作品タイトル不明
年明け
トレントのトンちゃんという新しい仲間ができたが、僕の生活はこれまでと変わりはない。
トンちゃんはトレントというモンスターであり、トレントは普通の木と違って動くことができる。
やろうと思えば根っこを使って地面の上を移動することも可能なのだ。
が、まだ若木に過ぎないトンちゃんは移動するのは難しいし、さすがに成長してもトンちゃんを自分の家に招き入れることはできない。
なので、田舎の山でトンちゃんには元気に育ってもらいつつ、僕はそのうちできるであろうランダムフルーツを時々もらえればと思っている。
というわけで、自宅ではこれまでどおりスーちゃんとともに毎日の生活を送っている。
基本的には毎日自室で勉強をしている。
高卒資格も取っておこうと思っているのだけれど、さすがに高校三年間分の勉強はすぐには終わりそうにない。
買いそろえた教材を広げながら、 超集中(ゾーン) の状態で焦らず着実に知識を積み上げていた。
とはいえ、それだけだと家にこもりっぱなしになってしまう。
そのため、ランニングをしたり、貸し農園で家庭菜園をしたり、曾祖母の家の片づけをしたり、渚の仕事依頼を受けてビルの解体などを行っていた。
少し心配だったのは、渚からの依頼が無くなるんじゃないかということだ。
なぜなら、僕は渚にスラちゃんをレンタルしているからだ。
ダンジョン跡地で魔石を使って生み出したスライムのスラちゃんは渚や楓ちゃんらのスライムよりもボディーが大きい。
そのため、大量のごみ処理や清掃補助でもこれまで以上に力を発揮してくれるだろうと思っていた。
実際、それは間違いではない。
スラちゃんは楓ちゃんのスイちゃんよりもよく食べることで、僕にレンタル料を支払っても十分な利益が出るようになっているそうだ。
だが、それはあくまでもゴミ屋敷などの片付け作業でのことらしい。
一抱えほどもある大きさのスラちゃんですら、ビルの解体などでは時間がかかりすぎるとのこと。
というか、これはスーちゃんの力があまりにも桁外れなのだろう。
重機を使って解体しても時間がかかるうえに、適切に処理しなければならない廃棄物が山ほど出る解体作業をスーちゃんは半日もかからずに終わらせてしまうのだから。
結果として、渚は僕に対して時々ビルなどの大型建築物の解体を依頼してきた。
僕に対して高額の報酬を支払っても、それよりはるかに大きい利益が出ているのだろう。
というわけで、度重なる仕事とそれによる報酬により、僕の通帳の中には思わず桁を見直してしまうような金額が記帳されるに至った。
やばすぎる。
これは来年以降どんな税金が押し寄せてくるかわかったものじゃないな。
そんなふうに日々の生活を送っていると年が明けた。
新年を祝う日ではあるが、ダンジョンのスタンピードによりこの一年は日本国内だけでなく世界中で多くの人が亡くなった。
テレビなどはあまりにど派手な演出による年明け番組は控えて、しかし生き残った今の人たちでこれからも頑張ろうみたいな内容の放送をどの局も流している。
そんな中で、日本政府が公式発表を出した。
魔石を使った地脈の活性。
そして、それによる神の加護についての発表があり、新年早々ネットを含めて世の中はその話で持ち切りになったのだった。