに!”とアピールしている妖精ちゃん達を無視して話をしていると、妖精姫ちゃんが飛んできた。

そして、一生懸命身振り手振りをして来る。

え?

半分を 妖精(わたし) 達に?

色々、お手伝いしてる?

その分は、その都度、お返ししてると思うけどなぁ~

え?

この家をさらに大きくする?

ケルちゃんの成長に合わせて?

さらに、要望があれば直す?

それは……やって貰いたいけど。

チラリとイメルダちゃんに視線を送ると、姉的妹ちゃんは一つ、ため息を付いた。

そして、「約束をちゃんと守ってくれるなら、週に一回、半分をそちらの分にしましょう」と言った。

妖精ちゃん達、嬉しそうに飛び回る。

いや、この子達、甘味に対して、どんだけ必死になってるの……。

朝ご飯になって、頂いたばかりの蜂蜜を出した所、まあ、当然と言うべきか好評だった。

「サリーお姉さま、甘くて美味しい!」

とシャーロットちゃんはニコニコしながら言ってくれた。

「本当に、なめらかで美味しいわ」

とイメルダちゃんも、嬉しそうだ。

目元を緩ませているヴェロニカお母さんも「この蜂蜜、本当に良いわねぇ~」と嬉しそうだ。

その手にあるパンが黄金色いっぱいに輝いている。

いや、どんだけ塗ってるの!?

今までは、皆、遠慮して使っていたけど、今後は定期的に手に入ると分かって、特にヴェロニカお母さん、もう、これでもかというぐらい塗りたくっていた。

直ぐに飽きるだろうと思ったから、今回は止めなかったけど……。

ヴェロニカお母さんはいくら何でも、やり過ぎだと思う。

明日からは止めよう。

うん、そうしよう。

しかし、蜂蜜かぁ~

妖精姫ちゃん達と半分にするにしても、結構な量が使えるなぁ。

果物系の蜂蜜漬けは絶対にやりたい。

特に、イチゴの蜂蜜漬けは凄く美味しそうだ!

あと、肉を柔らかくしたり、魚の臭みを消す効果があるんだっけ?

それだけじゃなく、確か風邪予防にも良いと聞いた事があるから、妹ちゃん達にも定期的に食べさせないとね。

あ、赤ちゃんには駄目なんだっけ?

エリザベスちゃんには注意が必要か。

後なんだっけ?

なんか、Web小説の主人公が、これは外せない! って言ってた様な……。

蜂蜜、蜂蜜……。

「あ、蜂蜜酒か」

そうそう、なんか簡単に作れるって、主人公がどや顔をしてたんだ。

ま、わたしには関係ないけどね。

あとは……ん?

何故か、皆の視線がこちらを向いていた。

え?

何?

ヴェロニカお母さんが声を震わせ、言う。

「さ、サリーちゃん……。

は、蜂蜜酒――作れるの?」

「え?

まあ――」

そこまで言って気づく。

特定の人物らの視線が狂気の色を帯びている事に。

わたしは慌てて、手を振り否定する。

「無理無理!

作れない!

作れないよ!」

「作れるのね……」

「作れないって!」

わたしが否定しているのに、 酒飲み(特定の人物) らに詰め寄られてしまうのだった。

「酷い目に遭った……」

「もう、サリーさん、迂闊よ!」

玄関から出た辺りでぼやくと、イメルダちゃんに怒られてしまった。

ううう、反省だ。

朝の食事時にも関わらず、ワイワイ言ってきた 酒飲み(特定の人物) ら(ヴェロニカお母さん、妖精姫ちゃん、そして、沸いてきたスライムのルルリン、物作り妖精のおじいちゃん達)は、最終的に台所から出てきたシルク婦人さんの一睨みで黙らされた。

だけど、その程度ではへこたれないのが、我が国の酒飲みらだ。

食事後、早速集まってなにやら相談をしていた。

はぁ~

面倒くさい事になったなぁ。

今も、足下にいる物作り妖精のおじいちゃんが”蜂蜜酒! 蜂蜜酒!”と言うように、身振り手振りをしている。

もう、今から粘土を取りに行くんでしょう?

それに、蜂蜜酒なんて作れないから!

え?

冬ごもりの時に、何かくれるって約束した?

いや、確かにしたけど、酒関係はシルク婦人さんを説得してとも言ったよね!?

そもそも、イメルダちゃんからワインを貰ってるでしょう?

え?

口が蜂蜜酒用になった?

知らないよ!

もう、さっさと行くよ。

そんな言い合いをしつつ、物作り妖精のおじいちゃんを摘まむと、ケルちゃんの、三首の付け根辺りに置く。

おじいちゃんにはケルちゃんに乗って移動して貰う事になった。

白雪ちゃん達みたいに胸の中に入れてっていう訳にはいかないからね。

その隣に下りた近衛兵士妖精の 黒風(こくふう) 君には、おじいちゃんが落っこちないように補佐して貰う事になっている。

あと、一応、近衛兵士妖精の青空君も付いてきてくれるらしい。

センちゃんの頭の上でニコニコとスタンバイをしている。

センちゃん(彼女) が首を振ると、落っこちそうに思えるけど――まあ、近衛兵士妖精君達なら飛べるし大丈夫でしょう。