軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ダンジョン用

「ご苦労様です。ダンジョンの土の納入確認が終わりましたので報酬をお支払いいたします。現金でよろしいですか?」

「はい。現金でお願いします」

ダンジョンの外のギルド建物へ、何往復もして運び込んだ土。

それをどうやって見分けているのか、僕にはわからない。

普通の土とは違いがあって、見分けられるのだろう。

間違いなくダンジョンの土であると確認が取れたということで持ち込んだ量に対して報酬が支払われる。

僕が受け取ったのは、二千円と少し。

うれしい。

朝早くから始めたとはいえ、昼ご飯までのおおよそ四時間でこれだけのお金が貰えるとは思ってもいなかった。

思わず、にやけた。

たった半日でこれだけ稼げたのは初めてだ。

これだけあれば、ダンジョンバーが何個も買える。

午後もまた穴掘りしようっと。

ただ、この金額でも僕は満足だが、ほかの人には物足りないのだろう。

ダンジョンという自己責任の場所に入り、半日仕事をして得られるのが二千円というのは普通の仕事をする大人の人だと「全然稼げない」と思われているらしい。

なので、この買取受付でダンジョンの土を持ち込んでいるのは他に誰もいなさそうだ。

まあ、僕にとっては好都合だ。

ほかにダンジョンの土を集めようとする人がいないからスコップや手押し車を借りることができるのだから。

お金を受け取った僕は建物内の別の場所にある売り場へ向かい、ダンジョンバーをいくつか手に取る。

そのまま一度家に帰ってお昼ご飯を食べるつもりだ。

その時、ふと目に入ったものがあった。

「スコップも売ってるんだ。けど、ダンジョン用ってなんだろう?」

ダンジョン内にはモンスターが出る。

なので、この売り場ではダンジョンバーなどの補給食だけではなく、武器や防具というものも売っている。

そして、そんな武器防具置場の片隅にはスコップも売られていた。

それが目についたのだが、商品の説明書きには「ダンジョン用スコップ」と書かれている。

普通のスコップとなにか違うんだろうか?

説明書きをよく読んでみる。

どうやら、スコップを作るときの素材が違うらしい。

普通の鉄ではなく、ダンジョン産の鉄で作られているらしい。

気になって、思わず手に取る。

……軽い。

借りることができるスコップはごく平凡なものだと思うのだけれど、このダンジョン用スコップはそれよりも軽かった。

手に持った瞬間、分かった。

これは――今までのスコップとは別物だ。

たぶん、こっちのほうがよく掘れる。

そう思わせる手ごたえがあった。

欲しいな。

ストレス発散で始めたダンジョンでの穴掘りだが、本気でドハマりしてしまったみたいだ。

それ専用の自分の道具が欲しくなってしまった。

だが、値段を見て、そっと元の場所に戻した。

ダンジョン用と書かれているからなのか、思ったよりも高い。

普通のスコップをホームセンターで買ったらいくらするのかはきちんと知らないけれど、これはその何倍もするんじゃないだろうか。

僕のお小遣いでは全然買えない値段だ。

……高い。

手が出ない。

けど――欲しい。

穴掘りしてお金を貯めて買えないかな?

元の場所に戻したそのスコップがいつまでも気になった僕は、しばらく、その場で考え込んでいた。