軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

体育

マイスコップを自身の肉体の一部のようにイメージし、僕の全身を覆う魔力がそのまま地続きのようにマイスコップにも繋がる。

スコップも含めて魔力で包み込むようにイメージをすることで、僕の採掘能力はさらに上がった。

純粋な力が増えたわけではないけれど、これまでよりもさらに土を掘り返しやすくなっている。

朝から成功体験を得て気分を良くしたまま、ダンジョンを出て学校へ向かった。

採掘力が上がったおかげで土を運び出すのに時間がかかったので、昨日のようにかなり早い時間帯に学校についたというわけではない。

が、それなりに余裕を持った時間で到着したので、教室の僕の机で教科書を開き、予習を始めた。

僕の服の中にはスーちゃんがいて、そのスーちゃんのおかげで 超集中(ゾーン) が保たれている。

次々と登校してくるクラスメイトと挨拶や会話を交わしながらも、勉強はそれなりに進み、今まで知らなかった知識を少し知ることができた。

そんなこんなで、授業があり、時間が経過する。

そして、午前の最後の授業は教室を出て体育館へと移動することとなった。

そう、体育だ。

今日は男女に分かれてバスケットボールをする。

バスケットボールを掴み、構えて投げる。

僕の投げたボールは高く弧を描き、ゴールへと向かう。

だがわずかにそれてしまった。

ゴールのリングに当たり、一度上へ弾かれた後、再び当たって床へ落ちた。

輪の中を通らなかったため、ゴールならずだ。

――惜しい。

ほんの少しだけ、ずれていた。

魔力を扱えるようになり、スーちゃんのおかげで 超集中(ゾーン) ができるようになったからこそ思う。

スポーツって難しい。

走るだけでも同じだ。

僕は今までがむしゃらに走る動きをしていただけで、それは効率のいい動きにはなっていなかった。

だから 超集中(ゾーン) をして体の声を聞くことで、これまでよりも速く疲れにくい走り方ができるようになった。

だが、走れるようになることと、スポーツが上手にできることはまた違う。

バスケットボールもそうだ。

これはボールを使って行う球技であり、僕の体の力をボールという外部装置へと伝達し結果を得る。

力の強さや向きがわずかに違うだけでも、ゴールするかしないかという結果に違いが生じ、それにより勝敗まで変わってしまう。

だからこそ球技は難しい。

小学校のころからあった体育でのバスケットボール。

今になって、このスポーツの奥深さを知りながらも、シュート練習やパス交換を繰り返し、少しでも上手にできるように精度を上げていく。

だが、このスポーツの難しさはそんな「ボールを扱う」ことだけではなかった。

体育の授業の前半でシュートやパスの練習をした後に、後半の時間は試合をした。

これがまた難しい。

単純にシュートが上手であれば、パスが上手であれば試合に勝てるわけではないからだ。

というのも、このスポーツは僕一人で行うものではないというのがある。

複数人で試合を行うことで、その難しさは一気に増す。

相手チームのボール保持者がシュートを放つ。

残念ながらそれはゴールにならず、味方プレイヤーがゴール下からほかの味方へとパスを出す。

そこから、相手ゴールへと向かって攻め入り、その途中でボールが奪われれば再び守備へと回らなければならない。

このスポーツは他のプレイヤーが大勢いる中で結果を出さなければならないため、自分の体の動きだけを修正すればいいというものではない。

それが難しさにつながっている。

超集中(ゾーン) を使い、肉体の声を聞きつつも、その高められた集中力で聴覚もフルに使う。

体育館の床とプレイヤーの靴の音がキュキュッとなり響く音を聞きながら、コート内にいる選手の位置を把握する。

まるでコート全体を俯瞰しているみたいに、全員の位置が頭に入ってくる。

味方と相手の位置は常に動き続けるが、それを把握し、どの位置に誰がいるかを考えてよりゴールできる可能性が高い選択肢を選ぶために行動する。

僕がボールを持てば一番フリーの味方へとパスをつなげ、あるいは自分自身でも積極的にゴールを狙う。

僕がボールを持っていないときには、声を出しながら走り、味方プレイヤーが一番結果を出しやすいようにサポートする。

さらに、相手選手がボールを持った時にはどうすればその攻撃を阻止できるかを考え続ける。

バスケットボールという競技はこんなにも頭を使う必要があるんだな。

超集中(ゾーン) ができるようになったからこそ、そんなふうに思った。

いや、違うか。

多分どのスポーツであってももそうなんだろう。

肉体を正しく使えればそれだけで結果につながることはなく、常に頭を使い続ける必要がどんなスポーツでもあるんだと思う。

プロのスポーツ選手ってすごいんだろうな。

そんなことを考えながら、僕は体育の授業で走り回り続けていた。