軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

掃除の範囲

「ここが僕らの住む家だよ、スーちゃん。この目隠し用の柵の内側が僕らの土地になるんだ。わかるかな?」

お風呂場でスーちゃんが排水管の中から出てきてしばらく時間が経った。

あのあと、僕がお風呂から出た後の浴室内や浴槽の汚れや水分をスーちゃんに食べてもらい、お風呂場は完璧にきれいになった。

いつもであれば、僕は自分の部屋に戻るのだけど、今は寝間着のまま玄関から出て家の前の道路に立つ。

僕の住む家全体が見える位置に立ち、手のひらに乗せたスーちゃんにもよく見えるように位置を調整しながら話しかけた。

僕の家はごく普通の一軒家だ。

車を停める駐車場付きの二階建ての建物で、大きさは大きくないけど家族で住む分にはこれで十分、というかちょうどいい大きさなんだと以前お父さんが言っていた。

家の周りには道路からの視線を遮る高さのフェンスがあり、その内側には建物の外壁までわずかなスペースがあり、お母さんが植木鉢を置いたりして花を育てている。

「さっき僕らがいたお風呂はあの窓のところだよ。スーちゃんが入っていった配管はあそこから地面に向かって下に進んで、こっちにあるマンホールの下にある下水とつながっているはずなんだ。僕は実際に見たことはないんだけどね」

今こうして説明しているのは、スーちゃんが迷子にならないようにするためだ。

家の掃除として配管の内部の汚れもスーちゃんにやってもらえたら助かるなと思ったのだけど、心配することもあった。

それは、配管の中を通って掃除をし続けた結果、どこか別の場所にまで行ってしまわないだろうかということ。

例えば、僕らの家の配管から間違って隣近所の家の配管まで行ってしまったとしよう。

別によその家の掃除をしてはいけないわけではないが、もしそこでその家の住人が夜中に起きてトイレに行ったり、お風呂のお湯を捨てたらどうなるだろうか。

いくら壁や天井に張り付けるスーちゃんでも、勢いのある水に押し流されてしまう可能性は十分にあると思う。

そして、流されてしまったら最後、僕の家や僕のいる場所がわからなくなる危険がある。

スーちゃんとは知り合ってまだ数日ではあるけれど、僕はもう最高の相棒であると思っている。

そんなスーちゃんと離ればなれにはなりたくない。

なので、僕の家族が寝静まった夜遅くに、僕の家の範囲内だけで掃除をしてもらおうと考えたわけだ。

そのための具体的な範囲をこうして実際に目視で教えている。

「あ、もし配管の掃除が終わったらほかの場所の掃除もお願いしていいかな? 例えば、あのガレージの中も結構汚れがあるし、意外と家の壁とか屋根の上も汚れていると思うんだよね。それと後は屋根裏かな。一階と二階の間の人が入らない空間とか二階と屋根の間のとこが多分めちゃくちゃ汚れていると思うだよね。スーちゃんにはぜひそういうところを掃除して、虫がいない空間を作ってほしい」

ごくまれにだが、我が家にも虫が現れてお母さんの叫び声が響くときがある。

僕は叫び声までは上げないけれど、それでも急に目の前に真っ黒な奴が現れたら普通に驚くし、好きじゃないのは確かだ。

なので、スーちゃんには掃除ついでに我が家からあいつら昆虫を絶滅させてほしい。

普通の掃除と違い、虫の卵なんかもスーちゃんは食べられるだろうし、根絶できないことはないと思う。

そんな期待を込め、僕はスーちゃんに家のどこを特に掃除してほしいかをさらに説明していった。