作品タイトル不明
戦いの場
「よし、行こう」
夕食を食べ終え、僕の両親は食べすぎとお肉のにおいでの胸焼けにダウンして寝室で寝ている。
アースソナーによる探知で両親が休んでいることを知っている僕は、音を立てずに玄関へと移動し、外に出る。
そして、魔導バイクに乗り、出発した。
魔力を用いて走るこのバイクはガソリン車と違ってほとんど音がしない。
誰にも気づかれることなくモンスターのもとへと向かう。
これまで僕は自分の住む家を中心に広範囲に移動して地脈を活性化させてきた。
そして、今日はその地脈をさらに魔力で溢れさせた。
今も地脈には魔力が満ちあふれているからか、アースソナーによる探知の制度が異様なほど高い。
相手のいる方向は手に取るようにわかるし、距離もおおよそ把握できている。
まだ距離はある。
だが、相手も移動してきている。
最終的にそいつが狙うのは、あのお地蔵さんの場所だろう。
あそこが一番魔力にあふれたポイントだからだ。
そこへたどり着くまでのルートを予測する。
なるべく人がいない場所。
戦いになっても周囲への被害が出にくい場所。
それを考えながら、僕は魔導バイクを走らせた。
どこだ?
どこがいい?
アースソナーで活性化された地脈のあるエリア内であれば、その上に建つ建物もおおよそ判別がつく。
そして、こちらへと近づいてきているモンスターについても少しだけわかることがある。
その探知からわかるのは、相手が四足歩行で走っているということだ。
一歩の歩幅はそれなりにありそうだ。
だが、途方もない巨体というわけではなさそうだ。
それに、アースソナーで探知できているということは、少なくとも飛行型のモンスターではないと思う。
空を飛んでいたら僕じゃ相手の居場所を探知できないからだ。
ならば、陸上を走り、目指しているはず。
ってことは、たぶんだけど道中にある橋を使うはずだ。
モンスターなら川を気にせず、そのまま水の中を突っ切てくる可能性もあるだろう。
だが、近くに渡れる橋が見えれば、そちらを使う可能性は高い。
それなら、その橋を渡りきったところにある河川敷はどうだ?
そこには地域住民の憩いの場になっている公園や、小さなグラウンドが整備されている。
そこならば、夜だと人の数は少ないはず。
「スーちゃん、大きな川の手前にある河川敷で相手モンスターを迎撃しようと思う」
“わかったー。相手に近づいたら誘導するー”
「誘導? そんなことできるの?」
“んー、たぶんできると思うー。魔力で相手の注意を引っ張るからやっつけよー”
精神感応(テレパス) によって頭に響くスーちゃんの声は幼い。
が、その内容は頼もしいの一言に尽きる。
スーちゃんがいれば百人力だ。
それにスーちゃんは、地脈活性化エリアの下水道などに分裂体を常に配置している。
僕の言葉などなくても相手の現在の位置や進行ルートがわかっているんだろう。
なので、僕との認識を共有したら、あとはお手の物だったようだ。
魔導バイクをしばらく走らせ、無事に河川敷についた僕とスーちゃんはそこで分裂体スライムに誘導されてきたモンスターの姿を見つけることとなった。