軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

甘味の国?

見た目はバターっぽい感じだけど、濃縮されたメープルシロップの味の甘みが非常に美味しい。

因みに、わたしとシルク婦人さんとで毒味というなの味見済みである。

パンに軽く付けただけで、かなり甘く、驚いた。

「少しで十分甘いから、付けすぎ注意だからね」

と言って、シャーロットちゃんから回すように指示をする。

シャーロットちゃん、イメルダちゃんはわたしの言う通り少しだけ付けた。

ただ、ヴェロニカお母さんはやや多めに、妖精姫ちゃんなんて、妖精メイドちゃんに指示を出し、パンの上にこんもりと付け(乗せ?)させていた。

……まあ、良いけどね。

皆がパクリと食べる。

「サリーお姉さま、甘くて美味しい!」

「ほんと、凄く濃厚で美味しいわ!」

シャーロットちゃんはニコニコ、イメルダちゃんは口元に手を置き、驚いたように言っている。

うむ、大成功だ!

「あらあら、これは本当に美味しいわ。

いくらでも食べてしまいそうね」

とヴェロニカお母さんが嬉しそうにして、ニコニコ顔の妖精姫ちゃんが同意するようにコクコク頷いている。

……いや、いくらでも食べられるものでは無いはずなんだけど!

どんだけ、甘いものが好きなの!?

わたしが戦慄していると、ヴェロニカお母さんがニッコリしながらわたしに言う。

「砂糖、蜂蜜、 メープルバター(カエデ糖液) と……。

サリーちゃん、この国もすっかり 甘味(かんみ) の国ね!」

それに対して、わたしは困ってしまい、眉を寄せる。

「う~ん、そうだね。

個人的には、どれか一つをレモンかタマネギ、大豆にして欲しいんだけど……」

なんか、凄く偏ってるんだよね!

メープルバターにしたのだって、蜂蜜と被っているからだし。

イメルダちゃんが「”だいず”って何?」と訊ねてきたので「豆の一種だよ」と教えてあげる。

「まあ、蟻さんが持ってくる物次第だから、こちらとしては、祈るしか無いんだよねぇ」

わたしが言うと、イメルダちゃんが小首を捻る。

「ねえ、サリーさん。

お願いしてみたことある?」

「え?

……無いかな?」

昨日、一応、レモンレモン言ってはいたけど、きちんと伝えたことは無かった。

イメルダちゃんは続ける。

「これこれ持ってきてってお願いしてみたら?

なんやかんや、意思の疎通が出来ていることだし、案外、持ってきてくれるかもしれないわよ」

「なるほど……。

今度来たら、そうしてみよう!」

レモン、タマネギ、大豆、トマト……。

かなり遠くまで巣が広がっているって事だから、お米やバナナとかも持ってきてくれるかな?

夢が広がるなぁ~

――

夢は広がるけど、そればかりに構ってはいられない。

朝ご飯を食べ終えた後、洗濯物等の雑事を終え、町に行く準備をする。

今日は久しぶりに、荷車を引いて出発だ!

荷物を持って外に出る。

階段を降りて車庫を覗いてみると、気の利く物作り妖精のおじいちゃん達が整備をしておいてくれたらしく、わたしを見ると”問題ないぞ”というようなジェスチャーをくれた。

ありがとう!

え?

粘土と 釉薬(ゆうやく) よろしく?

それを入れる箱も入れておいた?

はいはい、分かりました。

あ、後でイメルダちゃんが飼育小屋の拡張について話が有るって。

よろしくね!

”分かった分かった”というような物作り妖精のおじいちゃん達に手を振り、荷車を車庫から出す。

ん?

ケルちゃん、なあに?

え?

一緒に行きたい?

そういえば、 従魔(じゅうま) 登録の件、どうなったんだろう。

実は、まだ冬ごもりの時期に、受付嬢のハルベラさんにケルちゃんについて相談していたんだよね。

そしたら、美人受付嬢なハルベラさん、困った顔をしながら「サリーちゃんが飼っている子が魔獣であれば、従魔登録って事になるけど、実は、それに必要な魔道具を切らしているの」と言われてしまったのだ。

なんでも、魔獣の首に付ける首輪らしくって、それが無いと登録できないらしい。

「ごめんなさい。

冬ごもり中は無理よ。

春になったら、直ぐ取り寄せるわ。

因みに何頭かしら?」

と訊ねられた。

何頭?

あれ?

ケルちゃんって一頭? 三頭?

ただ、大は小を兼ねるじゃないけど、まあ、三頭分でお願いする。

「え?

三頭もいるの?

……一つ、大銀貨一枚だけど、大丈夫?」

「うん。

お金も怪我の治療で結構稼いだから問題ない」

そのように答えると、受付嬢のハルベラさん、ちょっと羨ましそうに「白の魔力持ちは稼ぎが良いもんね」と言ってた。

いやまあ、狩りの方が何倍も稼いでるけどね。

そこで、ふと思いつき、聞いてみる。

「ねえねえ、うちにはスライムもいるんだけど、どうなるの?

首には付けられないけど」

ハルベラさんは苦笑しながら「スライムは従魔登録の必要は無いわよ」と答える。

「うちのは魔力を与えたから、大きいよ?」とさらに言っても、「スライムなら、どんなに大きくなっても大丈夫だから連れてきても良いわよ」

と笑われてしまった。

王スライムの件は有名では無いのかな?

……まあ、変に警戒されて、スライムのルルリンが町に入れなくなるよりは――良いのかな?

そんな機会があるかは、微妙だけど。

いや、ルルリンの事は、今は良いか。

「許可が下りてないから、まだ、無理だよ。

大丈夫って事になったら、一緒に行こうね」

ケルちゃんは不満そうに、「がう!」「ががう!」「ごう!」と吠えたけど、「今日の所は、ここで皆を守ってあげて」と三首を撫でてあげると、がっかりした感じながらも頷いてくれた。

よい子だ!

そんなやり取りをしていると、近衛兵士妖精君達を連れて、ヴェロニカお母さんが家から出てきた。

「サリーちゃん、刺繍した物を、また売ってきて欲しいの」

「ああ、うん」

ヴェロニカお母さんから袋を受け取る。

現在、町ではヴェロニカお母さんの刺繍がちょっとした人気商品になっているらしい。

生地屋さんの店主さんが興奮気味に「良い所の商家の娘さん達が押し寄せてきて大変だよ!」と話してくれた。

さらに「そればかりか、貴族のご令嬢の中にも欲しがる方が現れはじめてねぇ。売り切れの時には”いつ入荷するのか?”という圧が怖いくらいだよ」という嬉しい悲鳴も上げていた。

なので、一番高級なハンカチになると、銀貨一枚にまで金額が跳ね上がっていた。

「今回はどんな感じ?」

と袋を覗くと「いつも通りよ」という答えが返ってきた。

柄が見える形で、綺麗に畳まれたハンカチが何枚も詰められている。

少しずらしてみると三つのバラに、一つの小さなバラが描かれていた。

最近、特に指定をしなければ、この構図になっている。

生地屋さんが言うには、この絵も凄く人気って事らしいので、多くなっているのかな?

「サリーちゃん、気をつけて行ってきてね」

とヴェロニカお母さんがニッコリ微笑んでくれたので「うん」と答えておいた。

そして、手を振りながら、荷車を引く。

よし、出発だ!