軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ブレスレット

「うー、感触が気持ち悪かったー」

今まで穴掘りをしていた時には感じたことのなかった嫌な感触。

スコップ越しに伝わる、生き物の肉をえぐる感触。

――何とも言えない不快さだった。

モンスターが倒れた際にドロップアイテムを残してその死体は消えてしまうことから、スコップの先の金属部分にはビッグワームの肉も血も残っていない。

とはいえ、なんとなく気持ち悪い。

スーちゃんにスコップの汚れを食べてもらい、きれいにしてもらう。

その間に戦利品を確認する。

「なんだこれ? でっかいリング、っていうか腕輪か。モンスターを倒したらこういうものもドロップするのか」

大きな口に鋭い歯の並んだとんでもなく体の大きいビッグワーム。

そんなモンスターを倒した結果、残されたドロップアイテム。

これまでの経験から、巨大ミミズの肉や皮かと思ったが、どうやら違うらしい。

僕が開けた大穴の下で、ビッグワームが消えた後にはきれいなブレスレットが落ちていた。

ほかにはなにもない。

どうやら得られたのは、人間の手首に収まるサイズの腕輪ひとつだけらしい。

まあいいか。

肉があれば食べていただろうけれど、今はランダムフルーツを食べた後なのでそれほどお腹が空いていない。

なので、食べ物でもない腕輪でもありがたくもらっておこう。

きらりと光る金属製のブレスレット。

銀色だが、シルバーというよりはチタンのような硬質さを感じる。

探索者(シーカー) のためのドロップアイテムなのであれば、簡単には傷つかないものなのかもしれない。

その金属部分の真ん中には小さいが緑色の宝石みたいな石が埋まっている。

きれいだ。

この宝石はおそらくだけどダンジョンでしか手に入らないタイプなんじゃないだろうか。

というか、たぶんそうだ。

この緑の宝石からは魔力を感じる。

この腕輪はマジックアイテムなのだろうか。

……まさか、呪いのアイテムという可能性もあるのか?

だが、そうだとしたらこの場では判断が付かない。

そう考えるならばこいつは身につけたりせずに持ち帰ったほうがいいのかもしれない。

しかし、僕はこの腕輪を装備してみることにした。

なにより、初めてまともに戦って勝ちとった戦利品だ。

それに見た目がすごくきれいだし、上品さもあるように思う。

禍々しい雰囲気がしているわけでもないし、そう悪いものではないのではないだろうか。

「スーちゃん、どう思う? これって装備しても大丈夫かな?」

ただ、やはり心配は消えないため、わかるかどうかは不明だが唯一相談できる相手であるスライムのスーちゃんに聞いてみることにした。

拾い上げた腕輪を持ち、スーちゃんにそう尋ねると、スーちゃんは僕の体を覆いながらもプルプルと震えた。

これは多分、大丈夫だという肯定の合図かな。

……なら、装備してみようか。

こうして僕はビッグワームからドロップした腕輪を左手首に通した。

大きめのサイズだったので、ぶかぶかかと思ったが、腕に通すとスルスルと大きさが変化して僕の腕にピタッと合うサイズへと自動的に切り替わる。

すげえ。

こんなふうに大きさが変わるのか。

左腕にはジャストサイズになった細身で緑色のきれいな宝石が付いた銀色のブレスレット。

そしてそれを装備した瞬間、僕はこの腕輪の効果が理解できた。

――広がる。

地面の下の動きが、手に取るようにわかる。

自分を中心に、円状に気配を察知できる。

……これは、地面の振動か。

腕輪を装備した僕を中心に地面の振動をもとにモンスターがどこにいるかが察知できる。

こうして僕はサーチブレスレットを手に入れたのだった。