軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ダンジョン跡地

「そういえば、ダンジョンが消滅した後ってどうなったんだっけ?」

ランニングを終えて自宅に帰った僕は自室にて勉強を続ける。

タイマーを設定し、一定時間で鳴るようにしたアラームが音をたて、休憩を挟みつついろんな教科のことを学ぶ。

そのなかで歴史の教科書があり、それをパタンと閉じながら再びダンジョンについて考えていた。

僕も何度も通っていた、自宅から一番近い住宅街の中にあるダンジョン。

あれが消滅し、その内部にいた人がはじき出された。

僕はその消滅に巻き込まれる形で、ダンジョンの外に放り出されたわけだけど、実はその後あまりそこには近寄っていない。

すでにもうダンジョンが消滅し、消え去っているからというのもあるし、しばらくの間は立ち入り禁止にもされていたからだ。

いまだにダンジョンがどういう理由で消滅したのかすら解明できていないらしいけれど、かなり力を入れて調べられていたから近寄ることすらできなかったのだ。

ただ、渚と車の中で渋滞に巻き込まれてしまった間に話していたが、もうその規制は解除されているらしい。

なんとなくそのことを思い出し、お昼からのランニングついでに、久しぶりにダンジョン跡地に行ってみようと思った。

勉強を終え、昼食を食べる。

そして、少しの間腹休めをしてから走り始めた。

朝と同じようにアースソナーを使いながら地脈に沿って走りつつ、道中にあるお地蔵さんに挨拶しながらダンジョン跡地までやってきた。

「ん? なんだ? 誰か来ているのかな?」

消滅したダンジョン跡地はこれまでどおりに住宅街の中にある。

世界中でスタンピードが起きたときにここも危険なんじゃないかと考えて避難した人もいるみたいだけど、すでにダンジョンがない以上モンスターが出てくることもなく、多くの人は家に戻りこれまでどおりの生活を続けていると渚は言っていた。

そんなどこにでもありふれた普通の住宅街の一角に、なにやらその日常の風景には相応しくないような集団がいた。

テレビ撮影かな?

多くの大人の男性が機材を持ち、その中心にいるであろう人物に向かってそれらの機材を使用している。

中心にいるのは男性と女性か。

若く可愛い女の人が、年配の男性とともに話しているのを大きなカメラで撮っていた。

有名人かな?

こんなところでは芸能人なんて見かける機会はほとんどない。

誰だろうと興味はあるものの、僕は有名人の類を全然知らないから見てもわからない。

さすがに十年間のブランクがあると、若い女性タレントは一人も知らない状況になっていたからだ。

ダンジョンでの遭難期間があまりにも長すぎたせいで、世間の流行には完全に置いて行かれていた。

だが、年配の男の人ならわかるかも。

あの年齢だと十年前も十分おじさんの年齢だっただろうから、ワンチャンわかるかもしれない。

そう思って、遠目からカメラに囲まれた男性へと視線を送る。

……誰だっけな?

なんか知っている顔な気はする。

が、思い出せない。

あんな人、芸能人にいたっけな?

そんなことを考えながら首をかしげながら見ていると、そのとき不意に男性と目が合った。

ん? なんだ?

男性は僕を見た瞬間、信じられないものを見る顔をした後、なんと僕のほうへと向かって移動してきたのだった。