軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

試行錯誤

「えっほ、えっほ」

息を弾ませながらスコップを壁へと差し込む。

なるべく一度目の差し込みでより深くスコップが刺さるように、毎回体の使い方を変えながらどうするのが一番効率よく、疲れずにできるかを考えながら試行錯誤を行う。

そして、スコップの先端がダンジョンの壁に刺さったら、グリグリと動かしてからスコップに足をかけて体重をかける。

グッと足に力を入れてスコップへと体を乗せる。

グリグリしてできたわずかな隙間を利用しててこの原理でスコップを跳ね上げるように動かして土を浚う。

そうして、わずかにダンジョンの壁には穴が空き、土がこぼれ落ちた。

ガキン、と鈍い音が響く。

……想像以上に大変だ。

全身から汗が吹き出て体が火照る。

全身運動を続けている状態なのに、集まった土はまだ土嚢袋の容量の一部にも満たない。

公園にある砂場の砂みたいならばこの大きなスコップを一度差し込んで砂を浚うだけでもかなりの量を確保できただろう。

だが、ダンジョンの壁が固いため、一度ではわずかしか土を回収できない。

そのため、なかなかまとまった量が集まらない。

だけど、楽しい。

うまくいかない。

だからこそ面白い。

たしかに全身を使うことで疲労は溜まってきているのだけれど、自分のスコップ捌きをどう変えていって少しでも多くの土を回収できるかをあれこれ考えながら即実践してみるというのは、思ったよりも面白い。

これがもし、砂場の砂集めだったらすぐに飽きたと思う。

簡単にできる単純作業は面白くないけど、簡単にはできないことは面白い。

意外とこれは続けられそうかもしれないな、と感じた。

なので、その後も数時間ほど頑張ってダンジョンの壁を掘り続けた。

試行錯誤は続く。

スコップを壁へ差し込む。

うまく刺さらない。

ならば体の使い方を変える。

壁をスコップで掘るごとに、これはどうなっているんだろうとか、こうすればどうなるだろうという疑問が湧き出てくる。

例えば、ダンジョンの土と一言でいっても、違いや種類などはあるのではないだろうかというものだ。

そのことに疑問を持った僕は、掘る場所を変え、別の壁にスコップを差し込んだり、色合いの違う場所やダンジョンの地面にもスコップを入れてみたりもした。

また、同じように見えても土の固さが違う場所がないかどうかを気にしてみたり、スコップを差し込む壁の位置の高さを変えてみたりもした。

どこにスコップを突き立てるのが一番力を入れやすいのかも気になったからだ。

そのほかにも、体重の掛け方を工夫したりもした。

途中、勢いよく乗ればどうだろうと思い、飛び乗ってみたら、危うくその勢いでこけて怪我をしそうになったのは内緒だ。

そんなこんなで、あれこれやってこの日の戦果は土嚢袋一袋の土だ。

集めた土を袋に入れるのは手間だった。

だが、それはまだよかった。

問題なのはその土嚢袋を持ち帰り、ギルドの建物まで持っていくときだ。

重たい。

土ってまとめて袋に入れるとこんなに重たいものだったんだ。

僕は予想以上に重たくなった土の入った袋をヒーヒー言いながら、なんとかダンジョン外に持ち出し、建物へと運び込むことに成功した。

今日の成果は、土嚢袋一つ。

それでも、確かな前進だ。